「ミステリーは面白そうだけど、難しそうで読めない」
先日、友人にそんなことを言われた。
一部のミステリーマニアに言わせれば、その難解さとそれを解きほぐす過程にこそミステリーの醍醐味があるのかもしれないが、一般的には確かにわかりやすい面白さがあってこその読書なのだと思う。
そこでふとその友人に”ビブリア古書堂の事件手帖“という有名なライトミステリーを進めてみたところ、思いのほか楽しめたようで薦めた僕も嬉しくなってしまった。
最近のライトミステリーの良さは単に読みやすいだけではなく、
<ミステリーに追加された別のエッセンス>
が大きな魅力として挙げられる。
わかりやすく言えば『名探偵コナン』
このマンガはミステリーに<+薬で若返る>というエッセンスが追加されて話の骨格が出来ている。「身体は子供、頭脳は大人!!」みたいな名台詞もそのエッセンスから生まれているわけだ。
まぁ連載が始まって、20年くらい経っているので一体いつまで子供でいるつもりなのか疑問ではあるが。
今日からは何度かに分けて、ミステリーの中でも読みやすい『エッセンスが追加されたライトミステリー』の紹介をしていきたい。
ビブリア古書堂の事件手帖
いわずと知れた大ヒット小説シリーズ
三上延(みかみ・えん)さんが書いた言わずと知れた大ヒットシリーズ。主人公の栞子さんと大輔が古書にまつわる日常の謎を解き明かしていく物語ですね。多くの方から支持を得てドラマ化もされています。
原作では黒髪ロングだった主人公の栞子さんが、ドラマではショートカットの剛力あやめさんが演じ、良くも悪くも大きな話題を呼びました。
小説の初期はわりと軽いタッチで進むので読みやすく、それでいて要所でピリッとした締め所があり面白い。
エッセンスは <+古書>
古書というエッセンスのおかげで、物語全体がいい意味で古めかしく霧がかった雰囲気を醸し出すので心地いい。僕自身、古書にはなじみがないが、知識がなくとも楽しめるように、古書の知識がない主人公:大輔とともに本の説明を受けながら読める仕組みになっている。
ガチッと推理を楽しむというよりも栞子と大輔のさわやか恋愛ストーリーを展開しつつ、古書の紹介をしてくれる作品となっており、その作品の紹介が素晴らしく、ビブリアで登場した作品が本屋で売り切れになるなんていう事もあったようだ。確かに読みたくなるんですよね。江戸川乱歩の作品とか、たんぽぽ娘とか。ブラックジャックとか。
『蒼林堂古書店へようこそ』乾くるみ
ちなみに、同様に古書を扱っている小説に、乾くるみさんが書いた「蒼林堂古書店へようこそ」なんていう作品もある。
100円以上の本を買うとコーヒーがサービスされる古書店が舞台の、小さくほんわかした日常の謎の短編集。
こちらもミステリーの紹介本としての側面もあり、全体を通して一つの優しい物語となる。イニシエーション・ラブで有名な乾くるみさんが結構自由に自分の好きなものを書いたような印象の本なので、読みやすいわけではないが、本が好きな人ならきっと和める作品になっている。
てか、ここ素晴らしい古本屋ですよ。何故小説の中にしかなのだろうか。二次元の世界に入り込みたい。小説の世界は二次元なのかわからないが。いいなぁ近所にできないかなぁ。としみじみ思う。
ビブリアはもうすぐ完結!??
栞子さんと大輔の恋愛模様も何となく進展し、裏で暗躍する ”例の人” も少しずつ表舞台に現れてきた。物語もいよいよ佳境に入ってきている感じが見受けられると感じていたら、どうやらあと1~2巻で完結するみたいですね。
長く続いているシリーズが終わるときにいつも感じる、楽しみと寂しさが交じり合うこの感じ。
僕の心は今、まるで遠足の前日のような感情。もしくは、好きだったAV女優が引退作を出すと聞いたような感情で満たされている。