新型コロナウイルスの感染状況の傾向をつかむ新指標K値が注目されています。
K値とは?新コロナ指標を分かりやすく解説してみました。
特に日本全体や大都市の感染収束状況を表すのに有効ということで、政府や神奈川県も参考値として用いようとしています。
その5つの特長と、使用にあたって注意すべき4つの項目をまとめました。
K値とは?コロナ指標を分かりやすく解説すると
新しいコロナ指標K値を分かりやすく解説してゆきましょう。
K値とは大阪大核物理研究センターの中野貴志教授らが提唱した新しいコロナ指標で、感染状況の傾向を見る指標として使われます。
計算は簡単で、直近1週間の新規感染者数を累積感染者数で割った数値で、小さいほど収束に向かっていることを意味します。
具体的には、感染初期の3月25日を起点とし(第1波の混入を排除するため3月24日以前はリセットする)、3月25日から3月31日の1週間の感染者数は累積感染者数と一致しますので、初日の4月1日のK値は1.00となります。
それ以降は日ごとにK値を計算してゆきます。
1週間の感染者数が大きな増加を見せない限り、K値は1.0を割ってきます。
縦軸をK値にして、横軸を経過時間(日)とすると、直線的な動き(線形トレンド)をすることが分かり、感染の初期の段階でどのように感染が進んでいるか、ピークアウト後どのように収束して行っているかということが分かる指標となっています。
5/31付の東京都HPのデータ使用して、東京都のK値を計算し、グラフ化しました。
5 月 2 日以降の K 値の連続した上昇は、複数の病院でクラスター感染が起こったことが原因とされています。
制限緩和を決めたドイツの5月6日のK値は0.044、11日にフランスが外出制限を解除した日のK値は0.059となることなどから、0.05を制限解除の目安になるとしています。
これは1週間の新規感染者数が「10万あたり1.7人」となり、政府の「10万人あたり0.5人程度以下」より緩やかとなっています。
K値の5つの特長
1. 1週間の感染者数を使うので、日ごとの増減に惑わされない。
2. 収束状況が直線的に表されるので、大きな傾向が視覚化され、今後の収束予測に使える。
3. 直線からのずれをクラスターの発生等と結びつけて説明できる。
4. 解除基準を数値で明示できる(0.05など)。
5. 実行再生産数Rなどに比べて、速報性が高く、計算が容易。
なお、K値のKは神奈川のKとすると、中野貴志教授は、神奈川県での講演の際に質問に答えています。
直近の1週間感染者がなければ、K値が0となり、少なくともその波は収束したと言えます。
K値は小さくなると直線から外れて曲線になりますので、これを近似して0となる日を予測することになると思えますが、まだここまでには至っていないようです。
K値を用いる場合の注意点
1.日本の4月以降はK値がほぼ線形の下降トレンドに乗っています。
但し、海外のようにロックダウンの実施や海外からの感染者流入、感染者の定義の変更(中国)など、感染者数の動向に大きな影響を及ぼす事象が発生すれば、この線形トレンドから外れます。
2.総感染者数が少ないとばらつく
神奈川県のほうが東京都よりバラつきが大きくなっていますが、大都市ではほぼ線形の下降トレンドに乗っています。
感染者の少ない地方では、母数となる累積感染者数が小さくて、バラつきが大きく使えません。
3.起点を他の波例えば、第1波の影響を受ける日に設定すると線形トレンドとならない
大阪の場合、4月1日を起点とすると、線形トレンドとなるが、3月3日を起点とした場合、線形トレンドとならない。
3 月初旬の第1波の感染拡大と欧米からの人の流入の影響を受けたものと思われます。
4.K値は、感染の収束のスピードを表しており、K値が高いときに患者数が多いことを意味せず、K値が低下することは、新規感染者が減少することを必ずしも意味しません。
K値はあくまでもどれぐらい勢いよく患者数の比が変化して行くかということを示しています。
たとえば、累積感染者数が1週間ごとに
・1000人→5000人→10000人と増加したとすると、
5000人になった時点でのK値は
(5000-1000)/5000 = 0.8
10000人になった時点でのK値は
(10000-5000)/10000 = 0.5
となり、1週間の感染者が4000人から5000人に増加していてもK値は0.8から0.5に下がっています。
K値へのみんなの意見
- (K値の)グラフも見ましたが、日本だけでなく海外での状況もわかり数値化しグラフにする事で、以前と比較し現状がどの程度か、終息までまだこのくらいの大きさがある事がちょっとみでもわかります。
- 基本再生算数の計算は海外のツールが頼みだったので、国産のパラメーターを使おうということですね。ざっくりとした傾向を見るのにはありだと思います。
- この算式を参考にするという事は、結局PCR検査を圧倒的に増やさない日本政府の意を表しているのだろうか?GWで検査数が落ちてグラフが下がっても、感染が減りましたね〜と喜ぶわけですね。
- 共通の指標で異なる地域、期間のトレンドを比較できる。ただk値と重篤化する可能性は関係がない。入院治療が必要な感染者と治癒した人、病床の空き具合も重要になる。
- 値は計算方法自体は簡単なんだけど、数値の解釈が難しすぎて、専門家の中では使えるかもしれないが、素人では使えない。
出典:ヤフコメ
まとめ
- K値とはどのように感染が進んでいるか、どのように収束していっているかということが分かる指標である
- K値には、収束予測に使える可能性など数々の利点があるが、注意点を頭において、用いる必要がある
- 日本独自の指標K値への期待の声が多い
実行再生産数は、ドイツ、フランスなどで、制限解除の指標として使われていますが、
日本ではPCR検査数が少なく実際の感染者数が不明などの理由で、ほとんど公には使われていません。
欧米と違い、ロックダウンをせず、海外からの大量の感染者の流入がなかった日本の場合、4月以降の全国や大都市のK値は直線的に減少するトレンドを示しており、段階的な制限解除の指標として有望な可能性があります。
その特徴や注意点を正しく理解して使用して行けば、かなり有効に使えるのではと思えます。
今後、なぜK値が線形トレンドにのるのかなど実態との関係の解明が待たれます。
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