日本全国に発令されていたコロナ感染緊急事態宣言はこのほど39県で解除され、これらの地域では徐々に暮らしが正常化へ向かうことになりました。
ただ感染者が多い東京、大阪など8道府県ではいまだ継続。一方で各知事はコロナ規制を緩和する基準などを策定し「出口戦略」も示しつつあります。
東京都の小池百合子知事も今後の規制緩和の道筋を示す「ロードマップ」(行程表)を発表したところ、ネットでは「またカタカナ」の声が。小池知事はなぜか「カタカナ言葉」がお好きなようで、これまでも数々の〝名言〟がありました。小池さんはなぜ横文字好きなのか。「小池語録カタカナ編」をまとめてみました。
小池語録まとめ
日本でのコロナ新規感染者発生はやや落ち着きはじめ、一部で第二波が心配されるものの、多くの地域では外出制限・休業などの「出口」模索が始まりました。小池都知事も制限解除に向けたロードマップを公表。具体的な数値目標を掲げて、達成できれば緩和を検討する一方、仮に感染者がまた増えれば「東京アラート」を発する、としました。
これまでほぼ毎日のようにテレビに登場している小池知事。発言もたくさん報じられていますが、今回の「ロードマップ」「東京アラート」のようになぜか毎回「横文字言葉」が多い気がします。これまでの「政治家・小池百合子」の主な〝小池語録カタカナ編〟をまとめてみました。
コロナ関連の横文字小池語録
■ステイホーム
コロナ緊急事態宣言のさなか、とりわけ大勢の人出が心配されるゴールデンウィーク前に、小池知事が声高にアピールしたのが「ステイホーム」。「おうちにいてください」と日本語でも〝優しく〟訳していましたが、英語で「自宅にとどまってくれ」と他人に求める言葉です。
知事はゴールデンウィークのことをあえて「ステイホーム週間」と言い換えるなど、市民への外出自粛の意識向上を呼びかけていました。
■ロックダウン
やはり英語の「lockdown」が由来の「ロックダウン」も小池知事の発言から一気に有名に。元来は「建物の封鎖、立ち入り禁止」などを意味する言葉ですが、コロナ禍での意味は「都市封鎖」。海外の多くの都市で、市民の外出や市外への移動、流入を厳しく制限し、企業活動も休止させる強制的なこの措置がとられました。
日本では法律上そうした強制措置は不可能で、結局ロックダウンは行われませんでしたが、小池知事はあえて注目を集め警告する意味でこの強い言葉を使ったようです。
■ノー3密
コロナ防止には「密集、密接、密室」という3密を徹底して避けることが有効とされ、すっかり「流行語」に定着しましたが、小池知事も当初から使用。記者会見で「3密はダメ」というボードを掲げながら「ノー3密をお願いしたい」と強調しました。
コロナ以前の横文字小池語録
■都民ファースト
東京都知事初挑戦ながら断トツの得票で当選した小池氏。選挙戦で訴えたキーワードが「都民ファースト」でした。「都民を第一に考え、都民の利益になる政策を」といった公約だったとされ、知事就任後も庁内会議で「都民ファースト」を念頭に施策を進めるよう訓示していました。その後自身が代表の「都民ファーストの会」という政党も結成。
■3つの「シティ」
やはり小池氏が都知事選で掲げた公約の一つが「3つのシティ」。「セーフシティ、ダイバーシティ、スマートシティ」という3つの言葉です。
小池氏によるとセーフシティ(Safe City)は建物の耐震化、防犯強化などの安全対策。ダイバーシティ(Diversity)は英語で多様性を意味し、仕事と家庭の両立支援、高齢者・障害者支援などを指します。スマートシティ(Smart City)は環境やビジネス面での都の国際的競争力を高めようとする政策です。
■アウフヘーベン
都知事就任後、小池氏がよく使った言葉の一つがアウフヘーベン。これはドイツ語「Aufheben」が由来で、元は哲学用語の「止揚」(物事をより高い段階で生かす、矛盾・対立する問題を発展的に統一する)だそうです。
これを援用して知事は、築地市場移転問題で様々な報告書や提言が出ると「百花繚乱なのでアウフヘーベンする」。衆院選前に新党結成をめぐり様々な動きが出るとまた「アウフヘーベンする。(意味は)辞書で調べてください」。この言葉は17年の流行語大賞候補にも選ばれたほどでした。
■レガシーをワイズスペンディング
