【読書初心者用】面白くて読みやすい本をまとめてオススメ!!【30作品】

  • 2022年3月31日

普段から本を読まない人にとって、時間をかけて文字を読み続ける事は苦痛なものだ。

そこで今日はサクサク読めてエンターテイメント性の高い本を紹介したいと思う。読みやすくて面白い小説なら無理なく文章に慣れることが出来て、断続的に文章を読む習慣を身に着けることが出来るはずだ。

つまりこの記事は、

  • 読書の習慣を付けたい中学生、高校生
  • 重厚な作品を読んだのでリフィレッシュしたい社会人
  • 老若男女限らず、読書初心者で集中力を付けたい人

等へ向けた紹介記事になっている。

ルールとして

  • 実際に読んで面白かった作品をまとめとして紹介
  • 2016年の段階で読んだことがある本をランキングではなく順番はランダムで紹介する[随時更新]
  • 現在個別ページがない作品もいずれ個別ページを作成し、映画、ドラマ、漫画、アニメなど、他の媒体になっているなどの詳細情報はそちらに
  • 基本的には良い部分をフォーカスする。気になった点は個別ページに書く。
  • あらすじ・ストーリーは基本amazonからの引用で読んだ時に最大に楽しめるように基本的に重大なネタバレなし
  • ダラダラと長い記事なので目次を活用してもらえるとありがたい
  • 東野圭吾さんの本はどれも読みやすいので今回は除外させていただく

新しい作品との出会いのきっかけになれば嬉しく思う。

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三匹のおっさん #有川浩

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あらすじ

「三匹のおっさん」とは…定年退職後、近所のゲーセンに再就職した剣道の達人キヨ。柔道家で居酒屋「酔いどれ鯨」の元亭主シゲ。機械をいじらせたら無敵の頭脳派、工場経営者ノリ。孫と娘の高校生コンビも手伝って、詐欺に痴漢に動物虐待…身近な悪を成敗。

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感想

『植物図鑑』『フリーター家を買う』などでゴリゴリ売れてる有川浩作品。現代版水戸黄門、もしくは現代版三匹が斬るといった痛快な作品。ハラハラドキドキで結末が予想できない物語ではなく、正義が悪をこらしめるという良い意味で安心して読めて気持ちいい作品。読み始めは主人公のキヨ達の立場が切なくて世知辛い世の中だなぁと感じるが、三匹が揃ってからは楽しくサクサク読める。登場人物でいうと孫の祐希くんの存在が程よいアクセントになっていて物語のバランスが保たれていたきがする。終わりの方では祐希が中々いい男になるからそこを楽しみに読んでもいいと思う。

ちなみに続編の『三匹のおっさん ふたたび』は社会に対する問題提起が強過ぎて辟易するので読みたければどうぞ、といったところ。

金曜のバカ #越谷オサム

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あらすじ

天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬の行き着く先は―?(「金曜のバカ」)「また、星が降る夜に逢えたらいいね」―流星雨の夜に出会った少女が残した言葉が、今胸によみがえる。(「星とミルクティー」)不器用だけど一途な思いを抱えた“バカ”たちが繰り広げる、愛と青春の日々。何かを好きになった時のときめきと胸の高鳴りに満ちた、ほっこりキュートな傑作短編集。

感想

陽だまりの彼女などのキュートな恋愛小説も書きつつ、この作品のようにおバカな短編集も描く越谷オサム。表題作の「金曜のバカ」は恋愛のようで恋愛ではない想像と違った展開が続き面白く感じるのではないかと思う。全部で5編の短編集になっており、自己開示する勇気の話で素敵なカップルになりそうなウキウキする作品である「僕の愉しみ彼女のたしなみ」。読者に自然に客観性を持たせて伝えて、ホロリとさせてくれる作品である「ゴンとナナ」などは中長編で読みたくなる良作だと思う。バカになったり、バカに出会ったり、素敵な”バカ”と触れ合える愛すべき短編集になっているのでリラックスして読んでほしい。

和菓子のアン #坂木司

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あらすじ

デパ地下の和菓子店「みつ屋」で働き始めた梅本杏子(通称アンちゃん)は、ちょっぴり(?)太めの十八歳。プロフェッショナルだけど個性的すぎる店長や同僚に囲まれる日々の中、歴史と遊び心に満ちた和菓子の奥深い魅力に目覚めていく。謎めいたお客さんたちの言動に秘められた意外な真相とは?読めば思わず和菓子屋さんに走りたくなる、美味しいお仕事ミステリー。

