かちかち山
昔ある所に畑を耕して暮らしているおじいさんとおばあさんがいました。
ある日、おじいさんが畑に出てみてびっくり。
なんと、畑がめちゃくちゃに荒らされていたのです。
おじいさんの畑を荒らしたのは、山に住むタヌキでした。
タヌキはその日をさかいに毎日やってきて畑を荒らすようになりました。
タヌキの悪さに辛抱ならないおじいさんは、タヌキを捕獲する罠を作りました。
タヌキはまんまと罠にかかりました。
「悪いタヌキめ!捕まえてやったぞ!もう悪ささせねぇぞ!」
「くそ~!出せ~出せ~!ここから出さないとひどい目にあうぞ!」
おじいさんは暴れるタヌキを押さえつけてなんとか家まで連れて帰りました。
「まぁ、このタヌキが悪さをしていたんですね。」
「そうじゃ、もう悪さできないように、柱に縛り付けておこう。」
おじいさんは、おばあさんに捕まえたタヌキを狸汁にするように言ってまた。畑仕事にいきました。
しばらくするとタヌキは泣き出してしまいました。
タヌキはおばあさんに、
「もう畑を荒らしたりしません~!悪さもしません!何でも言う事を聞きますからどうか縄をほどいてください~!」
タヌキをかわいそうに思ったおばあさんは、タヌキの縄を少し緩めました。
そうすると、タヌキは縄をするりと抜け出しました。
「へ!お人好しのおばあさん、ありがとうよ!」
縄を解かせて自由になると、なんと助けてくれたおばあさんを殴りました。
「うぅ、だ、だましたね!」
「うるさい!騙される方が悪いんだ!」
タヌキはそう言って、すたこらさっさと裏山に逃げていきました。
しばらくして帰ってきたおじいさんは、倒れているおばあさんを見てビックリ。
「おばあさん!おばあさん!大丈夫か?」
「うぅう、腰を痛めたようですじゃ」
腰を痛めたおばあさんのために、おじいさんは薬になるくさを山に探しに行きました。
おじいさんが山でくさをとっていると、一匹のウサギが近寄ってきました。
「お、おじいさん、何をしているんだい?」
おじいさんは、ウサギにこれまであったことを話しました。
「なんてひどいタヌキだ!僕がタヌキを懲らしめてあげましょう!」
話を聞いたウサギは、親切なおばあさんの仇をうつことにしました。
ウサギは、タヌキをおびき寄せるために、おばあさんにきびもちを作ってもらいました。
そして、ウサギはたきぎを用意してタヌキが現れるのを待ちました。
しばらくするとタヌキがやってきました。
「やぁ、ウサギさん、おいしそうなきびもちだね。」
「タヌキさん、家までたきぎを運ぶのを手伝ってくれないか。そうしたらきびもちをあげるよ。」
「本当かい、お安い御用さ!」
ウサギはタヌキを騙して、タヌキにたきぎを背負わせました、
「ありがとうタヌキさん!きびもちは後で全部あげるよ。」
そう言って、ウサギは、こっそりとタヌキの背中のたきぎに火うち石で火をつけました。
「カチ、カチ。」
「おや?ウサギさん、今のカチカチと言う音はなんだい?」
「ああ、きっとカチカチ鳥がないでいるのさ、カチカチってね」
火うち石をならすと、たきぎに火が付きました。
そのうちに、タヌキの背負ったたきぎは、大きく燃えだしました。
「ボウ、ボウ。」
「ん?いま、ボウボウって言う音がならなかったか?」
「ああ、きっとボウボウ鳥がないでいるのさ、ボウボウってね」
「そうかな~なんか背中が熱いんだけど・・・ん?あ、あつい~~~!!!」
タヌキは背中におおやけどを負って、自分のねぐらに帰りました。
しばらくすると、ウサギがやってきました。
「タヌキさん、ひどい目にあったね。やけどに効く薬をもってきたよ」
そういって薬を塗ると、
「いたいー!!!」
タヌキはさけびました。
実は、薬はとうがらしをねって作っていたのです。
「いたいー!なんだこれはー!」
「いい薬は沁みるものさ、がまん、がまん。」
「そうか~?いちちちち。」
ウサギはタヌキを騙して、さらにこんな話をします。
「やけどを治すなら栄養も取らないとね。海に行って魚を釣ろう」
次の日、ウサギとタヌキは魚をとりに海にやってきました。
そこには、木の舟とどろの舟がありました。
「タヌキさんは体が大きいからどろの舟の方がいいよ。僕は木の舟に乗るよ」
「おう、わかった!たくさん釣ってやるぜ~!」
タヌキはどろの舟に乗って海にでました、
するとタヌキさんが乗っているどろの舟がくずれて海の中に沈み始めました。
「うわーっ、助けてくれ!舟が溶けていくよー!」
大あわてのタヌキに、ウサギは、
「おばあさんをいじめたバツだ」というと、
「ごめんなさい。ごめんなさい。もう二度と悪さはしません。どうか、助けてください」
タヌキがいっしょうけんめいあやまったので、ウサギはタヌキを助けてあげました。
そしてタヌキを連れておじいさんとおばあさんの家に行き、
「おじいさん、おばあさん、この前は悪いことをしました。どうか許してください」
と、タヌキがあやまったので、それからはみんな仲良く暮らしましたとさ。
~おしまい~