地震前の臭いは前兆というのは本当か?過去の事例を調査した結果!

神奈川県の三浦半島で、先月につづき、今月も異臭騒ぎが起こりました。結局今回も異臭の原因は特定できず、不明のまま終わりました。

このため、地震前の前兆ではという説がでています。本当でしょうか?過去の事例を調査し、確かめてみました。

最近この種の報道がよくなされますが、ネットの反応はどうでしょう。まとめてみました。

原因不明の異臭は不安だわ

地震前の臭いは前兆というのは本当か?

7月17日、神奈川・横須賀市で午前10時から11時にかけて、心配な通報が相次いだ。
周辺住民によれば、
「ガスのような、においがする」
「海の方から漂ってきた」
「駅で待っていた時に、あれ、何か焦げている臭いがするなと。生臭いようなんですが、焦げている臭いっていうんですか、そういう臭いがありました。1時間くらいは臭っていました」
「形容しがたい臭い…何ていうんだかわからない。そんなに長い間じゃなかった」、
「臭かったです。ガソリン? ガソリン?」
「ゴムが焼けるような匂いがする」

6月4日夜8時過ぎから、神奈川県の三浦市南下浦町金田から、沿岸部などを北上するように約20キロ離れた横須賀市北部の追浜地区までの三浦半島の広い範囲で、「異臭がする」という通報が450件以上も相次ぎました。
「ゴムが焼けたようなにおいがする」
「化学薬品」
「シンナー」
「ニンニクのようなきついにおいが、海側の窓から入ってきた」

当時は北向きの風が吹いており、異臭は北上して約2時間続きましたが、須賀市消防局や各警察署が対応したものの、原因不明のまま調査などを打ち切りました。
この異臭騒ぎについて立命館大学の高橋学特任教授によれば、「地震が起きる場合、活断層が動く場合であるとか、大規模な地滑り、斜面崩壊が起きているようなとき、岩石が割れているときには、よくそういった臭いがします。」と話しています。

では、この地震前の臭いは前兆なのでしょうか?
三浦半島は、西北西-東北東方向に延びる活断層が多く知られているところで、この方向は海底の相模トラフともほぼ一致しています。相模トラフでは、「北米プレート」の下にフィリピン海プレートが潜り込む場所です。

この5月20~22日、東京湾を震源とするM2・6~3・5の地震が7回続き、震源は北米プレートとフィリピン海プレートとの境界付近でありました。

これらから、何らかの地震の前兆があっても、ということが考えられます。

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海底から噴き出たガス説

南関東の地下一帯には国内埋蔵量の8割を占める広大なガス田が広がっており、地殻活動が活発化すると、ガスが噴き出します。

地震を発生させるような岩体の崩壊やプレートの固着域がはがれたことに伴う臭い説

花こう岩の円柱形のテストピースに人工的に圧力をかけて破壊実験を行ったところ、X字型の割れ目が入り、中央部分が膨れて外に飛び出したが、破壊時に、音、光、電磁波などのほかに、きなくさいような、ほこりっぽいような独特臭いが出たということです。
(故藤田和夫元大阪市立大教授)

次に過去事例からこれらの説がありうるかを見てゆきましょう。

そんなことがあるんだ!

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地震前の臭いの過去事例は?

関東大震災(1923年)直後の相模湾の地盤調査に関する地図によれば、三浦半島突端の城ケ島付近と東部の浦賀で海底からガスが噴出したと記録されています(大正震災志(内務省社会局編))。

男鹿地震秋田平野などの油田地帯では,地震の前後に石油がしみ出してくることがありました。
男鹿地震(1810年) 10日前から前震が頻発した他に,1ヶ月ほど前から,八郎潟の湖底に石油が滲出したらしく,湖水の色が赤や黒に変化し,魚が大量死したという記録があります。
男鹿地震(1939年)の前日に八郎潟でフナやコイが岸の近くに押し寄せて,多数捕獲されました。
「また,天然ガスの噴出によって臭いを感じたり,ガスが燃焼して「火の玉」が飛んだりすることもあるらしい.」と書かれています。

