お米にはたくさんの品種があり、品種によってそれぞれ違った味わいが楽しめます。
お米の品種で有名なのは、「コシヒカリ」「あきたこまち」「ササニシキ」「ひとめぼれ」あたりですが、ごはん用として作られている品種の数はなんと300品種ほどあります。
最近だと「つや姫」や「ゆめぴりか」などのブランド米と呼ばれるお米の登場でお米にこだわる人も増えてきています。
平成29~30年に登場した新品種は、良食味のブランド米が主流です。
また、年々すすむ地球温暖化に備え、高温に弱いコシヒカリの後を狙った、暑さに強い米などが作られています。
今回はお米の新品種やその特徴を紹介していきます。
新品種のお米11選
近年(平成29~30年)にデビューした新品種は以下になります。
- 岩手県産「金色の風」
- 岩手県産「銀河のしずく」
- 宮城県産「だて正夢」
- 山形県産「雪若丸」
- 福島県産「里山のつぶ」
- 新潟県産「新之助」
- 富山県産「富富富」
- 石川県産「ひゃくまん穀」
- 福井県産「いちほまれ」
- 広島県産「恋の予感」
- 熊本県産「くまさんの輝き」
岩手県産「金色の風」
商品名:金色の風(こんじきのかぜ)
「金色の風」は、岩手県一の良食味地帯、米の食味ランキングで特A評価を22回取得している県南ひとめぼれの栽培地域で栽培されます。
今までにない「ふわりとした食感」と、どこにもない独特の「豊かな甘み」を兼ね備える「金色の風」の特長が最大限に発揮できるよう、現地試験の結果に基づいて、栽培するほ場を決められています。
また、作付農家は、岩手県が定めた選定基準をクリアし、市町村長の推薦を受けた農家のみ(平成29年度は77農家)です。
岩手県産「銀河のしずく」
商品名:銀河のしずく(ぎんがのしずく)
銀河のしずくは、岩手県が約10年の歳月をかけて育てた新しいブランド米です。
白さと良食味にこだわりをもって開発されたというだけあって、炊きあがったお米は際立って白く、まるで銀河のような輝きを放ちます。
粒が大きく、粘りが程よくかろやかな食感ですので、食べ飽きることがありません。五ツ星お米マイスターからも高評価を得ています。
栽培適地を限定しているため生産量はまだ少なく生産者特定の希少なお米です。
宮城県産「だて正夢」
商品名:だて正夢(だてまさゆめ)
だて正夢は、もっちり食感の新品種です。
噛むほどに甘みが溢れ出し、お米本来の味わいが堪能できます。
仙台藩主・伊達正宗公を彷彿とさせる名前により「宮城らしさ」を表現するとともに、宮城の復興と、このお米で「食卓の天下をとる」という願いが込められています。
最大の特徴は食味の良さで、炊きたてはもちろん、放冷状態における味や香りの評価も高いお米です。
山形県産「雪若丸」
商品名:雪若丸(ゆきわかまる)
雪若丸は、「つや姫」の弟的な存在として山形県が2018年に本格デビューさせた新品種です。
炊飯米の白さ・外観・光沢・味が優れ、デビュー前年には参考品種として米の食味ランキングで最高位の「特A」を受賞しています。
母なる日本三大急流の最上川が育んだ肥沃な土壌と、万年雪から流れる清らかで豊富な水で作られた、栄養が豊富なお米です。
福島県産「里山のつぶ」
商品名:里山のつぶ(さとやまのつぶ)
里山のつぶは、福島県が10年の歳月をかけて開発し、平成26年に誕生したオリジナルのお米です。
県内の冷涼な里山で広く栽培される品種になって欲しいと願い、この名前がつけられました。
大粒で、しっかりとした歯ごたえと適度な粘りが特徴です。
新潟県産「新之助」
商品名:新之助(しんのすけ)
新之助は、米どころの新潟県がコシヒカリに並ぶお米として本気で作りあげた新品種のお米です。
大粒でふっくらとした食感と、程良い粘りと甘みが特徴です。
また、ごはんが冷めてもお米の表面や粒全体が硬くなりにくい特長があるので、おにぎりやお弁当、電子レンジで温めなおしたご飯でも、お米本来のおいしさをキープします。
富山県産「富富富」
