食べられる草と食べられない草の違いとは?いざという時に備える!

山菜は美味しい!
それは紛うことなき事実です。

しかし、山菜狩りなどで誤って有毒な野草を採取し、食べたことにより、食中毒が発生するケースがあります。
また、有毒植物による食中毒で死亡するケースも発生しています。

今回は、いざという時に使える食べられる草と食べられない草を見分ける方法」を紹介します。

食べられる草と食べられない草の違い

食べられる、食べられないは毒があるかないかによって決まります。
そして、それは見た目では判断が難しい場合があります。

例えばニラに似たスイセンなど、ぱっと見では見分けがつかない植物も多くあるので、素人判断で採取して食べるのは危険です。
ちなみに、この記事のサムネイル(トップ画像)で出した問題は、スイセンです。ニラに似ていますが有毒植物なので食べられません。

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食べられない草(有毒植物)による死亡例もある

厚生労働省が発表している有毒植物による食中毒発生状況(平成22年~令和元年)によると、過去10年で患者数は793人、死亡数は14人となっています。

食べられる草と勘違いして、食べられない草を食べて食中毒になったり、死亡するケースもありますので、食用と確実に判断できない植物は、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないようにしましょう。

食べられる草と食べられない草の見分け方

毒があるかどうかわからないけど、どうしても野草を食べなきゃいけない!

そのような状況になる人間がどれほどいるかわかりませんが、人生何が起こるかわかりません。
いざというときに使える、食べられる草と食べられない草を見分ける検査法「Universal Edibility Test」を紹介します。

この方法では7つのステップに従って検査を行います。少々手間と時間がかかりますが最悪のケースに陥らないためにもしっかり行いましょう。
また、この検査をしている間は、水以外一切摂らないことが重要です。

  1. 分ける
    葉・根・茎・芽・花の5つに分ける。野草によっては、部分的に食べられるもの、食べられないものがあるため。虫がついているところは腐っているので、廃棄しよう。
  2. 触れる
    一部を捕って、手首や肘の中で15分間こする。野草が触れた箇所の反応をみて、赤くなったり腫れたりあざができたら、人体に害があります。
  3. 調理する
    野草によっては、火を通すことで食べられるようになることもある。火を通したら、唇に3分間触れさせる。腫れたりヒリヒリする反応があれば、その部分は食べないようにしよう。
  4. 舌に乗せる
    舌の上に乗せ、15分間待つ。腫れたりヒリヒリする反応がないかチェックする。不快感があれば、水で口をすすぎましょう。
  5. 噛む
    野草を噛んで、口の中に15分間入れる。この時、絶対飲み込まないこと。腫れたり、ヒリヒリする感じがあったら、吐き出して水で口をすすぎましょう。
  6. 飲み込む
    ステップ5で15分間経過して何もなければ飲み込んでみましょう。そのあと8時間は、そのまま様子を見ます。この間は水以外のものは摂らないようにしよう。気分が悪くなったら、すぐに吐いて、水を多めに飲むこと。
  7. 食べる
    同種の野草を1/4カップ程度集め、ステップ3でやったとおりに調理する。これを食べたら、さらに8時間そのまま待つ。 この間も水以外のものは食べないこと。8時間経過して何もなければ「食べられる」と判断できる。

また、一般的な法則として、以下の点にも注意してください。
中には人体に問題のないものもあるが、毒性の高い植物も少なくないので食べない方がいいでしょう。

  • とげのある植物は食べない
  • テカテカと輝いている葉の植物には近づかない
  • キノコは食べない(安全なものも多いが、中には毒性の強いものがある)
  • 傘型の花は避ける
  • 白・黄色の実は食べない
  • 樹液が白っぽかったり、変色しているものは、やめておく
  • さやの中に種が入っている植物は避ける
  • 苦かったり、石けんっぽい味のものはやめる
  • アーモンドっぽいにおいのするものは避ける
  • 蔦(ツタ)など、3枚の小葉で成る植物はやめる
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この植物は食べられる?季節ごとの食べても良い野草と調理法を紹介!

八百屋やスーパーで並ぶ野菜は安心して食べられるものばかりですが、野山や庭に生えている草の中にも食べられるものはあります。

しかし間違えて毒草を食べたら中毒症状を起こして、最悪死に至るという場合もあるのです。
にらと水仙と間違って食べて食中毒を起こしたというニュースも年に1件や2件ではありません。そのため、食べられる植物はどのようなものかを知っておくことが大切です。

そこで野山に生えていて「食べられる野草」にどんなものがあり、どのように調理をすればよいかについて季節ごとに3つから5つずつ紹介します。

食べられる野草

「春の野草」

イタドリ

イタドリは、平安時代から薬草として用いられていて、生命力がとても強い雑草です。食用にできるのは若芽で、その俊は4月から5月です。若い葉を傷口に当てると痛みが取れるという意味から「イタドリ」という名前になりました。皮をむいてアクを取り、煮物や炒め物にして食べます。

カラスノエンドウ

カラスノエンドウはマメ科の雑草で、以前は薬草として栽培されていました。ビタミンB1が含まれていて、整腸や利尿作用があり便秘にも効果的です。旬は4月から5月で、新芽や新葉、花も若いさやも熟した実も食べられます。食べ方としてオススメなのはてんぷらですが、おひたしや和え物にも合います。さやから豆を取り出して、豆ごはんにすることもできます。