感想

偏見を持たれたくないとの理由で性別非公開の坂木司さんの作品。でも登場人物の傾向をみると絶対確実に女性だと僕は思っている。題名がキャッチーなので手に取りやすいが、和菓子の知識とそれに伴うストーリーは興味を誘うのでサクサク読み進んでしまう。姉妹作品でクリーニング店を舞台にした『切れない糸』という作品もあり若干のつながりがあるので興味があれば手に取ってもらいたい。ちなみに王子様的イケメン役の立花はどう考えてもおネェにしか読み取れないので皆さんも読んで確かめてほしい。
ちなみに続編にあたる『アンと青春』があるのでそちらも是非。

ジョーカー・ゲーム #柳 広司

あらすじ

結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。

感想

基本的には歴史上の偉人をモチーフに作品を作っていた柳広司が作風を変化させた一作目。登場人物たちと読者をドキドキさせつつ掌で転がしてくれるので、読み始めの時代背景に上手く適応出来れば非常に読みやすい作品になっている。謎を感じさせるための演出として、D機関に属する面々の人格や背景を敢えて掘り下げてないような作品になっており、その中でも作品の最大の謎にして最大の魅力は”結城中佐”であることは間違いない。とにかく結城中佐が格好良い。ほとんど感情を見せない結城中佐だが、収録作「XX」で隠れた人間性をほんの少し見せるので楽しんで読んでもらいたい。
シリーズもので続編の『ダブル・ジョーカー』『パラダイス・ロスト』『ラスト・ワルツ』も出ていて普通に面白いが作風に耐性がない分、1作目が一番ドキドキできると思っている。

阪急電車 #有川浩

あらすじ

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。乗り合わせただけの乗客の人生が少しずつ交差し、やがて希望の物語が紡がれる。恋の始まり、別れの兆し、途中下車―人数分のドラマを乗せた電車はどこまでもは続かない線路を走っていく。ほっこり胸キュンの傑作長篇小説。

感想

ほっこりほこほこな有川作品。やはり有川作品は全体的に読みやすい。それぞれの章の登場人物が少しずつ重なってるところが上品に感じられ、読んでいてニコニコ出来て(最終的には)ストレスの溜まらない話になっているので気持ちがいい。孫を連れたおばあちゃんが迷惑おばさんにとった態度が素晴らしく、自分もそんな教育をしたいなぁとしみじみ思う。他にもほっこりしたカップルや、悩みを抱えた人たちが登場して片道15分の電車の中で様々なドラマを見せてくれる。メッセージ性が強い最近の有川作品よりも、この作品のように何気ない日常の一面を切り取ったような作品の方が僕は好きだ。

 

世界でいちばん長い写真 #誉田哲也

あらすじ

内藤宏伸は中学三年生。去年まで大の仲良しだった洋輔が転校したことで、すっかり塞ぎ込んでいた。やりたいことも、話したい相手もみつからず、すべてがつまらない。写真部にはいちおう籍をおいているけれど、同級生で部長の三好奈々恵に厳しく作品提出を迫られ、けれど、撮りたいものもみつからない。そんなある日、宏伸は、祖父の経営する古道具屋で、一台の奇妙なカメラを見つける。それは、台座が一回転して、三六〇度すべてを一枚の長い写真に納められるという風変わりなものだった。カメラとの出会いをきっかけに、宏伸は「世界で一番長い写真」を撮りたいという思いを抱き始める。でも、それだけの長さ、撮りたいと思える被写体って、なんだろう?! 

感想

誉田哲也さんの爽やか系作品は全部読みやすいが、その中でもこの作品は特にクセがなく読める良作。自分に自信がなかった主人公の変化の描写が、主人公の感覚ではなく周囲との会話やリアクションで感じとれる表現は、思春期における男子中学生を表現する最良の方法だと思う。カメラの話ではあるが特に専門的な話は出ないし、題名や題材もワクワクする内容で読みやすく爽快な作品になっている。熱い挑戦や地道な努力も素敵なものだが、心の底から夢中になれる何かに出会う話も同様に魅力的なものだ。

 

階段途中のビッグ・ノイズ #越谷オサム

あらすじ

軽音楽部の廃部を取り消せ!優柔不断が玉にキズの神山啓人は、猪突猛進型幽霊部員の九十九伸太郎に引きずられて行動を開始する。目指すは文化祭での一発ドカン!!のはずが…。周囲の冷たい視線、不協和音ばかりの仲間達、頼りにならない顧問。そこに太ももが眩しい同級生への恋心も加わって―。啓人達は見事にロックンロールできるのか。

