私たちの身近な水には「水道水」と「ミネラルウォーター」があります。
しかし、最近ではミネラルウォーターをわざわざ買う人が多くいます。
ミネラルウォーターしか飲まない、料理にもミネラルウォーターを使う、氷を作る時もミネラルウォーター、薬を飲むときもミネラルウォーター。
そんな人もいたりします。
「だって水道水って、なんか臭いんだもん。汚いんじゃないの?」
はたして水道水は汚いのか?
そして、全てにおいてミネラルウォーターが適しているのか?
今回は、水道水とミネラルウォーターの違いと水道水の安全性を紹介します。
水道水とミネラルウォーターの違い

水道水とミネラルウォーターにはどのような違いがあるのでしょうか。
原水の違い、安全基準、ミネラルウォーターの種類、それぞれの得意分野を紹介します。
水道水とミネラルウォーターの原水
水道水
水道水は、主に河川を水源とし、浄水場で塩素消毒をして安全に飲める状態にした水のことです。
日本水道協会では、大都市の水道水に使用される水源のうち、73%は「表流水」(ダム47.8%・河川25.2%)であると公表していて、水道水は主に地表を流れる表流水を原水としています。
ミネラルウォーター
ミネラルウォーターとは容器入りの飲料水のことです。
ミネラルウォーターは地下水を原水としています。
水道水とミネラルウォーターの安全基準
水道水とミネラルウォーターの違いの一つに安全基準があります。
まずはアジア一安全ともいわれる日本の水道水の安全基準について紹介します。
水道水の安全基準
水道水の安全基準は、水道法によって決められています。
細菌の有無や成分基準値について51ものチェック項目があり、それら全てをクリアしてようやく水道水として家庭に届けることができます。
日本では当たり前のように水道水が飲めますが、水道水がそのまま飲める国は世界に15か国程度しかありません。日本の浄水施設は、世界に誇れる技術力といえます。
ミネラルウォーターの安全基準
ミネラルウォーターの安全基準は食品衛生法によって決められています。
チェックする項目は殺菌・除菌工程有りの場合は39項目、殺菌・除菌工程なしの場合14項目と水道法よりも少なくなっています。
ただし、日本の安全基準は世界でもトップクラスのため、水道水・ミネラルウォーターのどちらも安全な水と言えます。
ミネラルウォーターの種類

ミネラルウォーターは、食品衛生法により「水のみを原料とする清涼飲料水」と定義されたミネラルウォーター類の一種です。ミネラルウォーター類は、水の成分と人工的な処理の程度によって以下の4つに分類されます。
ナチュラルウォーター
ナチュラルウォーターは、特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、ろ過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理が施されていない水です。ミネラル成分が含有されていない場合もあります。
ナチュラルミネラルウォーター
ナチュラルミネラルウォーターはナチュラルウォーターのうち、ミネラル成分が溶け込んでいるものです。ナチュラルミネラルウォーターのミネラル成分は、地中の鉱物など自然由来のものに限られます。
ミネラルウォーター
天然水のミネラル成分を人工的に調整した水、または何種類かのナチュラルミネラルウォーターを混合したものです。沈殿、ろ過のほかにも、オゾン殺菌や紫外線殺菌、水への空気の混入などの調整が行われる場合があります。
ボトルドウォーター
蒸留水・河川の表層水など、ナチュラルウォーター、ナチュラルミネラルウォーター及びミネラルウォーター以外で飲むことができる水の総称です。水道水であっても「東京水」のように飲用として市販された場合は、ボトルドウォーターとして取り扱われます。
また、ミネラルウォーターは軟水と硬水が選べます。
水道水とミネラルウォーターの使い分け
では、水道水とミネラルウォーターは、それぞれどのように使い分けるとよいのでしょうか。
それぞれの得意分野を見ていきましょう。
飲料水
飲料水には、軟水のミネラルウォーターが適しています。
水道水も軟水ですが、水道水には消毒のために塩素が加えられています。
人体には影響がない程度の量ですが人によっては臭いが気になったりするかもしれません。
レモンを入れたり、一度沸かしたりすれば気にならなくなるでしょうが、ミネラルウォーターはそのような事をしなくても美味しく飲めますし、ミネラルウォーターは、商品によって原水や硬度(カルシウムやマグネシウムの含有量)が違うので、自分の好きな味が探せるため味はミネラルウォーターの方が美味しいと言えます。
料理
料理にはミネラルウォーターが軟水・硬水が使い分けれるので適しています。
ミネラルウォーターは塩素臭がないため、水道水よりも料理の味・香りを引き立てます。さらに、硬水・軟水を使い分けることで料理の風味をより引き立てることができます。
例えば、昆布やかつお節で出汁を取る日本料理には香りや味の邪魔をしない軟水が向いています。西洋の料理や、肉をおいしく調理したいときには、アクを出してくれる硬水が適しています。
値段
値段は圧倒的に水道水の方が安いです。
ミネラルウォーターは500mlのペットボトル入りで1本約50~100円です。
対して水道水500mlの値段は約0.1円。つまり、ミネラルウォーターは水道水の500~1,000倍高い計算になります。
氷
氷にするには水道水が適しています。
水道水は塩素が含まれているため、冷凍庫に入れていても腐る心配がありません。
しかも、製氷機を塩素消毒して綺麗に保ってくれる効果すらあります。
塩素が含まれていないミネラルウォーターの場合、製氷機に放置したままだと雑菌が繁殖してしまう可能性があります。
うがい
うがいには、水道水が適しています。
水道水を使ったうがいは、何もしない場合に比べて風邪の発症率を約40%軽減すると言われています。これには、水道水に含まれる塩素の消毒効果が関係しているとみられています。そのため、塩素の含まれないミネラルウォーターよりも水道水の方がうがいに適しているといえます。
服薬
薬を飲む際は軟水(水道水)と一緒に飲むと良いでしょう。
日本の水道水はほとんどが軟水のため、水道水で飲む場合はあまり硬度を気にする必要はありません。
ミネラルウォーターには硬度の高いものがあるので、ミネラル分により内蔵に負担をかけてしまうかもしれません。ミネラルウォーターで服薬する場合は、硬度の低い軟水を選びましょう。
まとめ
水道水とミネラルウォーターでは安全基準が異なります。水道水は水道法、ミネラルウォーターは食品衛生法の基準に従います。しかし、どちらも安全であることには変わりません。
水道水とミネラルウォーターは、コストや硬度や味などの違いがあるので、用途に応じた使い分けをするとよいでしょう。
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