WHOは11月26日、南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株を「オミクロン株」と命名しました。
コロナの変異株名前の付け方とその理由を探り、オミクロンの次は何になるのかを予想します。
WHOがギリシャ文字2文字をスキップしてオミクロン株と名付けたことに対するSNSの反応を海外を含めてみてゆきます。
コロナ変異株の名前の付け方
コロナ変異株の名前は、WHOがギリシャ文字を使って付与しています。
当初、WHOは、変異株が初めて確認された国名を呼称に使用してきましたが、呼称となる国への差別につながる恐れがあるとしてギリシャ文字を使う方針に切り替えました。
それまでの英国株、インド株をそれぞれアルファ(α)株、デルタ(δ)株などと言い換えることにしたのです。
現在は、コロナ変異株ウイルスの出現が確認され、従来株と比較して、感染症、重篤度、ワクチン効果などに影響を与える可能性があることが分かると名前が付けられます。
まず、注目すべき変異株(VOI)として指定され、名前が付けられます。
さらに、従来株からの変化が大きく、感染拡大や重篤化が懸念されるものについては、懸念される変異株(VOC)と指定され、名前が付けられます。
ラムダ(λ)、ミュー(μ)は、VOIとして、監視されていますが、今回の南アフリカなどで発見されたオミクロン(ο)株は、感染拡大や重篤化が懸念されると判断し、VOCとして、直ちに名前が付けられたようです。
初期にVOIであったものが、VOCとなった変異株や、VOCであったが、その後の研究調査によりVOCからはずされた変異株もあります。
ゼータ(ζ)、シータ(θ)、イオタ(ι)株などです。
これまで、名前が付けられた変異株の名称を発生国・地域と、VOC,VOIの区別ともに一覧表にしました。
【オミクロン株入国規制 世界次々】https://t.co/mlgbGfBB9i
世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」を「懸念される変異株」と指定したことを受け、米国がアフリカ南部8カ国からの外国人の入国を29日から原則禁止するなど、各国は入国規制などの対応を急いでいる。
— Yahoo!ニュース (@YahooNewsTopics) November 28, 2021
ギリシャ文字の理由
変異株を指し示す場合には、WHOなどの公的な文書では、科学者の間で使われる「B.1.1.7」(英国の変異株)などの呼称が使われています。
しかし、一般の人にとって、こういった呼称は難解で言いづらく、覚えにくいため、メディアなどではわかりやすさのため、最初に変異株が見つかった国や地域を冠した呼び方がされてきました。
例えば、英国株、インド株などです。
しかし、最初に見つかったからといって、その国で変異株が生まれたとは限らないのにもかかわらず、あたかもその国が発祥地のようにとらえられ、その国にルーツのある人が差別される懸念がでてきます。
さらに、「汚名」を着せられることを嫌がって、変異株を見つけた国などが発表を控えれば、世界的なコロナ感染対応の遅れにつながるおそれも出てきます。
ギリシャ文字は、円周率のパイ(π)、総和のシグマ(Σ)など数学や物理、天文といった幅広い学問で記号として用いられてきた中立的な記号です。
WHOが変異株にギリシャ文字を使ったのは、これらの事情を考慮したためだと推測されます。
ただ、これほど注目すべき変異株が次々と出てくるとは予想されていませんでしたので、15番目のオミクロン(ο)を使うと、残り9文字となり、今後どうするかを考える必要が出てきます。
オミクロンの次は…
今回の変異株がオミクロンと名付けられたのに、疑問とする声もあります。
ギリシャ文字のアルファベット順なら南米で発見され、他12番目のミュー(μ)株の次のニュー(ν)株となるはずが、なぜかニュー(ν)、クサイ(ξ)と2文字を飛ばして、オミクロン(ο)とされました。
WHOからその理由は明らかにされていませんでしたが、WHOが中国への配慮などから原則を曲げて決めたとの見方が出ています。
ギリシャ文字のアルファベット「クサイ」が中国の習近平国家主席の姓である「習」の英語表記「XI」と同じためだというものです。
The TelegraphのシニアエディターであるPaul Nuki氏によれば、
WHOが当該ギリシャ文字に関連するいくつかの混乱を避けるために、当該ギリシャ文字を飛ばしたとTwitterで述べています。WHOの関係者は、ギリシャ語の「Nu」と「Xi」の文字が意図的に回避されたことを確認しましたということです。
Nuは「新しい」という言葉との混乱を避けるためにスキップされ、「Xi」は「地域の汚名を避ける」ためにスキップされていたと、いうことです。
すべてのパンデミックは本質的に政治的!とPaul Nuki氏に書いています。
しかし、WHOのこの決定は、SNSで、多くの投稿を呼び起しました。
なお、11月28日にようやく発表されたWHOの説明では、
「ニュー」(英語表記nu)は英単語の「new」と混同しやすいと説明。「xi」は姓として使われ、WHOのガイドラインは新しい感染症に名前をつけるときに地名や人名を疾患名に含めてはならないとしているため、「クサイ」を避けたとしている。
オミクロンの次は順番から言うと、パイ(π)株となります。数学者全員の怒りを買うのではとの声もありますが、地名や人名ではないので、問題は少ないと予想されます。
でも、残りの9文字には、人名を想起させるなど問題となるギリシャ文字もあります。
ギリシャ文字で足らなくなった場合も含め、今後WHOは混乱を招かないために、スキップの考え方も含めて、あらかじめ発表しておくのが好ましいと思われます。
コロナ変異株の名前に関するSNSの反応
- NuやMuもアジアでは一般的な苗字だし、Deltaも航空会社だし、GammaやThetaも世界にたくさんあって問題ないけど、Xiだけは問題なんだ。
- 地域に汚名を着せないためだって?ギリシャの文字を使った変異株が増えることで、ギリシャが汚名を着せられることを心配していないのでしょうか?
- 次の変異株では、数学者全員を怒らせることになるので、円周率πを省略するでしょう。
- 率直に言って理にかなっていますが(オミクロンは電子レンジのブランドのように聞こえますが)、アルファベットが足りなくなったらどうなるのでしょうか? Billのようなハリケーン・ネームが出てくるのか?
- 変異株名に固有の国名をつけないためにギリシア文字を使ったのですから、中国人名に配慮するのはわかりますが、だったら最初から24文字しかないギリシア文字なんか使わなきゃ良かったのにと思います。変異株名にギリシア文字使った時点で、おいおい大丈夫か?喧嘩売ってるか?と心配した人だっていたでしょう。
出典:Twitter(海外)、ヤフコメ
まとめ
- コロナ変異株の名前の付け方とギリシャ文字にした理由を解説した
- 今回ギリシャ文字の順番から2文字飛ばしてオミクロン(ο)株としたWHOに対する反応をまとめた
- オミクロン(ο)の次の変異株の名称は順番通りパイ(π)株と予想する
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