臭いの過去事例では、海底からガスが噴出してはっきり臭いがしたとの記録はないようです。

さらに、天然ガスの主成分であるメタン・エタン・プロパンといった物質は無臭気体で、本来は臭いがありません。

この無臭ガスの漏洩が原因で過去に爆発事故が発生し、これ以降ガス漏れをいち早く察知する簡便な方法として、無臭ガスに人工的に臭いをつけることが世界的に普及したのです。

日本でも、空気中の混合容積比率で、爆発の危険のあるガスの場合に、臭気を感知できるよう付臭剤を付加することが定められています。

特に、南関東ガス田で産出する天然ガスは99%以上がメタンであり、メタン濃度が高く、不純物が極めて少なく、人体に有害な毒性ガスや環境負荷の高い物質を含まないクリーンなエネルギーとなっています。

したがって、日常使用する天然ガスにはガス漏れ検知のための臭いがついているものの、天然ガスは無臭で、海から噴き出たとしても異臭がするはずはないということになります。

2つ目の説についても、過去に事例はなく、岩盤のずれで、どれくらいの臭いが発生するのか?大量の臭いが海底から発生するくらいなら音、光、電磁波などが観察されてもとも思われます。

これも、確証を得るのは難しそうです。

簡単に分からないから不安に結びつけてしまう

三浦半島の異臭へのネットの反応

  • ガスのような匂いがした。これは地下のガスが・・・この時点でまず間違いがあります。天然ガスは本来臭いがないんです。・・・ただ何が地震の前兆になるかは、注意深く見つめていく必要があると思う。
  • 地震につながるかもという憶測記事ばかりですが、あれだけ長い時間、広範囲で臭いがしたのだからちゃんと大気を採取して成分を調べられるはずですが…それはなぜできなかったのか知りたいです。
  • この異臭はかなり広範囲に海側で広がっていたようです。・・・同じ地区に住む友人宅ではかなり臭ったそうです。大地震の予兆なのかは結局地震がこないと解らないですが備えはしておきたいですね。
  • 異臭の原因がガスとは限らない。天然ガスは無色無臭でなかなか気づかない。・・地震前の異臭の原因は前兆現象で岩石が砕けて摩擦で焦げた匂いではないか?
  • もうこの種の記事は信じない、自分自身でいつ地震や災害が来てもよいように準備して備えているようにするしかない、予知など現在の技術では当たらないのです。

出典:ヤフコメ

コロナでナーバスになっているのに、大地震の心配まで重なると滅入ってしまう

まとめ

  • 地震前の臭いは地震の前兆ということを明確に示す過去の事例はなかった
  • 考えられる地震前の臭いについては2説あるが、三浦半島での異臭騒ぎを決定づけるものはなく現時点では、原因不明としか言えない
  • 地震の予知ができるなど信じないが、個人的には、起こるであろう地震への備えの点検の機会にしたいという声が多かった

これまで、地震の前兆と言われるのは、電離層に変化、井戸水の変化やわき水の変化、動物の異常行動など多岐にわたりますが、後付けが多くこれという確たるものがありません。

今回の騒動の異臭については、原因が不明ということで、市民の不安をかきたてることになり、最近の地震の多さもあって、大地震の前兆では、になったと思われます。

異臭の原因が、火山の火口でにおう硫化水素のようなものであれば、これは水溶性ですので、海底で発生したとしても、海上に達する前に、溶けてしまいます。

いずれにしても、原因を特定するためには、異臭ガスを分析するのが先決のように思えます。

臭いは、ガス漏れであれば、爆発の危険がありますので、直ちに対応が必要となりますが、そうでないが原因不明ということなら、不快だが放置するしかありません。

折角なので、地震に関連するかもしれないと、準備状況を点検してみるのはありかとおもいます。

騒ぐだけじゃなく行動しなければね
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