「国際カミングアウトデー」ってLGBTQだけ?宣伝をした「花王」に批判!

10月11日は、「国際カミングアウトデー」です。

日本ではあまり知られていませんが、LGBTの人がカミングアウトをしたことを祝う日で、世界的には知られています。

ところが「カミングアウトデー」に乗っかった「花王」に対し、LGBT側から「カミングデーの意味も分からず宣伝をした」と批判を浴び、花王が謝罪をしたというニュースが注目されています。

さて「国際カミングアウトデー」とは何の日?何をカミングアウトする日なのでしょうか。
気になりませんか?

そして花王がツイートでカミングアウトしたことがそんなに問題なのか?ということではないでしょうか。

「ちょっと間違った解釈をしただけで、ここまで批判されるのはなぜ?」「そもそもLGBTの暴露を祝う必要ある?」「過剰反応しすぎじゃない?」などのコメントがたくさんあります。

それとニュース記事では「LGBTQ」と書かれていますが、他の記事やコメント欄ではLGBTと書いているものもあり、「LGBT」と「LCBTQ」には違いがあるのか疑問に思った方もいるのではないでしょうか。

そこでここでは下記のことについて調べたいと思います。

  • 国際カミングアウトデーとは何?
  • LGBTとLGBTQの違いは?
  • 花王はそこまで批判されなければいけないのか?

国際カミングアウトデーとは?

 

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10月11日は、LGBTの方のために制定された国際カミングアウトデーです。

1988年にアメリカで制定された、世界的な記念日で、「性的指向や性自認をカミングアウトした人々を祝う日」です。

それとLGBTの認知と理解を広めようという目的で制定された記念日でもあります。

ただ「カミングアウト」という言葉に関しては、「今まで言っていなかった、言えなかったことを打ち明ける」という意味があります。

LGBTの方が自分の性的マイノリティについて勇気を出して誰かに打ち明ける、ということで使われることが多くなりましたが、LGBTに限らず、病気や出生の秘密、嗜好や習慣などどんなジャンルにも当てはまる言葉です。

「国際カミングアウトデー」が10月11日に定められたのは、制定された年の1年前1987年10月11日に、「ゲイ・レズビアンのワシントンマーチ」がワシントンD・Cで開催されたからです。

この日は「カミングアウトをしましょう」と勧めている日ではありません。

性的マイノリティ(同性愛者や性同一障害など)であることをカミングアウトするにはとても勇気がいることですが、それが出来た人は素晴らしい、とカミングアウトをしたことに対する賞賛をする日です。

そしてもしカミングアウトをされたなら、批判的なことを言うのではなく、そのまま受け止めてあげ、第三者に言ったりしてはいけません。

そうすることで、誰もがありのままの自分を受け入れられ、生きていきやすい社会にすることを目的としています。

2018年「電通ダイバーシティラボ」が行った調査では、日本人の11人に1人がLGBTであることがわかっています。

その中で、誰にもカミングアウトをしていない人の割合は65%にも上るそうです。
(参照:https://dentsu-ho.com/articles/7554

11人に1人いると調査では出ていますが、実際に身の回りにLBGTの人がいるかと言えば、自分の周りにはいないという人の方が多いのではないでしょうか。

それだけまだ生きづらさを感じながら、生きている人が多いということかもしれません。

世界中では10月11日の国際カミングアウトデーには、パレードやイベントを開催する国や地域があります。

日本ではまだそのようなイベントもないし、「国際カミングアウトデー」があることすら知らないという人がほとんどです。

だから、10月11日は「国際カミングアウトデー」とだけ聞けば、「どんなことでもカミングアウトをする日」だと誤解する人が出てくるでしょう。

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LGBTとは?LGBTQとの違いは?

 

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LGBTとは、「レズピアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の頭文字をとった言葉で、これらを総称してLGBTと言います。

次にLGBTQですが、「クエッショニング」「クィア」の頭文字をとったもので、LGBTにさらに「Q」付け加えています。

それではもとになる言葉の意味を一つ一つ解説していきますが、その前に「性自認」と「性的指向」について説明しておきます。

性自認

性自認とは、実際に生まれ持った性別に関係なく、自分が自分の性を男性だと思っていれば男性、女性だと思っていれば女性だということです。不明もあり得ます。

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性的指向

性的指向というのは、好きになる相手の性別です。

では、LGBTの一つ一つの意味を解説します。

レズピアン

レズピアンは、性自認が女性同士の同性愛のことです。

もともとは男性でも、自分で「私は女性」と思っていれば女性です。
だから生まれ持った性別が、女性同士ということに限りません。

ゲイ

ゲイは性自認が男性の同性愛者のことです。

レズピアンと同じで、生まれ持った性別が男性でなくても、「自分は男だ」と思っている人の男性同士の同性愛です。

バイセクシャル

男性でも女性でも、性別に関係なく愛することができる人のことです。

トランスジェンダー

トランスジェンダーは性同一性障害ともいわれ、生まれ持った体の性別と性自認が一致しない人のことです。

クエッショニング

クエッショニングは、自分の性別がわからない人、または意図的にどちらかの性別には決めない、決まっていない人のことです。
性的指向についても、どちらとも決まっていません。または意図的に決めていない人のことです。

