兵庫県姫路市の姫路女学院高校で、ソフトボール部の顧問教師が、1年生の女子部員を平手打ちして、顎を外す怪我を負わせたというニュースがありました。
全治1か月という怪我を負わせたので、体罰を通り越して傷害事件では?と思うのですが・・・
そこで、部活動(特に運動系)の体罰について、自分なりに考えてみたいと思います。
ソフトボール部の体罰ニュースの詳細
事件の経緯
姫路女学院高校(私立高校)のソフトボール部の顧問教師(41歳)が、9月24日地区大会の当日、女子生徒がユニフォームを忘れたことを母親から聞いて腹を立てました。
そして電話で母親に「一発どついていいですか」と確認したあと、女生徒に平手打ちをして、女子生徒の顎が外れるけがを負わせたということです。
女子生徒はその後も、許してもらおうと顧問の近くで5時間くらい立っていましたが、その時も顧問は「お前なんかいらん」「帰れ」などと暴言を浴びせていました。
翌日も大会がありましたが、「ちゃんと反省しとんのか」などと暴言を吐いて、女生徒のお尻を蹴るなどしました。
女子生徒は顎が外れて、口の痛みと口が開きにくい状態になり、全治1か月と診断されました。精神的なショックも大きく、登校できていない状況が続いているということです。
女性との保護者が26日に面談を求めたことで、顧問教師が学校に報告して体罰が明らかになりました。
そして、顧問教師は自宅謹慎となり、「疑いなく自分の責任。まことに申し訳ない」と謝罪するとともに、「じゃれ合っていると思っていた」「自分を見失っていた」などと学校側には話しているということです。
学校側の対応
それを受け学校が、同じソフトボール部の部員や関係者に聞き取り調査をしたところ、「以前からこの女生徒には厳しく当たっていた」ことや「他校と試合をする時、他校の顧問に『こいつらクズなんです』と言っていたのを聞いた」などの報告がありました。
また10月1日に保護者会が開かれ、そこでも「顧問教師が生徒たちをおとしめるような発言をきいて、子どもがショックを受けていた」との証言も出てきています。
10月3日、学校側は記者会見を開きました。
摺河学校長は、「誠に申し訳ありません」と謝罪をした後、けがを負った女子生徒に対して「学校に来てもらえるように、学校とご家庭とが連携をとりながら、しっかりと環境を作ってまいります」ということと、「当事者になった男性教諭に対して、日ごろから監督・指導が行き届いていなかった」と話しています。
学校は顧問教諭を懲戒処分する方針で、女子生徒側は近く、警察に被害届を出すということです。
このニュースに対するコメント
このニュースを見聞きした視聴者からのコメントは次の通りです。
- 傷害事件ですよね。
- (会見に)なぜ本人が出てこないのか・・
- 処分を検討?すぐに解雇して教育免許もはく奪する方がよい。
- 昔は体罰が普通にあったが、今となっては訴えてやりたい。
- 他の生徒に対してはどうだったのか?きちんと調べてください。
- 実名で報道してください。
- ユニフォームを忘れるのは大きなミスだが、暴力の罰はいけない
- 加減を知らないで暴力を振ると、殺人事件にもなりかねません。
など・・・
コメントの中には、娘さんが同じ姫路市内の別の高校のソフトボール部で姫路女学院と対戦したことがあるという保護者のコメントもありました。
そのコメントは「何度も対戦をしたことがあり、どの方かすぐにわかりました。相手チームに悪態をついたり女子高生を威嚇したり、スポーツの指導者とは思えず保護者はみなあきれ、周りから失笑すらありました。」という内容でした。
このコメントに出てくる人が今回の顧問教師であるなら、大勢の人が見ている前でもそのようなことができるのだから、暴言や暴力は日常茶飯事なのでしょう。
部活に限らず、授業においてもいろいろやらかしている可能性は高いのではないでしょうか。
私立の高校には教育員会はなく、文部科学省や都道府県の所轄庁になりますが、学校の理事会、それに所轄庁と女子生徒が被害届を出したなら警察などの第三者機関にしっかりと調査をしていただきたいところです。
橋下徹元大阪市長・弁護士のコメント
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この体罰のニュースについて、橋下さんはTBS系の情報番組で、次のようなことを語っています。
しかし、大阪市長時代に、市立高校で体罰があり被害を受けた生徒が自殺をしたということがありました。
遺族に話を聞き『これはまずい』と思い、2011年か12年ごろに、大阪での体罰をなくす方向に舵を取った。
それで一気に変わってきたのに、10年たってもこれなんですかね」
とあきれていたということです。
体罰について考えてみる
日本では戦後1947年に「学校教育法」が制定され、その第11条で、
「校長及び教員は、教育上必要があると認められるときには、文部科学大臣の定めるところにより児童・生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし体罰を加えることができない。」
とされています。
「懲戒」というのは、不正行為、社会的ルールに反する行いをしたことに対して、二度とすることがないように懲らしめることです。
「体罰」とは、「殴る、蹴る」など体に痛みを加えるものと「正座や直立」のように苦痛を強いるようなものを指しています。
