スタグフレーションで個人で対策できることは? わかりやすく解説!

スタグフレーションの足音がひたひたと近づいてきているとの声があちこちで聞きます。

スタグフレーションに対し、個人で対策できることはどれだけあるのでしょう?

具体的な3つの方策を解説するとともに、スタグフレーションの意味、コロナ禍の日本の現状をみたときに今後どうなるかを考えました。

まだまだ生活が苦しくなるのか!

スタグフレーションで個人で対策できること

スタグフレーションで個人で対策できることを考える前に、スタグフレーションの意味や日本の現状を確認しておきましょう。

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スタグフレーションとは?分かりやすく解説

不況になると、雇用や賃金が減少するものの、通常は、物価が下落し、デフレとなり、貨幣の実質的価値は上がって、消費額が抑制され、預貯金の実質価値は維持または増加します。

ところが、経済成長が鈍く、失業率が高い停滞(stagnation)時期に、物価の持続的な上昇(インフレーションinflation)が同時に起こるとスタグフレーションstagflationに陥いるといいます。

スタグフレーションが起きる大きな原因の一つとして考えられるのが、一時産品(原油などの資源や米などの農産物)の価格が景気とは関係ない理由で上がってしまうことです。

戦争や災害などの影響で需要に対する供給が間に合わなくなると、物価が上がるだけでなく、企業の生産活動にも悪影響を与え、失業率のアップにも繋がる可能性が高くなります。

実際、日本でスタグフレーションが起こったのは、1970年代の石油ショック時です。
第一次石油危機が勃発した1974年日本の消費者物価指数は23%上昇し「狂乱物価」と言われた一方、生産縮小から失業増大を招いたとともに、日本の実質GDP成長率は前年の+8.0%からマイナス成長に転じました。
不況下の物価高騰というスタグフレーションでした。

では、コロナ禍にある現状はどうでしょう?

物価の上昇

食料価格の急ピッチな上昇
世界食料価格指数(2014~16年=100)が、2011年9月以来の高水準に達し、前月比で1.2%高、前年同月比で32.8%高となっています(国連食糧農業機関10/7発表)。
肉、乳製品、穀物、植物油、砂糖などが20~60%高と食料価格全体が高騰しています。
日本でも、10月には小麦粉、パスタ、食用油、コーヒー、マーガリンなどの価格引き上げとなりました。
(原因)
パンデミックによる物流を含む世界的なサプライチェーンの混乱。
パンデミックによって停止していた飲食店の営業が世界的に再開され、需要が供給を上回りました。

石油製品価格の高騰
レギュラーガソリン価格は、全国平均で1リットル=160.0円となり、2018年10月以来となる、約3年ぶりの高値圏となった。

(原因)
パンデミックからの世界経済の回復が急ピッチに進んでいることで、世界的に輸送用エネルギーの需要が急激に回復している。
石油輸出国機構(OPEC)プラスの閣僚級会合が開催されたが、従来の合意内容に沿う緩やかな増産を確認するのに留め、積極的な政策対応を講じることを見送りました。

原油価格の高騰は、ガソリンや軽油、灯油といった石油製品価格の値上げに加えて、電力料金価格、ハウス栽培の野菜価格、輸送コストなど生活に直結した幅広いモノやサービスの値上げ圧力に直結します。

石炭の供給が間に合わない電力不足の中国では、数十パーセントの電力値上げを容認しました。

円安
原油価格の上昇に加えて、円安が同時に進行し、企業が輸入で原材料を仕入れるコストが上昇したことにより、9月の国内企業物価指数は、前年同月比6・3%上昇の106・4で、プラスは7カ月連続。指数は2008年8月以来の高水準で、13年ぶりの記録となっています。

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景気の停滞

需要の減少
パンデミックでの感染拡大防止にともない経済活動の基礎となるヒト・モノ・カネの移動が制限されることになります。

渡航制限によるインバウンド需要の落ち込みや外出制限等、政府による大規模イベントの自粛要請など、川下の消費関連企業から川上の素材関連企業までサプライチェーン全体に影響が及んでいます。

供給の減少
金属や木材、半導体などの材料不足、価格高騰が製造業にも影響を与えています。
東南アジアでの、パンデミックによる部品生産の停滞が自動車産業に影響を与えるなど、飲食、宿泊、旅行業界以外への影響も広がってきています。