商品名:富富富(ふふふ)
富山のめぐみの結晶、それが富富富。
日本の屋根・立山連峰に降りつもった雪がとけた清冽な水。急峻な川によって運ばれた肥沃な土をたたえる富山平野の大地。
ふるくから富山の人が培ったてきた米づくりの技術と叡智。このお米づくりに大切なもののすべてがそろう富山の地で、伸びやかに育ち、新しく実ったお米が「富富富」です。
石川県産「ひゃくまん穀」
商品名:ひゃくまん穀(ひゃくまんごく)
石川県が美味しさと作りやすさを兼ね備えたお米を目指して試行錯誤を繰り返し、9年の歳月をかけて生んだ石川県の新品種です。
「ひゃくまん穀」は粒が大きく食べごたえがあり、「しっかりとした粒感」と「粘り」のバランスが良いお米です。
また、時間の経過によってごはんが冷めても、おいしさが長持ちする特徴があり、おにぎりやお弁当におすすめです。
福井県産「いちほまれ」
商品名:いちほまれ
いちほまれは、「こしひかり発祥の地」福井県が持てる技術の粋を尽くし、およそ6年の歳月をかけて開発した次世代を担う全く新しいお米です。
絹のような白さとつや、口に広がる優しい甘さ、粒感と粘りの最高の調和が特徴です。
口に含んだ特に、しっとり、ふっくらとした食感に思わず笑みがこぼれます。
広島県産「恋の予感」
商品名:恋の予感(こいのよかん)
「ひとたび食べると、恋するときめきや情熱が溢れ出てくる気持ちになるようなお米になってほしい」という期待を込めて作られた、広島生まれ・広島育ちの新品種です。
熊本県産「くまさんの輝き」
商品名:くまさんの輝き(くまさんのかがやき)
くまさんの輝きは、熊本県の農業研究センターで約15年をかけて開発した期待の新品種。”粘り”と“炊き上がりのツヤの良さ”が特徴のお米です。
米の食味ランキングって何?誰が何を基準にランク付けしているの?
近年全国で新しいブランドの米がたくさん生まれています。
その中には、「米の食味ランキング」でいい評価を得て受賞しているものもあります。
その「米の食味ランキング」というのは、誰がどのようにしてランク付けしているのでしょうか。
そこで、「米の食味ランキング」についての解説と、最新のランキングで「特A」を獲得した銘柄をいくつか紹介します。
「米の食味ランキング」とは?
「お米の食味ランキング」は、「食味官能試験」によって得られた結果をランキングにして公表をしたものです。
米の食味ランキングは、一般財団法人日本穀物検定協会が昭和46年から行われています。良質な米作りを推進することと、米の消費拡大を目指して始められました。
ランキングの結果によって米の売れ行きが変ってくるので、結果の公表は生産者にとっても消費者にとっても重要なことです。
食味官能試験とは
「食味官能試験」は炊飯した白米を試食して評価されます。
試食をするのは専門の食味評価エキスパートの人たちです。基準米と比較して評価をするという方法で、基準米にされているのは、全国の複数のコシヒカリをブレンドしたものです。
審査対象となる米が基準米と同じくらいだと「A’」で、基準米よりも良ければ「A」、もっと良ければ「特A」とし、基準米よりも劣れば「B」、さらに劣るものには「B’」という5段階評価で決められます。
参加の対象となる米は、各都道府県に推薦されていることや作付面積が一定基準を満たしているなどの条件をクリアする必要があります。
試験が行われるのは、毎年秋に収穫してから次年度の初頭にかけての時期で、試験を行うのは、人間の味覚が敏感になる昼前の11時半と時間も決められています。
試験では20名のエキスパートが、それぞれ3銘柄ずつ評価をしていくという方法で、基準米はその年の複数産地のコシヒカリのブレンド米です。試験の参加する米も基準米も同じ年に収穫した新米なので、公正に審査をすることができます。
そして評価の項目は「外観」「香り」「味」「粘り」「硬さ」の5点と「総合評価」です。
2021年度の「米の食味ランキング」で「特A」を受賞した銘柄は?
