日本ハムがノンテンダーFAとして、主力3選手を放出と大きく報じられました。
ノンテンダーとはその意味は?DFAや戦力外通告、自由契約との違いや関係は?などの疑問をやさしく解説していきましょう。
日本ハムがノンテンダーFAを宣言した理由についても探っていきます。
ノンテンダーとは意味は?
ノンテンダーとは意味は?を説明して行きましょう。
ノンテンダーnon-tender のtender(テンダー)は、「〜を申し出る、提出する」という意味で、これにnonがついていますので、球団が、選手に対し来季の契約を提示しないという意味になります。
球団がその選手に来季の契約を提示せずに、自由契約になると、市場に放出することになりますので、元の所属球団との再契約も含め、全ての球団と交渉が可能となります。
ノンテンダーの目的は、基本的には球団のコストカットで、米国では、主にその選手との契約がコストに見合わなくなった際に用いられてきました。
球団にとってのメリット
自由契約なのでその選手と他球団との交渉が成立する可能性が高く、再契約となった場合も、年俸を抑えられる可能性が高いというメリットがあり、戦力外通告とは異なり、「選手のため」という体裁を整えることが出来ます。また、チームの「中間層」を放出することで、若手にチャンスを与えることができます。
選手にとってのメリット
FA行使では人的補償や金銭補償が獲得先球団に発生し負担となりますが、自由契約となると補償が必要ないため、他球団に獲得してもらえるチャンスが多くなります。
また、FA権を行使する必要が無いため、FA権をそのまま保持出来るなどのメリットもあります。
日本ではこれまであまりなじみがありませんが、もともとMLBでは、毎年12月初旬に開かれるウィンター・ミーティングの1週間ほど前を目安にノンテンダー・デッドラン(期限)が決められていて、その前に発表があります。
昨年のMLBの例を見てみましょう。
2020年12月3日に、水曜日の期限を前にMLBの59人の選手がノンテンダーFAになったと発表されました。しかし、カブスのカイル・ライアンとダン・ウィンクラー、レッズのカイル・ファーマーの3人がすぐに再契約したため、56人の選手がオフのFAに加わることになりました。
大谷翔平のいるエンゼルスでは、以下の5投手がノンテンダーFAとされました。
ジャスティン・アンダーソン(右腕投手)
マット・アンドリース(右腕投手)
キーナン・ミドルトン(右腕投手)
ホビー・ミルナー(左腕投手)
ハンセル・ロブレス(右腕投手)
もちろん大谷翔平は、はずれ、調停を通して、順調に年俸アップを勝ち取って、今シーズンを迎えました。
今回日本ハムが提示した西川遥輝外野手は海外FA権、秋吉亮投手、大田泰示外野手は、国内FA権を持つ選手です。
日本ハムは3選手とFA資格について協議した結果、「選手が取得した権利を尊重し、ノンテンダーとすることを選択しました」とコメントしています。
つまり、高額な年俸の個々の選手がFA権を主張して、他球団との交渉を難しくするのではなく、お互いが納得する形がノンテンダーFAだということです。
これまで、日本ハムでは村田透投手の例がありました。
昨年巨人、MLBを経て、2016年日本ハムと契約した村田透投手は、12月2日にノンテンダーとされ、退団が発表されたものの、12月30日に野球協約が定める減額制限(1億円以下は25%)を超えた2400万円減の1600万円プラス出来高払いで再契約しました。
ノンテンダーFAとDFAとの違い
MLBでよく使われるDFAは、「Designated For Assignment」で、選手を40人枠から外す措置をとることです。
NPBの戦力外とは大きく異なっています。
メジャー公式戦に出場するためには原則、25人枠に入らなければなりませんが、その25人枠に入ることのできる選手は、40人枠に入っていることが最低条件となります。
DFAは、契約上のルールやチーム事情など様々な要素が絡み合い、固定した40人では戦うことが難しい環境の中でシーズンを通して選手を確保するため、40人枠から外すことを意味します。