タンポポ

3月から4月が旬で、葉は昔から薬用として食されてきました。根はコーヒーの代わりの飲み物にしたり、全草を乾燥させて「蒲公英根」といわれる生薬として用いられています。生でも食べられますが、苦みを感じるときは塩ゆでと水に漬けることを繰り返してから調理すると良いです。葉はてんぷらやおひたし、サラダなどに、花はサラダや酢の物、根は蒲公英コーヒーやかき揚げなど調理方法も豊富です。

つくし

つくしも旬は3月から4月で、全国に分布しています。胞子を飛ばした後はスギナに変わります。茎についている「ハカマ」を取り除き、あく抜きをしてからてんぷらや佃煮などにして食べます。

よもぎ

よもぎは3月から5月が旬で、春の新芽が食用です。葉が成長すれば止血や抗菌・抗炎症に効果のある漢方薬になります。お灸をすえるときの「モグサ」もヨモギから作られています。カロチンやクロロフィルなど、造血作用やコレステロール値の低下に役立つ成分も豊富です。ヨモギ餅や団子にも良く活用されます。

「夏の野草」

オオバコ

平地でも高地でも自生する強い雑草で、全国に分布しています。古くから咳止めや去痰の薬草として有名です。夏には全草、秋に種子を採取して食べることができます。主に若芽や若葉で、てんぷらやおひたしにしますが、あく抜きが必要です。

しそ

育てやすく初心者にもおすすめの和風ハーブです。葉も花も実も種もどれでも食べることができます。青じそはてんぷらや薬味に、赤ジソはシソジュースにしたり乾燥させてふりかけにすることができます。

ドクダミ

駆除が難しいほど繁殖力が強く、5月から6月に独特な臭いを放って咲いています。昔から「日本三大民間薬」のひとつとして胃腸病や皮膚病に外用・内用どちらにも利用できます。初夏に葉を収穫しててんぷらなどにします。臭いは加熱すると和らぎます。

フキ

地下茎は毒があるので食べられませんが、つぼみであるフキノトウと葉、茎は食べられます。フキはあく抜きをしてから煮物などで食べます。葉もあく抜きをした後つくだ煮や炒めものにして食べられます。

ノビル

土手や道端に自生していて、見た目はにらに似ている春から初夏の山菜です。食べられるのは葉と地下の鱗茎で、生でも食べられますが、湯がいて味噌和えやてんぷらにします。ラッキョウと同じように食べることもできます。

「秋の野草」

イヌビユ

山地よりも人里でよく生えているヒユ科の植物です。初夏から秋にかけてが旬で若い株ならすべて、成長後の株なら若葉や茎先が食べられる部分です。てんぷらをはじめおひたし、胡麻和えなどが勧められます。

クズ

秋の七草に入るつる性の植物で、とても繁殖力が強いです。根からは「くず粉」が取れて、くずもちの原料になります。花や葉も食べられて、花はてんぷらや砂糖煮、葉はてんぷらやおひたしなどで食べられます。

サルトリイバラ

つるにはトゲ、葉元にはひげがありそれらを使ってつるを絡めて伸びていきます。解毒や利尿に効能のある漢方薬に使用されますが、ゆでて水にさらしあくを取った後おひたしや炒めものにして食べることもできます。

「冬の野草」

キクイモ

根の部分が食べられますが、他の芋のようにでんぷんをあまり含まず、天然のインシュリンといわれるイヌリンを多く含んでいるので、特に糖尿病やダイエットが気になる方にピッタリの食品です。生食ができ、煮物や揚げ物にも適しています。

セイヨウカラシナ

アブラナ科の植物で、もともとは夏野菜用として日本に伝わりましたが、それが野生化したものです。菜の花に似ていますが香りは独特で、辛子の原料になります。おひたしや漬物、油いためなどをして食べます。

セリ

春の七草のひとつで、あぜ道などの湿地に生えています。冬は野菜などの植物類が少ないのですが、その中でせりは貴重な栄養源です。若い茎や葉をお鍋の具材として食べたりおひたしにして食べたりします。

ナズナ

ナズナも春の七草のひとつで、ぺんぺん草ともいわれています。天日干しをすると下痢や解熱などの生薬になります。冬から春にかけて出てくる若葉が食べられるところで、てんぷらや汁物、あえ物などで食することができます。

まとめ

草の中には、毒を持った有毒植物がいます。
食べてしまうと、食中毒になったり、最悪死亡してしまうケースもあります。

食用の野草と確実に判断できない植物は絶対に採らない!食べない!売らない!人にあげない!を徹底しましょう。
また、野草を食べて体調が悪くなったら、すぐに医師の診察を受けましょう。

私たちの身の回りにはたくさんの野草が生えていますが、間違えて食べると体に悪影響を及ぼすものも少なくありません。

季節を感じるために野草を食べたいという時は、食べられる草はどんなものか、詳しく調べてから口に入れるようにしましょう。

食べられるものでも、見た目が毒草ととても良く似たものもあるので、その微妙な違いも確認しておくことが大切です。

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