はてな匿名ダイアリーに2021年2月7日、「独身税の何が悪いのかわからない」という投稿があり、炎上しました。
日本で独身税は検討されているのでしょうか?あるとすればいつから実施される可能性があるのでしょうか?
この話題はネット上でたびたび物議をかもしていますので、しっかりまとめておきましょう。
独身税は日本でいつから?
「独身税の何が悪いのかわからない」という投稿は、
共同体の存続のためには子供が必要なんでしょ
だから子供を作ってる人には税金を優遇して作ってない人からはちょっともらう
完璧な理論としか思えない
というものでした。
後に述べるように「独身税などあり得ない」との多くの反論が寄せられました。
少子化対策が目的ということでしょうから、現状のままだと日本の人口はどうなるかをまず確認しておきましょう。
日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、2026年に人口1億2,000万人を下回り、2048年には9,913万人となり、2060年には8,674万人になると推計されています。
さらに、長期の推計では2105年に 4,459 万人、そして、さらに進むと2900年にはわずか6000人、3000年には2000人と希少絶滅種なみとなり絶滅してしまいます。
これは、高齢者の割合が増えて、死亡数が毎年最多となる一方、合計特殊出生率が1.40付近と低く、低下が続いているのが要因となっています。
2017年の日本の合計特殊出生率1.40は、ヨーロッパと比較すると、フランスが最も高い1.90で、最も低いのはイタリアの1.32、日本はイタリアに次いで低くなっています。
(注)合計特殊出生率:調査年次の15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したもの。1人の女性がその年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当します。
出生率を上げるための政策として考えられたのが、独身税です。
独身税とは、独身者にかける税金で、独身者に早期の結婚を促し、少子化対策に繋げることが目的です。
既婚者の負担を軽減するという目的もあり、結婚して子供ができると独身者よりも支出が増えることから、独身者は既婚者より余裕があるはずだとし、負担増を独身者に補ってもらおうという考えともなっています。
日本では、憲法上の問題もあり、まともに提案されたことはありませんが、諸外国では過去に例があります。
戦後、将来的の労働力不足を懸念した東欧諸国で取り入れられました。
ブルガリアでは、1968~1989年に独身税が導入されていたと言われています。
結婚を促し、家庭を持ち、出産してもらうのが目的でした。
この独身税は、収入の5~10%だったようです。
結果は、独身税導入前よりも出産率が減少となってしまいました。
下がった理由は、独身税が高いので、お金をためることができず、結婚できず、子どももつくれない。
また、独身税から逃れるための偽装結婚を助長することも多くなり、様々な悪影響も出て、導入から約21年で廃止となったそうです。
少子化を乗り越えた国がやったことは?
北欧諸国やフランスなどでは、政策対応により少子化を克服し、人口置換水準(合計特殊出生率2.0)近傍まで出生率を回復させています。
フランス
家族手当等の経済的支援から保育の充実へシフトし、さらに、出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができるような環境整備(両立支援)を強化。
家族給付の水準が全体的に手厚い上に、、第3子以上など「産めば産むほど有利なシステム」になっています。
具体的には次のような政策からなります。
・家族手当
所得制限なしで、2子以上を養育する家庭に20歳になるまで給付される。
・N分N乗方式
子育て世代特に3人以上の子どもを育てている世帯に対して、大幅な所得税減税。
・家族補足手当
第3子から支給される。
・年金加算
子どもを3人養育すると年金が10%加算される。
・職業自由選択補足手当
子育てのために仕事を全面的に休むか、週4日や3日勤務、午後3時までの時間短縮するかなど、個人に合わせて労働の有無や、労働時間数を選択することができる。
・出産費用
・父親の出産休暇
母と同様の有給扱いで賃金の80%が保障されています。
・不妊治療と人工中絶
治療は公費(43歳まで)
・高校までの学費は原則無料
・事実婚と婚外子
産まれるこどもの半分が婚外子となり、法律も、非嫡出子の権利は嫡出子と同じになり、嫡出子という用語が民法から削除されました。
・保育サービス
3歳までは自宅で子どもをみてくれる認定保育ママや低額のベビーシッターが比較的簡単に利用できます。
3歳以上になると100%就学保障されている公立の保育学校に入学できるようになります。
ただ、この数年出生率が落ち気味になってきたとうこともあり、そう簡単ではないようです。
スウェーデン
40年近く経済的支援や「両立支援」施策を進めてきたが、さらに、多子加算を適用した児童手当制度、両親保険(両性が取得できる育児休業の収入補填制度)に代表される充実した育児休業制度、開放型就学前学校などの多様かつ柔軟な保育サービスを展開し、男女平等の視点から社会全体で子どもを育む支援制度を整備している。
フィンランド
ネウボラ(妊娠期から就学前までの切れ目のない子育て支援制度)を市町村が主体で実施し、子育てにおける心身や経済の負担軽減に努めています。
ハンガリー
ハンガリーでは、日本の約6倍のGDPの4.7%の年間予算をかけて少子化対策に取り組んでいます。
3年間の有給育児休暇、結婚奨励金、マイホーム補助金、学生ローン返済減免、体外受精無料化などからなりますが、4人目の子供を産むと、定年まで所得税ゼロというのが世界初の施策です。
OECDが2005年に行った、家族政策による出生率回復シミュレーションによれば、日本に対して、以下の4つの施策を強化すれば、合計特殊出生率2.0にできるとされていました。
①育児費用のため税金の控除や児童手当の増額を行うこと
②育児休暇期間を延長すること
③正式な保育施設を整備強化すること
④フルタイム就業に比較して少ないパートタイム就業機会を増やすこと
とくに、①と③がポイントとのことです。
それから、16年経ってどれだけ変わったのでしょうか?
独身税日本に必要?ネットの反応
- 出産一時金、育休給付金、児童手当、保育園、控除、子ども医療費無償化、国民年金三号の掛け金免除。これらは実質独身税だよ。子育て世帯の60%は受け取ってる手当等が支払っている税金より多い。
- 独身の奴から搾り取ると結婚も減ると思う。金がないと交際も婚活もできんよ。相続税100%とかの方が効果ありそう
- 扶養控除が実質独身税では。根本的にはどこも金がないのが原因。
- 独身税を取るなら既婚者が子供をもうけなかった場合に理由を問わず懲罰的課税があって然るべきだけど、そんな地獄のような世の中にしたいの?
- 金ない人の方が結婚できない。弱い人から税金取ることになる。
出典:ヤフコメ
まとめ
- 少子化対策への効果や憲法上の問題から独身税が日本で実施される可能性はほとんどない
- フランス、スエ―デンなど少子化を乗り越えた国は、家族手当等のほか保育の充実に加え、出産・子育てと就労に関して幅広い選択ができる環境整備を整えた
- 独身税は、金なくて結婚できない弱い人から税金取ることになるなど反対意見が圧倒的
筆者も、独身の知人が、こんなに安い月給でも、税金取られるのかと驚いたことがあります。
今年度の不妊治療への助成にみられるように、政府は少子化対策として毎年のように様々な施策を打ってきましたが、合計特殊出生率1.40付近とほとんどか改善が見られません。
非正規雇用が増えて、結婚できる経済的な基盤がないからと叫ばれてきました。
ここに、懲罰的な独身税を導入しても、ほとんど効果は期待できないと思われます。
根本的で、かつ的を得た少子化対策を早急にやらないと、日本は高齢者の割合がますます増え、総人口も加速度的に減少して、絶滅前に国が滅びてしまいます。
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