ぶんぶくちゃがま
むかしむかし、あるお寺におしょうさんが住んでいました。
おしょうさんは、毎日仏様にお供え物をしていました。
そこへお腹をすかしたタヌキがやってきました。
「あぁ、あそこにお供え物があるぞ。食べてしまおう」
タヌキがお供え物を食べようとしていると、おしょうさんがやってきました、
「しまった!おしょうさんにバレてしまう!」
タヌキは慌てて、茶釜に化けました。
「おや?こんなことろに立派な茶釜があるぞ」
おしょうさんは見事な茶釜を見つけて大喜びです。
おしょうさんは茶釜を茶の間においてながめてうっとりしていました。
「そうじゃ、ながめていてばかりでももったいない。こんなすばらしい茶釜の茶はどんなにおいしいんじゃろう。さっそくお茶をいれてみよう」
おしょうさんは茶釜に水をいれ、火にかけました。
茶釜はだんだん熱くなってきます。
「あちち!あつい、あつい!」と茶釜が叫びだし、茶釜からタヌキのしっぽが出てきました。
「なんだ!茶釜からしっぽがでたぞ!お化け茶釜だ!」
すぐにしっぽは引っ込みましたが、おしょうさんは気味が悪くなり、
古道具屋に茶釜を売ることにしました。
古道具屋の男は、良い茶釜が手に入り喜びました。
「こんな良い茶釜ならきっと高く売れるぞ、明日街に売りに行こう」
古道具屋の男はそう思いました。
その日の夜、どこからともなく声が聞こえてきます。
「すみません、すみません。僕は茶釜に化けたタヌキです。お腹が空いているので何か食べ物をくれませんか?」
「なんと!茶間が喋ったぞ!」
古道具屋の男は驚いたものの、タヌキの話を聞いていました。
「どうか、僕を売らないでください。僕が芸をするので、見せ物にしてもらえれば、きっとたくさんお金がもらえます」
とタヌキがいうので、次の日、男はさっそく街に出かけ、タヌキの芸を披露させてました。
「さあさ、よってらっっしゃい!世にも珍しいぶんぶく茶釜の綱渡りだよ」
と男がいうと、タヌキは踊りながら綱渡りをしました。
「おお!おみごと!日本一のタヌキだ」
「すごいすごい」
それを見たお客さんは大喜び。
古道具屋とタヌキの見せものは毎日お客さんで大賑わいです。
古道具屋の男はたくさんのお金を稼ぎ、タヌキもお腹いっぱいご飯が食べれて幸せそうに暮らしました。
~おしまい~