こぶとりじいさん
昔、昔あるところに、ほっぺに大きなこぶをもつおじいさんが2人いました。
一人はとてもやさしいおじいさん。
もう一人は、いじわるなおじいさんでした。
ある日、やさしいおじいさんは山へしばかりに行きました。
やさしいおじいさんがしばかりをしていると突然雨が降ってきました。
やさしいおじいさんは近くにあったお堂の中に逃げ込みました。
雨が降るのをお堂で待っていましたが、なかなか止まないのでやさしいおじいさんは眠ってしまいました。
「わいわい、がやがや」
お堂の外のにぎやかな音がしてきたので、やさしいおじいさんは目を覚ましました。
外を見てみると、沢山の鬼たちが音楽に合わせて踊ったり、お酒を飲んだりしていました。
「ひええええ、鬼だ、鬼がいるぞ」
「む、なんだ?人間か?」
鬼がやさしいおじいさんに気づきました。
「ひええ、命だけはお助けを~!」
「それなら、ここで楽しい踊りを見せてみろ」
やさしいおじいさんはお堂から出ると鬼たちの輪の中に入って踊りました。
やさしいおじいさんがくるくるはねて、一生懸命踊りました。
やさしいおじいさんの踊りのうまさに鬼たちも大喜びです。
夜が明ける頃、鬼のかしらがやさしいおじいさんに言いました。
「お前は実に踊りが上手だな。また明日の夜来い。それまでお前さんのこぶを預かっておく。」
そう言うと、鬼はやさしいおじいさんのこぶを取ってしまいました。
おじいさんは家に帰って今日のことをおばあさんに話しました。
そのことを、隣りに住んでいるいじわるなおじいさんが聞いていました。
いじわるじいさんにも大きなこぶがついているので、鬼にとってもらおうと思いました。
「明日はワシが代わりに行ってやる」
次の夜、いじわるじいさんはお堂に隠れて、鬼が来るのを待ちました。
しばらくすると鬼たちがやってきました。
いじわるじいさんはすかさず鬼たちに言いました。
「今日も踊って見せます。みててください!」
いじわるじいさんはこぶを取ってもらいたいので鬼の輪の中に入って踊り始めました。
でも、踊りも歌も、とてもヘタです。
とても見てられません。
鬼たちはあきれてしましました。
「やめろやめろ。宴会はもう終わりだ。このこぶを返してやるからもう来るなよ」
そういって、鬼は前にやさしいおじいさんから取ったこぶをいじわるじいさんにひっつけました。
いじわるじいさんはこうしてほっぺに2つのこぶをつけて泣きながら帰っていきました。
~おしまい~