感染の先行きの不確実性や失業の増加、所得の低迷は、消費・投資の手控えによる需要減・供給減と危機の連鎖を生んでいます。

以上、スタグフレーションは始まっていると言えるかも知れません。

個人でできること

そのままでは、実質賃金や資産価値が減る対策をとる必要があります。

金融投資で別口の収入源を確保する

:不況が予想されると株価は下落し、インフレだと、上昇すると予想されます。
スタグフレーションでは、どうか一概には言えませんが、金融緩和策を当分続けるため、政府の株下支えは続く、懸念された金融所得課税も当分なさそうな状況になったということから、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)や積立NISAなどを利用して、徐々に投資することが好ましいと思えます。

外国株・投資信託:さらなる円安へのヘッジとして、高配当の米国株・投資信託への投資が考えられます。日本より、米国の方が景気の回復は早く、長年にわたる株価の上昇の程度も大きく違います。
円高は懸念されますが、これも時期をずらしながらじっくり買い進むことで危険を最小限にできます。

:物価が上がり、貨幣価値が低下したときに頼りになるのが、安全資金の金への投資となります。
円安に伴い、価格は上昇しますので、円安へのヘッジとしても有効です。
別記事に具体的な投資方法を記載しましたので、参照してください。

自身の市場価値を高める

45歳定年制など、どこの企業でも、確かな将来はありません。
将来の産業や世の中の動きを読んで、そこで、今の自分にどのような価値を付加すれば、市場価値を高めることができるか?

自分の得意な点を改めて棚卸して、戦略を練り、早くスタートすれば、費用をそれほどかけずに、達成可能と思われます。

筆者の場合 数十年前からですが、理系の専門技術以外に、時間をかけて以下を習得しました。
・英会話 外国人のいる事務所で勤務や、海外ユーザーと電話でやり取りできるレベル
・IT技術 転職職場で、PC,ネットの扱いにすぐ対応でき、PC、ソフトの導入の業務もできる
・中国語 専門分野翻訳や中国ネットからの情報収集
・ファイナンシャルプラナー資格 経済記事を書くのに有用

ただ、どのような場合でも、一番大事なのは、健康ですので、体と精神の健全さをたもつための運動、趣味は大切です。

無駄を省く

節約というと後ろ向きに感じられますが、お金だけでなく、時間の無駄を省くことも大事です。
収入、支出の全体像をつかむことも、スマホのアプリを使えば短時間で可能です。
クレジットカードなどのポイントの効率の良い貯め方など、一度じっくり考えて決定し、ある期間は、それを続ける。
政府のさまざま施策を有効に活用する。
無駄な電力の使用をしないようにすれば、地球環境にやさしい生活に切り替えることにもなります。

遠出、外食は避けてるし、十分節約してるぞ

スダクフレーションの反対語は?

スダクフレーションの反対語、対義語はなんでしょう?

インフレーションの反対はデフレーションで、停滞の反対は好景気でしょうから、デフレ下の好景気ということで、物価は安くなり、賃金が上がるという理想の経済社会となります。

ただ、好景気で、賃金が上昇し、物がどんどん売れれば、企業は当然商品価格を上げるでしょうから、このような状態はなかなか到来しません。
したがって、この状態を適切に表す言葉は見当たりません。

アンチスダクフレーションとか政治家が目標に掲げたら!

スダクフレーションに関するSNSの反応

  • この秋から冬はあらゆるものが値上げになる。特に灯油・ガソリン価格の値上がりは相当きつい。スタグフレーションは明らかなのに、国民経済への政策的配慮は皆無で、景気は増々冷え込むのみだ。
  • パンデミックの後にはこういう事にもなるのか😮‍💨 経済って難しいもんだねえ。 食料とガソリンが同時に高騰中、低所得者に厳しいスタグフレーションの脅威
  • スタグフレーションですね。インフレより、たちがわるい。金融緩和だけで、輸出力を弱めたアベノミクスのツケが本格化する。
  • このタイミングで政治が金をばらまけって話ばかりしてると、日本円の価値下落+資源高→スタグフレーションでみんな一斉に貧しくなりそうだ。
  • 資源高と円安のダブルパンチ + コロナ+半導体不足と生産調整で スタグフレーションの条件がそろっている。

出典:ヤフコメ

政治家はばらまきを競い合っていると批判される始末だものね

まとめ

  • スタグフレーションに対し個人で対策できる3つの策を具体的に解説した
  • スタグフレーションの反対語は存在しないが、もし到来すれば理想的な経済状況となる
  • 今の日本には、スタグフレーションの条件がすべてそろっているとの悲観的な意見多数
希望が持てる社会にはいつになったら?
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