MLBシカゴ・カブスのダルビッシュ有投手が、現地8月29日のレッズ戦に先発して勝利し、ナリーグ単独トップの6勝目を挙げました。今季は安定した投球でMLB自己ベストの六連勝。ファンやメディアでは「サイヤング賞が見えてきた!」との評価も出ています。
果たしてダルビッシュ投手は日本人初のサイヤング賞を受賞できるのでしょうか。今回は選考基準や方法、歴代の有名受賞者など「サイヤング賞の基本」をまとめてみました。(出典:Wikipedia、各スポーツメディアなど)
サイヤング賞の基準は?ダルビッシュに期待感
今季MLBで好調が続くダルビッシュ有投手。レッズ戦では7安打2四球と走者を出しながらも、二つの併殺などで落ち着いてピンチを切り抜けるクレバーな投球。6回を無失点に抑え、8月31日までで防御率1.47と大変安定しています。カブスファンはもちろん、日米メディアでも「サイヤング賞有力」との見方が浮上。もし受賞すれば日本人投手初の快挙となります。
各リーグから1人ずつ選出
ところでこのサイヤング賞とは、MLBでのシーズン最優秀投手賞のこと。20世紀初頭にレッドソックスなどで活躍、通算勝利数511、通算敗け数319、通算先発815など数々のMLB最多記録を打ち立てた伝説の大投手デントン・ヤング(愛称サイ・ヤング)の名誉をたたえ1956年に創設されました。
当初はMLB全体で1人だけ選ばれていましたが、67年からはア・ナ各リーグ1人ずつの選出に変更。歴代錚々たる投手が選ばれてきた「プロ投手の最高の名誉」「世界No1投手賞」とも呼べるものです。
意外にも?!基準なしの相対評価
そのシーズンで最も優秀な投手を選ぶサイヤング賞。何と、かなり意外なことに対象となる投手の明確な基準はありません。ルールとしては「全米野球記者協会所属の記者60人による投票で決まる」ということだけ。1位7点、2位4点など5種類の票を記者が各投手に投票し、その合計獲得点の最も高い選手が受賞者となります。
このため先発・中継ぎ・抑えなど試合での役割も投球回数・勝利数・勝率などの成績も特に関係なく、投票権ある記者が考える「シーズン最高の投手」が相対評価で選ばれるという仕組みです。
Bad news when Yu’s on.
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— Chicago Cubs (@Cubs) August 29, 2020
This is the @PitchingNinja inspired slider by @faridyu. pic.twitter.com/EZhyhRNx9n
— Cubs Zone ™️ (@CubsZone) August 29, 2020
サイヤング賞歴代の有名選手
歴史あるMLB1シーズン最高の投手を表彰するサイヤング賞。日本人初のダルビッシュ有投手の受賞に大いに期待が高まります。歴代の受賞者の顔ぶれを見ると、まさに球史に残る名投手がズラリと並んでいます。ただ「数字基準がない」だけに、毎年のピッチャー名は球界の進化や評価の変遷も映しているといえそうです。
史上最多の複数回受賞者はロジャー・クレメンスの7回、次いでランディ・ジョンソンの5回。グレッグ・マダックス、ペドロ・マルティネスら米野球殿堂入りした世界的な大投手も数多く並んでいます。
↓ランディ・ジョンソン
ただ興味深いのは、一般に野球の投手とは「勝利数、防御率、奪三振数」の3大指標が最も多い(よい)選手をNo1だと考えるのが伝統的なはずですが、サイヤング賞に関しては必ずしもこの「投手3冠ピッチャー」ばかりが選ばれているわけではないということです。
特にここ数年のサイヤング賞は、評価内容が数十年前と比べかなり変化しているように思われます。「最多勝、最優秀防御率、最多奪三振」の3冠で受賞した選手は、11年のカーショー、バーランダー両投手以降はゼロ。毎年最多勝の投手が受賞する傾向はあるものの、とりわけ球界やファンを驚かせたのは直近2年のナリーグの受賞者、ジェイコブ・デグロム投手(メッツ)です。
デグロム投手は18年10勝9敗、19年11勝8敗。30試合以上登板しながら勝利数は平凡で、10勝は史上最少勝ち星での受賞でした。しかし18年は投手2冠のシャーザー投手を押しのけてのトップ得票。理由は「1.70以下の防御率は、過去100年間で11人目の低さ」「MLB史上最高の24試合連続クオリティ・スタート」といった抜群の安定度にありました。
投手の勝ち星はチームの勝利が大前提。どんなに好投しても味方が無得点だったり救援陣が逆転を許すと付かず、かなり「巡り合わせ」「運」に左右される面があるものです。チームの順位・成績などに関係なく、純粋に本人の投球データだけで評価するのが近年のMLBの趨勢で、デグロム投手はまさに「現代野球が生んだサイヤングピッチャー」だといえそうです。
↓ジェイコブ・デグロム
サイヤング賞ダルビッシュどうなる?ネットの反応
- 副業メジャーリーガーとか言われてた人がサイヤング賞候補になってるのおもろい
- 張さんもサイヤング賞も夢でないと褒めていたな
- ダルビッシュがサイヤング賞取れなかったらペヤング賞を贈ってあげて欲しい
- シーズン60試合でもサイヤング賞はあるの?
- 髪型が1年だけサザエさんになる代わりにサイヤング賞獲れるボタン押した世界のダルビッシュ
出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- ダルビッシュが6連勝でナリーグトップに。サイヤング賞最右翼に挙がる
- 錚々たる大投手が受賞のサイヤング賞。基準なしの記者投票で純粋選出
- 勝ち星だけでなく様々な指標で投球を相対評価。デグロム受賞が象徴的
日本のファンには期待高まる今季サイヤング賞ですが、一方のNPB伝統の沢村賞は議論白熱中です。MLBと違い「15勝以上、10完投以上」など非常に厳格な基準があり対象も先発完投型投手のみ。
最近の「投手分業・専門化」に伴い基準を満たす投手が年々少なくなり、昨年はついに「該当なし」に。日米メディアからは「今どき10完投…??」「こんな基準満たせるのはランディ・ジョンソンくらい」など「時代遅れ批判」も聞かれます。
ただ賞の性格や成り立ちはそれぞれ独自のもの。別に沢村賞を他の賞に〝寄せる〟必要はなく、あくまで理想を求める絶対評価の賞として存在し続けるのも、野球文化として「アリ」なのではないかとも感じます。
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