コロナ禍による延期が続き、ようやく今月下旬に開幕する今季MLB。この休止期間中に、カブスのダルビッシュ有投手が考案した新変化球が、野球関係者やファンの間で話題になっています。
その新変化球の名は「スプリーム」。スプリームとはどういうボールなのでしょうか。なぜそういう名前になったのか、言葉の意味とともに調べてみました。
スプリームとはどんな球?ダルビッシュに新球
ダルビッシュ有投手は6月、自身の公式Twitterで新変化球を考案したことを公表しました。そのボールの名称は「スプリーム」。ダルビッシュ投手は投稿に添えた動画のツイートで「これがスプリームです。150km/hはでます」と速球系の変化球であることを明かしました。
さらにこのほど、新たに始めたWEBサービス『note』で、より詳しくスプリームについて自身で説明しています。ちょっと長くなりますが、以下にダルビッシュ投手自身による貴重な解説を引用します。
「(スプリームとは)どんな変化球かというとスプリットとツーシームの間のような球です。ブルペンでのストレートの球速は93〜96マイル(149〜154キロ)ぐらいなんですがこの球は92〜94マイル(148〜151キロ)ぐらい出ます。試合の場面によっては96マイル以上出ると思います。
どれぐらい変化しているかというと、4シームに比べ約18cm落ちていて、約10cmシュートしている感じです。今日もブルペンで投げてきましたが毎回良くなっている気がします。昨今のMLB、NPBを見ているとスプリームのような球を投げている投手がいますが回転数を調べるとだいたい1400回転以下です。これは自分からするとスプリットに分類します。
ちなみにDeNAの山﨑康晃投手のツーシームみたいとも言われましたが、山﨑投手のツーシームもストレートとの球速差、回転数(約1300回転)などからスプリットに分類されるかと思います。(打者からどう見えているかはわかりませんが)。
スプリームの回転数はというと2000〜2200ぐらいを狙っていてちょうどそれぐらいで落ち着いています。いわゆる低回転の投手が投げるツーシームのような感じですね。高回転の4シームを投げる投手(自分は高回転に分類され平均2500ぐらいです)が、”意図して”低回転の球を投げるというのはなかなかできる事ではないので、この球が通用すると沢山の投手の武器になるかもしれません。
おさらいすると(スプリームとは)ストレートに比べて低回転で自分の投げている腕の方向に曲がりながら落ちていく、という感じですが、フォークやスプリットよりは回転しているという感じです」
:ダルビッシュ有・noteより
その後、7月に入りダルビッシュ投手は、カブスの紅白戦で実際にスプリームを実戦使用。対戦した3年連続2桁本塁打の強打者ハップ外野手は、新球の印象について「全くフェアじゃないよ。93マイルでベルトの高さから地面に落ちるんだ」と驚き、感服していました。
ダルビッシュ選手(@faridyu)考案のスプリーム投げてみました!
インコースにいけばシュートしながら落ちたけど外の球はそのままスプリットでした。※2球目は比較の為まっすぐ
高速で落ちる球なかったので新球種に加えられそうでよかったです!
改善するポイントあれば教えて欲しいです。 pic.twitter.com/wXfXPeefSp
— 根本夏暉 (@nmtntkbaseba11) July 10, 2020
そもそもスプリームの意味や使われ方は?
考案者のダルビッシュ有投手によると、新球「スプリーム」とは「フォーシーム・ツーシームとスプリットの合体版のような、速球系変化球」とのことで、自分以外に既に投げている投手もいるそうです。
野球のトップレベルでの投手対打者の攻防には限りがないことが改めて認識させられるようですが、そもそもスプリームとはどういう意味の言葉なのでしょうか。
日本語的には、野球界で二種類の球種を合成して新変化球を言い表すケースが時々あります。「真っスラ」(直球とスライダーの中間)、「縦スラ」(縦に変化するスライダー)、「スクーチェ」(スクリューボールをチェンジアップで投げる)などです。この意味ではスプリームも「スプリット」の前半部分と「○○シーム」の語尾を合体させた造語のように見えます。
ただ英語では「supreme」と表現されている様子。これは英和辞典(研究社「新英和中辞典」)によれば以下のような意味です。
1,[しばしばS~] (地位・権力など)最高位の、最高権威の。
(例)the Supreme Court 《主に米国で用いられる》 (国または州の)最高裁判所
2,(程度・品質など)最高の、最上の、最優秀の。
(例)supreme wisdom 最高の英知
3,絶大の、極度の、この上ない、非常な。
(例)supreme folly この上ない愚かさ
4,最後の、終局の。
つまりは、米MLBでは「打者を抑える最高、究極の変化球」といった意味合いが込められているともいえそうですね。
ダルビッシュのスプリームへのネットの反応
- 去年の後半から更なる覚醒してると思ってたけど、ことしサイヤングがあるなら良いとこいくと思うな
- スプリームという球種が定着したら、とてつもない功績
- 変化球の魔術師に等しい戦術を持つ者だ。ダルビッシュの進化は止まらない
- 試合で使えるといいですがね。ダルは変化球はすでに使える球はほぼ全て一級品だけど、コントロールが課題の投手
- 研究熱心なのをひけらかす事なく、ネタにさえしてしまう。本物のプロだと思います
出典:ヤフコメ欄
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- ダルビッシュ有がコロナのオフに新変化球「スプリーム」を考案
- 4シーム並みの球速とスプリットのような鋭い落差のある「新魔球」
- ダル自身ネットで公開。カブス強打者も「フェアじゃない球」と驚嘆
今回ダルビッシュ投手が考案したスプリーム、早速ソフトバンクの千賀滉大投手が二軍戦で実戦使用したそうです。報道によると、オフにダルビッシュ投手のアドバイスを受けるなど「師弟関係」にある千賀投手は、ダルビッシュ投手本人から送られてきた投球動画を見て習得に励んでいるそうで、「もう少し球速が出れば理想」と手ごたえも口にしているとのこと。
ダルビッシュ、千賀投手らが公式戦でスプリームでの結果を出せば、他の投手も続々追随するかも。一方打者側も対策を講じるはずで、今季も奥深い「投打のせめぎ合い」が展開されることになりそうです。
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