感想

読みやすいということは、主人公たちと共に物語の中に入っているということでもあり、そういった意味でこの作品で感じられる共に歩む疾走感は格別なものがる。越谷オサムの文章自体が読みやすいが、閉塞感を乗り越えていく一体感や、屋上の扉を突き抜けていく爽快さは他では味わえない。メンバーの結束が高まって一気に駆け抜けていく様は痛快で泣けて笑顔になれるので、一度この世界に触れて肌に合うと、ずっと浸っていたくなることは間違いない。文章がポップなのに内容が浮ついてみえない所は作者の凄さだと思う。

珈琲店タレーランの事件簿 #岡崎琢磨

あらすじ

京都の小路の一角に、ひっそりと店を構える珈琲店「タレーラン」。恋人と喧嘩した主人公は、偶然に導かれて入ったこの店で、運命の出会いを果たす。長年追い求めた理想の珈琲と、魅惑的な女性バリスタ・切間美星だ。美星の聡明な頭脳は、店に持ち込まれる日常の謎を、鮮やかに解き明かしていく。だが美星には、秘められた過去があり―。軽妙な会話とキャラが炸裂する鮮烈なデビュー作。

感想

女性のホームズ役に男性のワトソン役で展開するライトミステリーなので、よくビブリアと比較されており、同様に読みやすいのでおすすめしたい。作品の特徴として珈琲が出てくるので、是非ともカフェでコーヒーを味わいながら読んでると幸せな気持ちになれそう。ただし、第一作目に関しては諸事情で時系列が若干わかりにくく書かれている作品なので、その解りづらさの壁だけは根気よく付き合ってもらえたら嬉しい。物語全編を通して読者が驚ける作品になっているが、そこに触れるのは無粋なので”楽しめる作品”である事だけお伝えしたい。

陽だまりの彼女 #越谷オサム

あらすじ

幼馴染みと十年ぶりに再会した俺。かつて「学年有数のバカ」と呼ばれ冴えないイジメられっ子だった彼女は、モテ系の出来る女へと驚異の大変身を遂げていた。でも彼女、俺には計り知れない過去を抱えているようで―その秘密を知ったとき、恋は前代未聞のハッピーエンドへと走りはじめる!誰かを好きになる素敵な瞬間と、同じくらいの切なさもすべてつまった完全無欠の恋愛小説。

感想

前情報がない状態で読み始めると、ガッチリ恋愛小説なので戸惑ってしまう作品だが、普通に感動してしまう作品。全体的に軽いタッチではあるが、話が浮付いて見えない越谷オサムの筆の色が出ており、それでいてただの恋愛小説ではない所がにくい所。明るく煌びやかな新婚生活を経験した事がある人は、この作品への感情移入がたまらないものがあるに違いない。肌のぬくもりや、名前を読んで答えてくれる人が隣にいることは、何にも代えがたい幸せであるという事なのだろう。ちなみに、amazonのあらすじではハッピーエンドと書かれているが、この作品をハッピーエンドと捉えるかどうかは意見が分かれるところだろう笑。

午前零時のサンドリヨン #相沢沙呼

あらすじ

ポチこと須川くんが、高校入学後に一目惚れしたクラスメイト。不思議な雰囲気を持つ女の子・酉乃初は、実は凄腕のマジシャンだった。放課後にレストラン・バー『サンドリヨン』でマジックを披露する彼女は、須川くんたちが学校で巻き込まれた不思議な事件を、抜群のマジックテクニックを駆使して鮮やかに解決する。それなのに、なぜか人間関係には臆病で、心を閉ざしがちな初。はたして、須川くんの恋の行方は―。学園生活をセンシティブな筆致で描く、連作ミステリ。全選考委員が「うまい」と評した第十九回鮎川哲也賞受賞作。

感想

相沢沙呼のデビュー作にして鮎川哲也賞受賞作。マジックとミステリーを上手く融合させて物語にしている意欲作なので面白味がある。デビュー作という事もあり要所で空回りな言い回しが多く、文章のポップさと内容の重さに違和感を覚えたり全体的に集中しにく作品でもあるが、細かい違和感は置いておいて、物語の展開は本当に見事に感じられる。ヘタレな須川くんの気障な言い回しに少し苛つきつつも、ヒロインの酉乃さんの魅力は最後まで読ませる力を持っていると思う。ちなみに『ロートケプシェン、こっちにおいで』という続編も出ており、須川くんと酉野さんのささやかな恋愛の続きが見れるので興味があれば是非。