学校教育法ではこのような法律があり、当然部活においても体罰は加えることができないとされています。
しかし、昔はありました。
昔の体罰
自分は運動部ではありませんでしたが、周りから聞く話によると運動部の人たちはいくら喉が渇いても「飲んだら余計にだるくなる」と言われて水分をとることができなかったそうです。
また、殴られたり罵声を浴びたりするのも日常茶飯事という時代でした。
もちろんそんなことが良いはずはありません。
いっぱい汗をかくのに水分を取らなければ死に至ることもあります。また軽く殴ったつもりでも殴られる場所や強さによっては命に関わることもあります。
それに何より、そのような苦痛を受け続けると、精神的にもダメージを受けてしまいます。
ところが、こんなこともありました。
これは自分自身の事例です。
小学校1年生の時、授業中消しゴムで遊んでいたら、先生に「廊下で立ってなさい」と言われて、黒板消しで頭を軽く「コツン」とされました。それでしばらく、「もういい」と言われるまで立っていたことがありました。他の子も同じようなことがあったと思います。
1人だけ廊下で立たされるのは恥ずかしい事でしたが、自分はその先生が好きだったので、立たされてもあまり嫌ではありませんでした。
それは、日ごろから先生はほとんど教室にいて、子どもたちと共に過ごしてくれていたからです。
現代のようにみんなで一斉に下校する時代でもなかったこともあり、放課後は運動場で遊ぶ子もいれば教室に残っている子もいました。
先生はいつもテストの採点などをしながら、教室にいる子どもたちとコミュニケーションをとってくれていたのです。
自分は、他の友達や先生とコミュニケーションをとることが大好きでした。
とても信頼していて、大好きな先生だったからこそ「立ってなさい」と言われても「自分が悪かったから仕方がない」と思えていたのです。
体罰を容認するわけではありませんが、子どもの側が愛を感じられる体罰なら受け入れられる、ということもあるのです。
先生の方も本当に子どものことを思ってくれているなら、けがをするほどきつい体罰はできないはずです。「コツン」くらいでしょう。
昔の部活に関してはもっときつい体罰だったと思います。
しかし日ごろの顧問教師の姿を見て、生徒が「本当に強くしようと一生懸命にしてくれている」という愛を感じ、ほかの生徒にも平等に接していることがわかれば、みんなで励まし合いながらきつい練習も少々の体罰も耐えられるのではないでしょうか。
そしてそれが大人になって「懐かしい思い出」になるのだと思います。
さらに昔の親は「先生の言うことを聞きなさい」「怒られたのはあなたが悪いから」という時代だったので、よほどのことがない限り親も助けてくれなかったのではないでしょうか。
しかし、いくら体罰が一般的だった時代でも、あまり生徒のことを知ろうとしないのに、ただ「腹が立つ」とか「鍛えてやる」というだけにしか思えない、信頼関係のない先生にきつい目にあわされていれば、それは何年たっても「恨む」ような出来事でしかなかったと思います。
今の時代の体罰
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今の時代は、家でも親に叩かれることもなく育っている子どもが多く、学校でもそのようなことはほとんどありません。
そんな中、まだ昔の部活のやり方をそのまま引き継いでいる教師が叩いたり蹴ったりすると、子どもはとても傷つくのです。
しかもその体罰のやり方は、生徒から見れば、愛のあるものではなく、感情が抑えられなくていじめられているようにしか思えないのだと思います。
先生と生徒の間に信頼関係がないのに、必要以上の体罰が与えられると、精神的にダメージを受けるのは当然です。「自分だけなぜ」「なぜそこまでするのか」と思いながらも毎日部活に行かないといけない、ということが続くと、どんどん追い詰められてしまいます。
橋下徹氏のコメントにもありましたが、部活の体罰がひどくて自殺をする、というニュースも時々あります。
肉体的苦痛も相当だったと思いますが、精神的な苦痛がもっと大きかったのでしょう。
自殺にまで追い込んだのは、ただのいじめか、先生の感情のままの行為だったからだと思われます。
もし今の時代に、昔の部活のような体罰を暗黙の了解で許したとするとどうなるでしょう。
大人もストレスをたくさんためて生きています。教師という職業も相当なストレスを受けているはずです。
そしてもし少々の体罰が許されるなら、きっと弱い立場の子どもたちに向くでしょう。
初めは「コツン」でも、加減がわからなくなりだんだんエスカレートしていくことは目に見えています。
そんなストレス発散のための体罰なんて、絶対にあってはならないことです。
まとめ
今回の姫路女学院高等学校の部活でも体罰のニュースを受けて、体罰について考えてみました。
学校教育法では、体罰はしてはいけないとされていますが、昔は暗黙の了解のような感じでよくあったものです。
しかし先生もストレスが多くて余裕のなく、子どもたちもあまり怒られることや体罰を受けることのない今の時代は、もう体罰は絶対にしてはいけないことだと思いました。
生徒に大けがをさせたり、自殺に追い込むことさえあるからです。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました。