前回の東京オリンピックは戦後復興、高度経済成長の一里塚であったが、今回の東京オリンピックは東日本大震災復興、コロナ禍克服どころか日本の今後の衰退の一里塚となる可能性さえあります。
日本衰退を実感させるのが東京オリンピック2020となる理由とその原因を5つ挙げました。
それは、敗戦から連綿と続く日本の組織に原因があるのではと思えます。
東京オリンピック2020が日本衰退を実感させる理由とは
コロナ禍にある2021年、夏の東京オリンピックを前に、日本の衰退を実感させる様々な現象が露呈してきています。
この投稿をInstagramで見る
コロナ禍への対応
東京オリンピックは、世界中でのコロナ感染が下火にならないと、実質的に開催できませんが、変異株による感染再拡大もあり、開催国の日本国内でさえ、感染を抑え込める見通しがたっていません。
ワクチン
日本がワクチン開発後進国であることが露わになりました。
新しいメカニズムを用いて、新型コロナワクチンをスピード開発した欧米は勿論、従来タイプの開発でさえ、中国、ロシア、インドに、遅れをとっており、ワクチン開発力のなさがはっきりしました。
開催国として、途上国などの参加国にワクチンを供給するどころか国民への接種でさえ、接種率はG7で最下位、世界で100番目となって世界から大きく遅れを取っています。
本来ワクチン外交を進める中国と対抗して、これを武器に途上国外交を進めるところですが、薬品大手も、欧米メーカーの原材料製造下請けに成り下がっているのが現状です。
これには、これまで、ワクチン開発に人材も資金も投資してこなかったことや、たとえ開発できても治験がスムーズに行かない厚労省の行政や治験環境などいくつもの壁があります。
デジタル後進国
最初に個人に配布された特別定額給付金で露わになったマイナンバーカードシステムの欠陥、コロナ感染接触アプリCOCOAの失敗、オンライン化を進めるための行政、教育など国全体のデジタル化の遅れがはっきりしました。
全体の研究開発技術レベルの低下
医学関係のみならず、研究予算や博士の生活環境の悪化を放置するなどで、科学論文投稿数は、中国、アメリカに遠く及ばず、近い将来ノーベル賞受賞者もいなくなるであろうと言われています。将来を見据えた方針がなかったと言わざるをえません。
政治・行政の劣化
政治家、官僚の質の低下が顕著です。
危機に対応できず後手後手となり、抑制、解除、再拡大の繰り返しで、感染の大波は4度目を迎えようとしています。
世界に誇る官僚組織はどこに行ったのでしょう。
リーダーの国民への感染防止の言葉もしっかり届いているように思えません。
財政の悪化が加速
先進国で一番の債務超過が、場当たり的に繰り出されるコロナ経済対策などで、ますます悪化しています。
その他上記と絡みますが、環境、ジェンダー、人権など、最近オリンピック関係で、表面化した問題を数え上げるときりがないほどです。
このまま、コロナ感染を抑え込めずに、東京オリンピック2020が中止となったり、強行開催して、国内外に感染拡大させたり、途中中止となったりした場合は、日本の医療を含む科学的なレベル、開催国としての組織、リーダーシップを問われ、日本の衰退を世界に印象付けることになります。
すなわち、これらが東京オリンピックが日本衰退を実感させる理由となるわけです。
4月になって、外国観光客の受け入れ中止が決定されました。
さらに、コロナに追い込まれて、期限ぎりぎりでの大会中止や、少数の競技者による形だけの開催となれば、「人類がコロナに打ち勝った証しとする」どころか、まさに「日本や世界がコロナに打ち負かされた証し」となり果て、日本衰退を実感させる強烈なイベントとなってしまいます。
日本衰退を実感するイベントとなる根本的な5つの原因
では今回のさまざまな現象がここに来て露わになったのはなぜなのでしょうか?
戦前、戦後と続く日本の組織、リーダーに問題があるという議論があります。
なぜ日本軍は米軍に負けたかを解析し日本の組織、リーダーの問題点を取り上げた「失敗の本質」(初版昭和59年ダイヤモンド社)という書籍があります。
ここでは、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦そして沖縄戦にいたる陸海軍の6つの敗戦を分析してその原因を米軍と比較して、日本の組織や、リーダーに求めたものです。
現在は、コロナといかに戦い、東京オリンピックをいかに開催するかの問題です。
「失敗の本質」から組織としての問題点として現状の日本にも当てはまる5つの点を挙げてみました。
1.戦略の目的が、明確でなく、曖昧
2.戦略志向が長期決戦でなく、短期決戦型で、戦略の策定が、グランドデザインを描くのではなく、積み上げ方式
3. 戦略のオプションが、狭く少ない
4.組織の構造や統合が、システム的でなく、ひとのネットワークで作られている
5.学習を軽視した組織
となっていると考えられます。
今回のコロナ禍への日本の対応で見てみましょう。
1.目的が明確でない
集団感染を目指した国もありました(スエ―デンなど)。
徹底的なロックダウンで経済的な打撃をある程度被っても、まずは感染者をほとんど抑えることを第1とした(フランス、ドイツなど)。
ワクチン接種を最優先とし、データーを提供することを条件にファイザー社からワクチンの十分な供給を受け、大部分の国民がワクチン接種を済ませ、感染抑制の効果が顕著に出ている(イスラエル)。
未知のウイルスでしたので、失敗したり、必ずしもうまくいっていない国もありますが、日本の場合は、感染抑制と経済の両立を目指すとしながら、目的が中途半端に見えます。
二兎を追って、両方とも失敗に終わる結果ともなりかねません。
2.戦略志向が短期決戦型で、戦況を楽観的にとらえ、上手くゆかねば、その時々で判断しているため、方針が迷走し、後手後手となっています。
また、一時的に感染が収まれば、経済活動を開始し、それで感染拡大すると抑制を繰り返しています。
3.戦略オプションが狭く統合的な戦略がないため、上手くゆかない場合次にどういう手を打つかを考えておらず、対応が後手後手となっている印象を与えます。
また、敗戦の原因でも指摘されていましたが、方針がその時々の空気に左右されるとの分析も、世論の圧力で、結局緊急事態宣言に追い込まれるなどと、よく似ています。
4. 構造が集団主義でシステム的でない
新型コロナ感染を対策する専門家集団としての司令塔が不在のためシステムとして対応できていないのではないでしょうか?
アメリカでも韓国でも感染症専門家集団のCDCが組織としてあり、科学的な分析、コロナに対する専門家としてのはっきりとした方針を打ち出しています。
日本の場合は、専門家委員会が分科会に改組され、感染専門家と経済関係者が入った集団が、経済との両立も目指して政府に進言しており、さらに分科会が危機感を示しても必ずしも、迅速に方針に反映されるわけではないのが現状となっています。
5.学習を軽視した組織となっている
失敗を科学的に分析し、今後の戦略にフィードバックしていません。
日本はクルーズ船でのコロナ感染で、世界でもっとも早くコロナに対処しました。
当時世界から、コロナ培養器とまで言われましたが、国内への持ち込みをある程度防げたなどの、上手くいったこともありました。
その総括はなされてその後に生かせたのでしょうか?
1波、2波、3波を経験して、だんだん波の高さが高くなり、4波に入ろうとしていますが、これまで明らかになったという3密を避けるや飲食店での会食制限などの要因だけで、今後対応ができるのでしょうか?
これは、個別の問題では、感染接触ソフトCOCOAでの失敗でも起こっていることです。
以上から、現状でのコロナ対策、オリンピック開催の問題点のかなりの部分が日本特有の組織の問題で説明できるように見えます。
東京オリンピックで日本衰退へのネットの反応
- もしこのまま2021年東京オリンピック開催を強行すれば日本の衰退、バブル崩壊から無策な30年を経ての経済大国の終焉を暴露する無残なものになるだろう。張りぼてマーケティングの空虚な空騒ぎと感染拡大で完全終了
- 東京オリンピックは日本発展のキッカケだったけど今度のオリンピックは日本衰退、没落の象徴として語り継がれるだろうな。
- もはや日本は衰退途上国。 先進国の仲間入りを目指すなら、東京オリンピックを意地で開催するのではなく、 中止するのが一番! 世界もその決断を褒め称えることは間違いない。
- 2020年(2021)東京オリンピックは日本の衰退の象徴みたいな感じがあるな。 開催にお金を使わず、オリンピック選手強化やスポーツ振興、震災の復興や若者の貧困、少子化対策などに貴重なお金を使えば良かったのに。
- 東京オリンピックについて言えば、衰退国日本を象徴するような出来事ばかりでうんざりしますね。特にコンプラや老害など、まじでいい加減にしろ以外の感想がない。
出典:ヤフコメ
まとめ
- 東京オリンピックを前に、日本衰退を実感させる様々な現象が露呈してきている
- 東京オリンピックが日本衰退を実感するイベントとなるのは、日本の組織にある5つの原因による
- 今回の東京オリンピックは日本衰退、没落の象徴として語り継がれるだろうとの声も多数