2022年3月2日に公表した2021年度の「米の食味ランキング」で「特A」に輝いた銘柄は、152銘柄のうちの42銘柄でした。
20年度よりも11銘柄減ったとのことですが、その原因は「福島県や北関東、長野方面で夏から秋にかけて天候不順が続いたり日照りが不足していたため」と言われています。
また42銘柄の中で初めて「特A」に選ばれたのは6銘柄で、そのすべてが西日本の銘柄でした。
そこで、42銘柄のうち3年連続(またはそれ以上)「特A」を獲得した銘柄と、2021年度に初めて「特A」に選ばれた銘柄を紹介します。
3年(またはそれ以上)連続で「特A」を獲得した21銘柄
- ななつぼし(北海道)
- ゆめぴりか(北海道)
- ふっくりんこ(北海道)
- 青天の霹靂(青森県)
- 銀河のしずく(岩手県)
- つや姫(宮城県)
- ひとめぼれ(秋田)
- 中通ひとめぼれ(福島県)
- 会津コシヒカリ(福島県)
- 上越コシヒカリ(新潟県)
- 魚沼コシヒカリ(新潟県)
- にこまる(静岡県)
- 飛騨コシヒカリ(岐阜県)
- 滋賀コシヒカリ(滋賀県)
- 県北コシヒカリ(兵庫県)
- きぬむすめ(岡山県)
- 県北にこまる(高知県)
- 県西にこまる(高知県)
- さがびより(佐賀県)
- 西北山間ヒノヒカリ(宮崎県)
- 霧島ヒノヒカリ(宮崎県)
2021年度に初めて「特A」となった6銘柄
- 丹波コシヒカリ(京都府)
- 山城ヒノヒカリ(京都府)
- 県北きぬむすめ(和歌山県)
- きぬむすめ(島根県)
- 恋の予感(広島県)
- 北部つや姫(大分県)
他にも2021年度に「特A」を獲得した銘柄が15あるのですが、「特A」を獲得した中で一番多い品種は「コシヒカリ」で、13ありました。
食味値は機械でも測定できる
「食味官能試験」「米の食味ランキング」だけでなく、食味値は機械で測ることができます。
食味値を測る機械も存在していて、コンクールでも使用されています。
いろいろな測定器がありますが、例えば近赤外線を使用して分析をする測定器の場合は、「アミロース」「タンパク質」「水分」「玄米の脂肪酸度」を測定することができます。それで測定をして食味値を出し、点数が高い方がおいしい米ということになります。
その標準値は100点満点中、60点から65点です。70点になると70%の人がおいしいと感じるようです。
測定器は、近赤外線を利用したもの以外に電磁波を利用したものもあります。
しかし、使う機会によって結果が変ってきたり、味を左右する「アミノ酸」や「ミネラル」などの成分が分析できないというデメリットもあります。
日本穀物検定協会で行われること
日本穀物検定協会は食味官能試験や米に関する様々な事業が行っていますが、品種のDNA鑑定や安全性に関わる残留農薬の分析などを理化学的に分析することもできます。
近年はそのニーズが高まり、要請が多くなってきたということです
日本穀物検定協会では、残留農薬のほかにマイコトキシンというカビ毒性物質や総クロムや総ヒ素などの有害金属、食中毒の原因となる微生物や放射能検査なども行えます。
どの産地のどの銘柄の米がおいしいかを評価するために、一般財団法人日本穀物検定協会が、毎年「食味官能試験」を行ってその結果を公表しています。
そのランキングは消費者も見ることができるので、どのお米がおいしいのかを知る基準になります。
試験の結果は売り上げに関わってくるので、米農家の方たちは試験で良い評価を得るために一生懸命努力されているとお察しします。
またせっかく育てても台風や気候不順で、生育が充分でなかったり収穫できなかったりすることもあるでしょう。
米作りだけに限らず、農家の方々は本当に大変な思いをされていると改めて思いました。
まとめ
日本人ならやっぱりお米!
今回紹介したブランド米で気になったものがあれば是非食べてみてください!