万能鑑定士Qの事件簿Ⅰ #松岡圭祐

あらすじ

東京23区を侵食していく不気味な“力士シール”。誰が、何のために貼ったのか?謎を追う若き週刊誌記者・小笠原は、猫のように鋭く魅惑的な瞳を持つ美女と出会う。凛田莉子、23歳―一瞬時に万物の真価・真贋・真相を見破る「万能鑑定士」だ。信じられないほどの天然キャラで劣等生だった莉子は、いつどこで広範な専門知識と観察眼を身につけたのか。稀代の頭脳派ヒロインが日本を変える!書き下ろしシリーズ第1弾。

感想

The読みやすさ。悪く言えば会話ばかりの本だが、ストーリー展開とライトなタッチは読んでいてクセになる。少しネタバレをするが、1作目は三つの時系列が混在して進んでいく不思議なプロットになっており、中盤に一度シリアスな未来の出来事が入る。その巧みな展開で勝手に興味が引かれるので文章の軽さが気にならずに物語に浸れ、さらに妙な緊張感と共に読んでいけるところが素晴らしい。1巻と2巻は二つでひとつの物語なので、読まれる方は2巻セットで購入することを勧めたい。その2冊を読んで、この長いシリーズと付き合っていくか決めてみるのも良いのではないかと思う。

キケン #有川浩

あらすじ

成南電気工科大学機械制御研究部略称「機研」。彼らの巻き起こす、およそ人間の所行とは思えない数々の事件から、周りからは畏怖と慄きをもって、キケン=危険、と呼び恐れられていた。これは、その伝説的黄金時代を描いた物語である。

感想

↑のamazonのあらすじは半分嘘です、笑。有川さんの素敵なご主人の体験をベースに描かれた理系ドタバタ青春物語。軽いタッチでドタバタな日常を描いていているので、仲間になったつもりでサラリと物語に入っていける。さらに、そのドタバタな日常とは別に、章間に大人になった誰かの話も展開する。青春時代を切り取った小説でもあるし、昔を懐かしむ小説としても読めるので、10代が読んでも40代が読んでも満足できる話になっていると思う。少しネタバレするが、最後の方で黒板が描かれた絵のページがあり、そこでは胸にこみ上げるものがあった。あの黒板の演出はどうして中々、小憎たらしい。もちろんいい意味でだが。

ビブリア古書堂の事件手帖 #三上延

あらすじ

鎌倉の片隅でひっそりと営業をしている古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。だが、古書の知識は並大低ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも、彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。これは“古書と秘密”の物語。

感想

知名度でいったらNo1かもしれない有名作。始めは軽い雰囲気のではあるが要所要所で締め所があり面白く、栞子さんも可愛い。また、古書に知識がなくとも楽しめるように、知識の薄い大輔とともに本の説明を受けながら読めることも読みやすい。あと、栞子さんが可愛い。本好きな人は嬉しくなるような古書店の雰囲気もやんわり伝わってきてウキウキしてしまう。推理を楽しむというよりも栞子と大輔のストーリーを展開しつつ、古書の紹介を目的としている本でもあるので、結果的にはホント栞子さんが可愛い。

春期限定いちごタルト事件 #米澤穂信

あらすじ

小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある高校一年生。きょうも二人は手に手を取って清く慎ましい小市民を目指す。それなのに、二人の前には頻繁に謎が現れる。名探偵面などして目立ちたくないのに、なぜか謎を解く必要に迫られてしまう小鳩君は、果たしてあの小市民の星を掴み取ることができるのか?新鋭が放つライトな探偵物語、文庫書き下ろし。

感想

『満願』 『王とサーカス』など、作品も面白くて受賞歴も素晴らしい米澤穂信の初期作品。作品名が超ポップで少し恥ずかしい。現在の作風よりもやや軽いタッチで描かれるミステリー作品なので精神的に引っ張られる事がなくサクサク読めて面白い。謎についても日常に起こりうるリアルな謎だったので物語に入りやすく「春期限定いちごタルト事件」を各章に断片的に入れ込む事で、繋がりを持たせ、話を綺麗にまとめあげている印象になっている。
シリーズとして『夏季限定トロピカルパフェ事件』『秋季限定栗きんとん事件(上・下)』があり、ファンとしては『冬季限定~』の出版を待ち望んでいる。出来れば『毒入りチョコレート事件』をインスパイアしたホットチョコレート事件だと嬉しい。