一方日本のNPBの場合、支配下選手登録をした選手なら、誰でも自由に一軍登録(出場選手登録)をすることができますので、上記のような事情とは異なります。
また、戦力外通告―クビを宣告されたとも違ってきます。
日本で、来季の構想にないと戦力外通告された選手は、任意引退するか、自由契約かの選択を迫られます。
自由契約となれば、選手は国内外を問わずあらゆる球団と契約交渉できます。
つまりノンテンダーFAは戦力外通告―自由契約ではなく、戦力として認めながら、自由契約にするということですので、年俸を下げて、再契約もありうるということになります。
2021年ノンテンダーの選手
2021年ノンテンダーの選手はいまのところ、日本ハムが発表した、西川遥輝外野手、秋吉亮投手、大田泰示外野手3選手のみです。
MLBのノンテンダーの選手はまだ発表されていません。
3選手とも海外または国内FA権を持っており、ノンテンダーFAにより、自由契約となって、国内外全ての球団との交渉が可能となります。
3人の選手の日本ハムでの年俸ランキングとランクは以下の通りです。
FAを行使したAかBのランクの選手を出した場合、球団は移籍先の球団から決められた補償を受けられますが、日本ハムはノンテンダーによりその権利を放棄したこととなります。
西川遥輝外野手
2020年 チームのキャプテンを務めた。
120試合中115試合に出場し、リーグ4位となる打率.306、5本塁打、39打点、同2位の42盗塁、リーグ最多の92四球、同4位の出塁率.430を記録した。オフには4年連続でゴールデングラブ賞を受賞した。オフにポスティングシステムでのMLB挑戦を希望することを発表した。
2021年1月3日にポスティング移籍での交渉が成立しなかった為、1月28日に4,000万円増となる2億4,000万円で契約更改した。
打撃不振に苦しみながらも、出塁率は高く、8月27日の西武戦で通算300盗塁を達成し、盗塁王のタイトルを獲得した。
MLBとの交渉をしやすくするとのほか、高い年俸の負担を考慮した可能性がある。
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大田泰示外野手
2016年巨人との交換トレードで、日本ハムに移籍した。
2019年右翼手レギュラーに定着し、自己最多となる132試合に出場し、打率.289、自身初の20本塁打、77打点、出塁率.325と数多くの部門でキャリアハイを記録した。オフの契約更改で3500万円アップの1億円でサインし、プロ11年目にして1億円プレイヤーとなった。
2020年115試合に出場。打撃成績は打率.275、14本塁打、68打点、出塁率.314と安定した成績を残した。また、守備においてもゴールデングラブ賞を初受賞した。
2021年は、59試合出場、打率.212、3本塁打、17打点と打撃不振に苦しみ、6月25日に登録抹消され、後半戦開幕後も不振が続いた。
年俸が高いが、2021年の働きは、それに答えていないと球団から見られた可能性があります。
秋吉亮投手
2018年にヤクルトから交換トレードで日本ハム入り。
2019年 防御率2.96で、自己最多となる25セーブを挙げた。
2020年 押さえの失敗で、敗戦投手となることが続き、33試合に登板して1勝2敗12セーブ防御率6.37でシーズンを終えた。オフの契約更改では半減の年俸5000万円でサインした。
2021年 出場選手登録日数が7年に達し、国内FA権の資格を得たが、不振が続き、一軍登板は僅か10試合にとどまった。
球団としては、年俸5000万円に見合わない、他球団への移籍をしやすくする意味があった。
いずれも、2021年の働きが、年俸に見合うものではなかったとみなされたことは確かなところです。
まとめ
- ノンテンダーとは球団が、選手に対し来季の契約を提示しないという意味で、MLBでは多数の選手が毎年ノンテンダーFAを通告されFA市場に放出される
- 今回のノンテンダーFAは、球団、選手が納得したもので、双方にメリットがある
- ノンテンダーFAは、戦力外通告後の自由契約やMLBのDFAやとも全く違うものである
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