クィア

クィアとは、かつて英語圏の国で「変態」や「奇妙な」という意味合いを持ち、ゲイのことを侮辱して言っていた言葉です。

しかし20世紀の終わりごろから。開き直ったように「自分たちはクィアだ」と、自分たちのことを指して使うようになりました。

「Q」にはこのクエッショニングやクィアも含めて、LGBTQと言われています。

どちらを使っても間違っているわけではありませんが、Qを加えたLGBTQの方が対象者の幅が広がり、新しい言い方と言えます。

花王はそこまで批判されなければいけないのか?

さて10月11日の「国際カミングアウトデー」に花王は次のようなツイートをし、LGBTの方から批判を受け、謝罪をしたことがニュースに上がっています。

そのツイートとは次のような内容です。

#メリット ってどんなシャンプーなのか知らんし。というあなたに話しかけています。実は・・#ノンシリコーン シャンプーなんですよ。#国際カミングアウトデー ということで皆さんが知らなさそうなことをカミングアウトしてみました。。。

花王は、「国際カミングアウトデー」ということで、それに乗っかって、メリットの知られざることをカミングアウトしています。

それに対して、相次いできた批判は次のようなものです。

  • 自分たちの人権を守るための言葉を、企業の宣伝に使わないでください
  • 国際カミングアウトデーって何のために制定されたか知ってるの?
  • 性的マイノリティが偏見や差別の歴史の中で大変な思いをして築いてきた「カミングアウト」という言葉を盗用するな
  • ツイートする前に「国際カミングアウトデー」のことを調べればよいのに
  • デリケートで切実な問題を公式アカウントで茶化してツイートしていいものか

これらの批判に対し花王は、「この度は、『国際カミングアウトデー』を正しく理解せず、思慮に欠けた投稿をしたことについて深くお詫び申し上げます。昨晩より多くの意見を頂いており、それらを真摯に受け止め、社内の教育啓発を一層強化し、再発防止に取り組んでまいります。大変申し訳ございませんでした。」と謝罪をしています。


このことがニュースになり、多くの反響がありました。

以下のようなコメントがあります。

  • デリケートなテーマに関する言葉は、使い方を間違えると対象者を傷つけるのので気をつけるべき
  • 本当に傷つけられたという人はいるのか
  • 花王は差別発言をしたわけではない。ルーツを知らなかっただけ
  • カミングアウトはもともとLGBTに限る言葉ではないので間違っても仕方がない
  • 花王がツイートしたことで、はじめて「国際カミングアウトデー」を知った人も多いのは?
  • 花王は謝る必要がないと思う
  • 指摘や訂正はしても、袋叩きにする必要はある?
  • LGBTQは多様性を主張している割には、寛容ではない
  • 「国際カミングアウトデー」を設けることが、特別視していることになる

沢山のご意見、コメントがあり、花王のメリット公式アカウントのツイッター方にも、続々とユーザーが見に来ていて、10月13日、16時現在、約9,000の「いいね」と4,500件近いリツイートがついて、増え続けている状況です。

ちなみに10月9日のツイートには25の「いいね」のみが付いているだけです。

本件に関して多くの方の関心があることがよくわかります。

まとめ

10月11日が「国際カミングアウトデー」ということで、ツイッターでメリットの秘密を明かした「花王」に対し、「カミングアウトを宣伝に使うな」とか「国際カミングアウトデーが何かわかっているのか」などの批判を浴び、それを受けて花王はツイッター上で謝罪をしました。

そのことがニュースになり、大きな反響がありました。

このニュースに関して、「国際カミングアウトデー」とは何か?LGBTだけのものなのか?
という疑問に関しては、以下のことがわかりました。

  • 国際カミングデーとは、性的マイノリティについて勇気を出してカミングアウトしたことを称える日、またはLGBTのことを広く知ってもらうための記念日であること
  • 「カミングアウト」という言葉自体はLGBTだけでなく誰でも使えること

そして、花王はそんなに批判されなければいけないのか、ということに関しては、いろいろなコメントを見て以下のようにまとめてみました。

花王は、国際カミングアウトデーのことを詳しく調べないで、茶化したようにして宣伝したことは良くないが、謝罪もしたし、そんなに叩かれることではない。
むしろ国際カミングアウトデーのことを知ってもらえたし、LGBT側ももっと寛容なほうが良いのでは?

ということです。

また「LGBT」という言葉についても「レズピアン」「ゲイ」「バイセクシャル」「トランスジェンダー」の頭文字で、それに「クエッション」「クィア」が加わったものが「LGBTQ」であることがわかりました。

私自身、国際カミングアウトデーのことを知らなかったので、これを機会に知ることができて勉強になりました。

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