レヴォリューションNo.3 #金城一紀

あらすじ

「君たち、世界を変えてみたくはないか?」オチコボレ男子高に通い、死んだような毎日を送っていた「僕たち」は生物教師ドクター・モローの言葉で突如生き返り、世界を変えるために行動を開始する。その方法は―難攻不落のお嬢様女子高の学園祭に潜入してナンパをすること!果たして「僕たち」の潜入作戦は成功するのだろうか!?革命的おバカストーリーが炸裂する、ザ・ゾンビーズ・シリーズ第1弾。

感想

TVドラマ『SP』の脚本で有名な金城一紀さんの小説。ザ・ゾンビーズが出てくる第一弾作品でもある。何も考えずに全力で走れたあの頃を思い出せるような爽やかな作品で、シンプルに読むことが出来るし、登場人物たちが魅力的であることも特徴。バカで落ちこぼれで暴力的だけど、彼らの世界は正常に機能していく。世の中の理不尽さが話の主軸になりつつも、生きている事の楽しさを描ける心が素晴らしい。世界は自分の中から変えられることを伝えてくれる熱い作品。

エピソード0にあたる『レヴォリューションNo.0』も読みやすくて最高に爽やかな作品になっている。アギーには抱かれてもいい。

フライ,ダディ,フライ #金城一紀

あらすじ

鈴木一、47歳。いたって平凡なサラリーマン。ただし家族を守るためならスーパーマンになれるはずだった。そう信じていた。あの日が訪れるまでは―。一人娘を不良高校生に傷つけられ、刃物を手に復讐に向かった先で鈴木さんが出会ったのは―ザ・ゾンビーズの面々だった!脆くも崩れてしまった世界の中ではたして鈴木さんは大切なものを取り戻せるのか。ひと夏の冒険譚がいま始まりを告げる。

感想

『レヴォリューションNo.3』をはじめとするゾンビーズシリーズの第2作目。シリーズものだが、単体作品として読んでも楽しめるのも特徴の一つ。この作品は高校生が主人公ではなく、47歳の鈴木さんの物語。前半の薄暗い絶望の中から助走をつけて飛び立つような文章構成も心地よく、最高の読後感を味わえる作品の一つ。相変わらずのゾンビーズ、見ていてスカッとするし本当に魅力あふれる人間が書かれている。今作は朴舜臣(パク・スンシン)がほぼ主役格なのも良かった。映画では堤真一が鈴木。岡田准一が舜臣を演じていてどちらも良かった。あとアギーには抱かれてもいい。

 

SPEED (The zombies series) #金城一紀

あらすじ

頭で納得できても心が納得できなかったら、とりあえず闘ってみろよ―。平凡な女子高生・佳奈子の日常は家庭教師の謎の死をきっかけに、きしんだ音を立て始める。謎を探る佳奈子の前に立ちはだかる敵。そして、偶然出会った風変わりなオチコボレ男子高校生たちに導かれ、佳奈子は歪んだ世界に敢然と立ち向かうことを決心する!大人気のザ・ゾンビーズ・シリーズ第3弾。

感想

『レヴォリューションNo.3』をはじめとするゾンビーズシリーズのこちらは第3作目。今作はゾンビーズを同世代の女子高生から見た視点の物語で、青春時代を駆け抜けるSPEED感がまさに表現されている作品。このシリーズの魅力は理屈ではなく仲間がいる安心感を感じられる所だと思う。それは馴れ合いの仲間ではなく、結束があり、駆け抜けたあとに倒れたら骨を拾ってやるぞというべき戦友のような仲間だ。金城先生の本を単純な言葉でまとめたくはないが、一貫して言えるのは「価値観」について大切なもの。くだらないもの。それらを守る為に時に闘わなければいけないし、努力もしなければいけない事を教えてくれる。そしてアギーには抱かれてもいい。

 

植物図鑑 #有川浩

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あらすじ

男の子に美少女が落ちてくるなら女の子にもイケメンが落ちてきて何が悪い!ある日道端に落ちていた好みの男子。「樹木の樹って書いてイツキと読むんだ」。野に育つ草花に託して語られる、最新にして最強の恋愛小説!

感想

どちらかというと女性に薦めたい作品。誠実で料理上手で、付合ったらエロいという空想上のスーパーイケメン・イツキが登場する植物恋愛小説。ただ甘いだけの恋愛小説だと辟易してしまう男性が多いと思うが、恋愛を包みこむ要素が草花や山菜である事により四季が感じられ、それと共に時間の経過がとても自然な流れで伝わってくる。植物というレンズを通した恋愛なので男性も読みやすいかもしれない。女の子目線で描かれてる所が多々あるので、男の立場としてはちょっと苦笑してしまう所もあるが、それはそれで読み物としてとても楽しい。単純に山菜を食べたくなるので影響されて草を食べる時は気を付けよう!

 

幸せの条件 #誉田哲也

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あらすじ

恋も仕事も中途半端、片山製作所勤務の「役立たずOL」梢恵に、ある日まさかの社命が下された―単身長野に赴き、新燃料・バイオエタノール用のコメを作れる農家を探してこい。行く先々で断られ、なりゆきで農業見習いを始めた24歳に勝算はあるか!?働くこと、生きることの意味を問う、『ジウ』シリーズ著者による新境地。

感想

爽やか系の誉田哲也作品。エネルギー問題、食料自給率、農業の実状等、普通に読むと難しい内容を梢恵に教えていく形で描かれている為にたいへん読みやすい。勉強になる側面も多いがそれだけではなく、一人のダメOLである梢恵が、農業を通して仕事の喜びや生きていく事の大変さを身を持って体験していく物語としても楽しめ、農業の会社である「あぐもぐ」の一員になったかのように温かい気持ちで読み切ることが出来るのでぜひ読んでもらいたい。僕自身は「生産者」という職業になろうとしたことがなかったが、生きていくという事に非常に近い位置の職業に感じられるので、新しい自分を発見できるかもしれない。

ルーズヴェルト・ゲーム #池井戸潤

あらすじ

大手ライバル企業に攻勢をかけられ、業績不振にあえぐ青島製作所。リストラが始まり、歴史ある野球部の存続を疑問視する声が上がる。かつての名門チームも、今やエース不在で崩壊寸前。廃部にすればコストは浮くが――社長が、選手が、監督が、技術者が、それぞれの人生とプライドをかけて挑む「奇跡の大逆転(ルーズヴェルト・ゲーム)」とは。

感想

池井戸作品のお家芸である窮地からの努力爽快逆転劇!読了感は流石の爽やかさ&読みやすさで、朝に読み始めて外出先で読み終わった。組織のトップは客観性を持っていなければならない。その客観性とはその性質自体が大きな強みであるというのは、改めて言葉で伝えられると深く納得してしまう。ちなみに野球パートでは解り易いほどの勧善懲悪の物語が展開するのでラストは一緒に盛り上がれる。登場人物の中では圧倒的に笠井さん格好いい。かなり格好いい。一番いい味を出してるかもしれない。

陽気なギャングが地球を回す #伊坂幸太郎

あらすじ

嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった……はずが、思わぬ誤算が。せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

感想

他の伊坂幸太郎作品と少し毛色の違う作品。冒頭に振り落とされなければ、後半に向かってグイグイ盛り上がり、押し上げられるクライムノベル。「正しいことが人をいつも幸せにするとも限らない」というメッセージと共に行われる銀行強盗だが、読んだ感想は単純に”面白い”だ。個人的には響野、とにかく響野が好き。彼がいるだけで場が成り立つので彼の演説の素晴らしさを感じてほしい。
続編の『陽気なギャングの日常と襲撃』も登場人物たちが個性的で活き活きしていて読む価値あり。現在、新作の『陽気なギャングは三つ数えろ』が発売されている。

シアター! #有川浩

【中古】【古本】シアター! アスキー・メディアワークス 有川浩【文庫 日本文学 メディアワークス文庫】

小劇団「シアターフラッグ」―ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!!その負債額なんと300万円!悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが…。

感想

読みやすさといえば有川浩。個人的には有川浩がクドクド説教くさい作風になる寸前の作品だと思っている。アニメや漫画になってもおかしくないほどキャラ小説として成り立っている。しかし同時に劇団のシビアな懐事情を突きつける作品。登場人物達の会話がテンポよく進みすぎて少しチープに感じるが、それも読みやすさの表れ。途中からは程良い時間経過と軽快な会話で楽しめた。この話は有川さんのエンターテイメント(自身の作品含む)に対する考え方を伝えようとしているようで興味深かった。
ちなみに続編の『シアター!〈2〉』も発売されており、内容は面白いのだが、少し恋愛要素が強すぎておっさんの僕にはつらい笑。

ステップファザー・ステップ #宮部みゆき

あらすじ

中学生の双子の兄弟が住む家に落っこちてきたのは、なんとプロの泥棒だった。そして、一緒に暮らし始めた3人。まるで父子のような(!?)家庭生活がスタートする。次々と起こる7つの事件に、ユーモアあふれる3人の会話。宮部みゆきがお贈りする、C・ライス『スイート・ホーム殺人事件』にも匹敵する大傑作!巨額の遺産を相続した若い独身女性の家に侵入してみると、なぜかどの部屋のなかも鏡だらけ。意外な結末が待ち受ける「ステップファザー・ステップ」など、すばらしい着想と軽妙なユーモアに彩られた傑作7編。

感想

宮部みゆきさんのライトタッチミステリー。20年も前の作品なのに、まったく古さを感じないのは流石。最近の重厚な心理描写が描かれる作品ももちろん好きだが、昔描いていた少年が主人公の作品も僕は好きでオススメしたい。少年が主人公でも気持ちホロ苦感が出る作風の宮部作品だが、この作品はそこまで重い感情にならないので、丁度いい箸休めになる印象がある。泥棒の父親と脅迫する息子たちによる疑似親子の掛け合いや、心のつながりは割と好きだったりする。ハートフルに楽しく読めますよ。

校閲ガール #宮木あや子

あらすじ

ファッション誌の編集者になる! という夢を抱えて出版社に就職した河野悦子(こうの・えつこ)が配属されたのは校閲部だった! 担当する原稿や周囲ではたびたび、ちょっとした事件が巻き起こり……! ? 読んでスッキリ、元気になる! 最強のワーキングガールズエンタメ☆ 憧れのファッション雑誌の編集者を夢見て、根性と気合と雑誌への愛で、激戦の出版社の入社試験を突破し 総合出版社・景凡社に就職した河野悦子(こうの・えつこ)。

感想

校閲という文書・原稿などに目をとおして正誤・適否を確かめること仕事に就いたファッション大好きな河野悦子活躍を描く作品。珍しい職業の裏側を知れる事も面白さだが、それだけではなく登場人物たちの会話もテンポが良くて話の展開もサクサクと読みやすい。ファッション雑誌の編集になりたい主人公だが、その為には今の校閲の仕事を頑張るしかなく、好きな職業ではない仕事に対しても真摯に向き合っていく姿勢は好感が持てるし、何よりも興味がないからこそ冷静に校閲が出来るという特殊な仕事には興味が引かれるものがある。ちなみに続編として、『校閲ガール ア・ラ・モード』と『校閲ガール トルネード』がある。

神去なあなあ日常 #三浦しをん 

あらすじ

美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。

感想

三浦しをんの林業を題材にしたお仕事小説。高校を卒業したばかりの主人公・勇気が担任と母親から無理やり林業が盛んな神去村に就職させられる。初めは嫌々だったが、徐々に神去村の「なあなあ」な空気や森の環境に触れて変わっていく様子が描かれている。会話のテンポが良く、一人称で語られているので感情移入もしやすい所はとても読みやすいはず。森や水や雲や山と同じように当たり前に受け入れられている神去村の神さまや御神木の存在も、なあなあな感じで受け入れている自分がちょっと好きになれる作品だ。ちなみにクライマックスの祭りもド派手で楽しい。続編の『神去なあなあ夜話』が出ており、本作を読んだ人は確実に読みたくなる楽しい話だ。

 

退出ゲーム #初野晴

あらすじ

穂村チカ、高校一年生、廃部寸前の弱小吹奏楽部のフルート奏者。上条ハルタ、チカの幼なじみで同じく吹奏楽部のホルン奏者、完璧な外見と明晰な頭脳の持ち主。音楽教師・草壁信二郎先生の指導のもと、廃部の危機を回避すべく日々練習に励むチカとハルタだったが、変わり者の先輩や同級生のせいで、校内の難事件に次々と遭遇するはめに―。化学部から盗まれた劇薬の行方を追う「結晶泥棒」、六面全部が白いルービックキューブの謎に迫る「クロスキューブ」、演劇部と吹奏学部の即興劇対決「退出ゲーム」など、高校生ならではの謎と解決が冴える、爽やかな青春ミステリの決定版

感想

吹奏楽部の日常の謎を主人公のチカとハルタが解決することで弱小吹奏楽部の部員が増えていくRPG的な展開で、吹部の甲子園である普門館を目指すという青春作品。主人公のハルタとチカを含めて登場人物たちのそれぞれのキャラクターが立っており、会話のリズムも軽快なので物語に入りやすい。謎・吹奏楽・青春といった楽しめる要素がそろっており、続編になればなるほど青春小説としての流れが強くなるが、物語の展開が意外と重かったりして少し心にダメージを負うので注意が必要だ。『初恋ソムリエ』『空想オルガン』『千年ジュリエット』『惑星カロン』という続編が出ている。

