本格的な台風シーズンに入り、日本に次々と極めて強いと言われる台風がやってきます。
日本とアメリカの違いも一目でわかるように、台風の強さの段階を表にしました。
台風の強さの表現の変遷に加え、気圧の単位ヘクトパスカルやスーパー台風の意味について説明して行きます。
台風の強さの段階を分かりやすく表に
風の強さで表す台風の強さの段階を順に分かりやすく表にしてゆきます。
台風の強さの表現
日本の気象庁ではかって、最大風速17.2m/sを弱い熱帯低気圧とし、これを超えるのを、弱い台風、並の強さの台風、強い台風、非常に強い台風、猛烈な台風という5段階に分類していました。
さらに台風の大きさについても、風速15m/s以上の半径で表し、200km未満のごく小さい台風から順に、小型(小さい)の台風、中型 (並みの大きさ) の台風、大型の台風から800km以上の超大型の台風と5段階に分類していました。
これらを組み合わせて「大型で並の強さの台風」などと表現していましたが、「ごく小さく弱い台風」と表現した場合、予報を受ける側からすると「大した影響がない」「小雨程度」など軽微なものと誤解される可能性があり、防災上好ましくないということになったのです。
弱い熱帯低気圧の予報のなか、1999年(平成11年)8月14日に発生した玄倉川水難事故が契機になったとも言われています。
そこで、2000年(平成12年)6月1日から、台風の強さについて「弱い」や「並の」といった誤解を生む表現をやめて、「強い」、「非常に強い」、「猛烈な」の3種に、大きさについても、「ごく小さい」「小型」「中型」をやめて、「大型」、「超大型」の2種のみにしたという経緯があります。
台風の強さの段階・日本
現在の気象庁の台風の強さの段階を以下に示します。
改定前の旧表記を併記しました。
また、国際分類と対比して示します。
いずれも、10分平均の最大風速を用いている点に注意が必要です。
最大風速(m/s) | (現在) | (旧) | 最大風速(knot) | 国際分類 | クラス(階級) |
---|---|---|---|---|---|
<17.2 | 熱帯低気圧 | 弱い熱帯低気圧 | ≦33 | Tropical Depression /トロピカル・デプレッション | 2 |
17.2 – 24.5 | 台風 | 弱い台風 | 34 – 47 | Tropical Storm /トロピカル・ストーム | 3 |
24.6 – 32.6 | 台風 | 並の強さ台風 | 48 – 63 | Severe Tropical Storm / シビア・トロピカル・ストーム | 4 |
32.7 – 43.7 | 強い台風 | 強い台風 | 64 – 84 | Typhoon / タイフーン | 5 |
43.7 – 54.0 | 非常に強い台風 | 非常に強い台風 | 85 – 104 | Typhoon / タイフーン | 5 |
>54.0 | 猛烈な台風 | 猛烈な台風 | ≧105 | Typhoon / タイフーン | 5 |
台風の強さの段階・アメリカ
米軍合同台風警報センター(JTWC)など米国の気象機関では、最大風速に基づきタイフーン強度以上の熱帯低気圧を分類しています。
1分平均の最大風速を用いている点が、上記と違う点です。
国際分類 | 分類(サファ・シンプソン・スケール) | 最大風速(knot) | 最大風速(m/s) | 日本 | 日本の最大風速(m/s) |
---|---|---|---|---|---|
タイフーン | 1 | 64 – 82 | 33 – 42 | 台風 | 17.2 – 32.6 |
タイフーン | 2 | 83 – 95 | 43 – 48 | 強い台風 | 32.7 – 43.7 |
タイフーン | 3 | 96 – 113 | 49 – 58 | 非常に強い台風 | 43.7 – 54.0 |
タイフーン | 4 | 114 – 135 | 59 – 69 | 猛烈な台風 | >54.0 |
タイフーン | 5 | 135- | 70- |
ここに、日本の現在の基準を最大風速 (m/s)をもとに、比較しました。
10分平均の最大風速と1分平均の最大風速の外、以下の違いがあります。
JTWCで、最大風速33m/s未満の台風に分類しない熱帯低気圧も、日本では台風に分類する
日本で54.0m/s以上はすべて猛烈な台風だが、JTWCでは、分類4、分類5に分かれ、さらに67 m/s 以上の台風をスーパー台風と呼んでいます。
ヘクトパスカルとは?
ヘクトパスカル(hectopascal、hPa)は気象学で用いられる国際単位系 (SI) 上の圧力の単位(SI組立単位)です。
1ヘクトパスカルは100パスカルとなります。
気象の圧力の大きさとしては、1気圧が、1バールと極めて近かったので、1000分の1のミリバールが、気圧の単位として広く使われてきたが、国際単位系 (SI)への移行にあたり、ミリバールと全く同じ大きさの数値の圧力の単位であるヘクトパスカルが、気圧の単位として使われるようになりました。
すなわち、1 気圧(標準大気圧)(atm)
= 1.01325 bar
= 1013.25 mbar
= 1013.25 hPa
= 101325 Pa
となります。
日本では、1992年12月1日に切り替わりました。
スーパー台風の強さとは?
JTWC は、130 knot 以上の最大風速を持つ台風をスーパー台風と読んでいます。
スーパー台風としては、最大風速が67 m/s 以上に相当する台風で、観測史最速の暴風・風速を記録し、高潮でフィリピンに大きな被害をもたらしたハイエンがもっとも有名です。
まとめ
- 台風の強さの段階を日本とアメリカの違いが分かるように表にまとめた
- 2000年に日本で台風の強さの表現を変更したのは、1999年の水難事故がきっかけになった
- スーパー台風は、米軍合同台風警報センター(JTWC)が、1分平均の最大風速が67 m/s 以上の極めて強い台風を定義したもの
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