東京五輪関連でも小池知事は横文字を多用。「スプリングボード」(踏み台)「パラダイムシフト」(発想大転換)など色々ありましたが、一つ挙げれば「レガシーをワイズスペンディングしていく」。ほとんど接続詞と動詞しか日本語がありませんが、意味は「(新しい五輪施設などの)遺産(legacy)を賢く使っていく(Wise spending)」ということだそうです。
■クールビズ
都知事就任前、自民党の国会議員時代の小池氏で有名な横文字が「クールビズ」。小泉政権時代に環境相に就任した際、会社員らに夏の軽装を勧め、エアコン温度を上げて環境対策につなげようと政府が提言した運動の名称です。言葉自体は一般公募でしたが、旗振り役の小池大臣とともに注目され、05年の流行語トップテンに入りました。
毎日の献立を考えたり、お子さんの勉強を見たり、いつも以上に忙しく過ごしているお母さん方が多いのではないでしょうか。
お母さんの笑顔が家族を幸せにしています。世の中全てのお母さん、
そしていつもわたしの背中を押してくれた亡き母にも、
感謝を込めて #ありがとう を伝えます。#母の日 pic.twitter.com/5kGwwYFpVp— 小池百合子 (@ecoyuri) May 10, 2020
なぜ小池都知事は横文字ばかり使う?
こうして見るとやっぱり非常に目立つカタカナの小池語録。ではなぜ小池都知事はこのように横文字言葉を多く使うのでしょうか。かつてあるネットメディアの取材に、知事は横文字多用の理由をこう語っています。
・日本にその意味を表すコンセプトがないから。
→っていう「コンセプト」もまた英語ですが、つまり新政策や海外発祥の制度・概念は外国語でないと説明できない、ということ。典型例の「アウフヘーベン」について、某TV番組が「いちご食べたい+大福食べたい=イチゴ大福」と解説したのは言い得て妙でしたね。
・その言葉の意味を何かなと調べることで、知らない人でも知ることができる効果がある。
→あえて分かりにくく耳につくように発信して、関心を高める戦略ということでしょうか。
・日本語に守られすぎ、日本語の論理だけで回していると、世界の速い動きから乖離する。東京が世界で生き残るために外国語で発信している。
→知事はカイロ大留学経験がありアラビア語も英語も堪能な「国際派」だけに、語彙も豊富なのかもしれません。
小池語録に関するネットの反応
- そのうち「バカもホリデーホリデー言ってください」とかルー大柴みたいな事を言いそう。あ、いやディスってませんよ、とても尊敬してます
- 小池さんになってから都の広報にカタカナ並んでておおおってなったわ
- 小池都知事はカタカナ言葉ばかりでうんざり。追いつくのが大変
- インパクトあって人の興味をひくのでアピールするにはいい方法。次はまたどんなカタカナワードを使うのか、楽しみにしてたりして。。。
- 小池知事にしろトランプ大統領にしろカタカナが好きだなと思ったが、トランプ大統領はカタカナでイイんだと気づいて一人赤面
出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 小池知事がまた「東京アラート」など新横文字発信。なぜ多いの?
- 他にもステイホーム・都民ファースト・3つのシティなど語録多数
- 日本語で概念説明しにくい、目立つよう強調と「国際派」小池氏は説明
メディアや公共機関での「横文字多用」は度々問題になっています。かつてある高齢者が「外国語乱用で内容が理解できず精神的苦痛だ」と、NHKに損害賠償を求める訴訟を起こしたことがあったそうです。
この方が「苦痛」という「リスク」「トラブル」など一般用語は確かに「危険」「問題」などと訳すべきかもしれませんが、「スタジオパーク」「ほっとイブニング」「Shibuya Deep A」といった番組名や固有名詞は、「放送公園」「暑い夕方」「渋谷深A」では余計意味不明に…。新しいイメージや柔らかい雰囲気を伝える手法として、外来語表現は日本語らしい特徴といえるのかもしれません。
SNS上でエクストリーム擁護という言葉を最近よく見かけます。エクストリーム擁護とはどのような意味でどんな使い方をされるのでしょう?具体的な事例を挙げて、その使い方を見てみました。ここにもコロナの外出自粛が影響しているのでしょ[…]