学校のセンセイ #飛鳥井千砂

あらすじ

センセイって、もっと特別な人がやるものだと思ってたんだ。とくにやりたいことがなく、気がつけば先生になっていた。生徒は可愛げがないし、同僚とのつきあいも面倒だ。それでも、“センセイの日々”は続いて行く…。第18回小説すばる新人賞受賞作家が描く、“フツーの教師”の青春物語。

感想

この作品の最大の魅力は“共感”だ。あらすじにもあるようにフツーの教師のフツーの学校生活の物語なのだが、主人公である桐原の人間関係における考え方・気持ちに、驚くほど共感してしまうという特徴がある。これほど共感力のある小説も珍しい。そのまま自己投影しつつ主人公に同調しながら読んでいると、中盤以降では桐原と共に人間として一歩成長でき、人との関わりあいの大切さに気が付いていける展開になっている優しい物語だ。子供に対してしっかりと大人の対応をしなければならないというのは身にしみる。

カラフル #森絵都

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あらすじ

生前の罪により、輪廻のサイクルから外されたぼくの魂。だが天使業界の抽選にあたり、再挑戦のチャンスを得た。自殺を図った少年、真の体にホームステイし、自分の罪を思い出さなければならないのだ。真として過ごすうち、ぼくは人の欠点や美点が見えてくるようになるのだが…。不朽の名作ついに登場。

感想

軽い文体と読みやすい表現で描かれた森さんのSF・・・というかなんというか、自殺を図った真の身体に一時的に入って、自分の罪を思い出さなければいけないという不思議な生まれ変わりのお話。森絵都さんならではの柔らかい表現が読みやすくて、読んでいる時間を忘れさせてくれるのも魅力だが、生まれ変わりや命をテーマにしているのに、作品を漂う雰囲気がちょっぴりふざけてる感じもとても読みやすい。自分の中に入り込み過ぎず、客観的に自分の生き方を観る事は人生を生きる為の大切なポイントであることをそっと教えてくれる作品だ。

 

ぼくは明日、昨日のきみとデートする #七月隆文

あらすじ

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて―。「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。彼女の秘密を知ったとき、きっと最初から読み返したくなる。

感想

映画化もされた恋愛小説。なんとなく構成が『陽だまりの彼女』に近い感覚。多くの方は序盤でシステムというか時間のすれ違いについては見当がつくと思うが、そこに気づいたとしても登場人物たちの感情のすれ違いのせつなさが一ミリも揺らがないのが凄い。SFラブストーリー物として、同じ時間を共有しているようで共有できていないという孤独の感情は新鮮で、今この瞬間に自分が誰かと時間を共有できていることの大切さを教えてくれる。お互いの最終日に相手に伝える「また会えるよ」という言葉は想像すると涙が止まらない。

 

これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ #青木祐子

あらすじ

森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができて、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ちこんだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる?

感想

経理から人間関係を読み解く・・・というよりも巻き込まれていく森若さんの話。ストーリーや小さな謎を解いていく様子も面白いのだが、この作品の一番の魅力は主人公の森若さんの人間性だ。さすが、タイトルの副題に名前が入っているだけの事はある。森若さんは自分自身に小さな劣等感を抱いているようで、その謙虚なスタンスと仕事の割り切り方もとても魅力的に映るし、何よりもカワイイ。太陽に迫られる森若さんカワイイ!その可愛さだけでこの本を読む価値がある。以上

あ、一応、シリーズものなので続きもどうぞ。

最後に

長く文章を読むにはある種の”慣れ”の要素が必要だが、誰だって初めから難解で読みにくい本を楽しむ事は難しい。しかし、文章に慣れるためにはある程度の文章量を継続的に読まなければならない。

文章を読むために”慣れ”が必要なのに”慣れ”る為には文章を読むことが必要になるというパラドックスが発生する。

また、作品ごとの読みやすさだけではなく読みやすい文章を書く作家という考え方もある。伊坂幸太郎東野圭吾シドニィシェルダンなどが書く小説は読みやすく、速筆にも拘らずアベレージが高い。

ちなみに僕は小中学生の頃、赤川次郎作品を読みまくっていた。三毛猫ホームズシリーズや三姉妹探偵団も面白かったが、特に好きだったのは泥棒夫婦シリーズで、全ての作品を読み漁ったことを覚えている。今思うと、赤川次郎作品を大量に読むことで文章に慣れたのではないかと思う。

皆さんが楽しく文章に慣れることが出来る作品や作家と出会うための参考になればと思う。

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