アーム投げのメリットとデメリットをわかりやすく解説!山本由伸以外の投手も紹介

プロ野球はついに両リーグで優勝が決まりました。パリーグは25年ぶりにオリックスが悲願の制覇。牽引役は18勝を挙げたエース山本由伸投手でした。

山本投手は「アーム投げ(やり投げ)」スタイルの代表格。アーム投げはなぜ凄いのか、逆に弱点は?そのメリットとデメリットを調べてみました。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)

山本由の成功で次々とアーム投げを試す若い投手が増えているともいうが…

アーム投げとは

スポーツでは野球、ハンドボールなどの球技や陸上のやり投げ、円盤投げの投擲種目といった「物を投げる」動きがよく見られます。

物をより強く・より遠くに投げるという意味ではこれらは共通していますが、投げ方には微妙な違いがあるようです。例えば野球の投手は一定距離を強く、コントロール良く投げる必要から制球しやすい「肘を屈伸させ、しなりを利用する」投法が主。一方、サッカーのゴールキーパーややり投げ選手はなるべく遠くになげる必要から「腕を伸ばしたままの遠心力」投法が一般的です。

「アーム投げ」とはこの後者の投げ方のことで、「肘の屈伸力をあまり使わず、腕を伸ばしたまま肩の力で投げる」やり方だといえます。

アームってのは英語で「腕」だけど、この場合人の腕というよりピッチングマシンの真っ直ぐなアームのことを指す感じよね

では山本由伸投手はなぜアーム投げなのか。逆に投手では従来アーム投げが少ないのはなぜか。そのメリットとデメリットを探ってみました。

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アーム投げのメリット

山本由伸投手によれば彼自身元々は「アーム投げ」ではなかったそうです。16年ドラフトでオリックスに入団した山本投手。1年目は「5イニング投げたら腕がパンパンで、すぐに肘に負担がきていた」そうで、対策としてやり投げのように肘を使わず体全体で投げる練習を始めたところ、効果が出たといいます。

ピッタリはまった山本投手のように、アーム投げのメリットを挙げると以下の通りとなります。

1,体全体を使うダイナミックさ

以下の山本由伸投手の動画でご紹介するように、アーム投げだと体全体を使ってダイナミックな投法になります。ボールの力強さが増し、山本投手の武器であるストレートのほか、150km近い超高速スプリット、カット、シュートなど、球種のキレが増す効果が考えられます。

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2,肘の負担が少ない

山本投手が始めたきっかけのように、肘をあまり使わないため、投手では最も故障が多い肘を守る効果があり、より長いイニングを投げられるといえます。

肘手術から復帰した大谷翔平も「アーム」とまでは言えないものの、投げ始めに肘をあまり曲げないフォームを工夫しているという

3,球のスピードが出る

上記「1」と関連しますが、体全身の力をボールに伝えやすいことから、スピードボールを投げやすいともいわれます。山本投手は「アーム投げ」に変えて以降、直球の平均球速が常時150kmを超えています。

野球素人の室伏広治さんが以前始球式をやった際、アーム投げで130km以上出て球場がどよめいてたわね!

アーム投げのデメリット

このようにメリット多いアーム投げですが、一方で、少年・アマ野球などでは昔から「アーム投げはダメ」とタブー視され、コーチらから肘を屈伸する投げ方に修正されるのが常でした。

これはアーム投げのデメリットが理由だと思われますが、どんな点が悪いのか挙げてみました。

1,肩の負担が大きく故障しやすい

アーム投げは前述のように肘への負担は減るものの、反対に肩や体全身には負荷がかかります。このため肩の筋肉が十分鍛えられていない選手や、筋力の弱い子供たちの場合、故障する恐れが大きいといわれます。

2,球の握りが打者から見える

アーム投げは腕を伸ばしてトップの位置に持ってくるのが一般的。そうすると手に握った球が打者から見えやすく、握り方による球種が判断しやすいとされます。肘屈伸法では手が打者から見えにくく投手有利だといわれます。

それを防ぐため、「まさかり投法」で有名だった村田兆治さんは投球中に握りを変える「特殊技」をマスターしたらしい!

3,クイック投法しにくい

体全身でダイナミックなアーム投げですが、裏を返せばフォームが大きいということ。走者がいる場合のクイック投法などは、コンパクトな肘屈伸投法よりやや難しいともいわれます。

アーム投げをする主なプロ野球選手一覧

アーム投げのメリットとデメリットをご紹介しましたが、最近のプロ野球はMLBでは投手の自主性や個性を生かす考え方が大きくなっているためか、かつては「御法度」とされたアーム投げのプロ投手は増える傾向にあるともいわれます。

専門家の見方は様々ですが、主な「一見アーム投げ」と思われるプロ野球選手を一覧にしてみました。

■山本由伸(オリックス)

2021年優勝の原動力。投手成績7冠及びMVPや沢村賞など総なめ確実の今や球界No1ピッチャー。アーム投げブームの火付け役?

■佐々木朗希(ロッテ)

「令和の怪物」の呼び声の逸材。2021年本格一軍デビューし11先発で3勝。フォームを大きくし持ち味の長い腕を生かすため、アーム投げを採り入れているとされる。

 

■戸郷翔征(巨人)

先発の柱の一人で今季9勝。山本投手が都城高時代、チームメイトに戸郷投手の実兄がいた縁で、2歳年下の戸郷投手とも親しい。アーム投げもその影響?

ただ本人は「自分のはアーム投げではない」と否定しているそうだが

※以下は元選手です。

■佐藤世那(元オリックス)

■小松辰雄(元中日)

■岩瀬仁紀(元中日)

■村田兆治(元ロッテ)

まとめ

今回の記事をまとめると以下の通りです。

  • オリックス優勝の原動力で投手賞総なめの大エース山本由伸は「アーム投げ」
  • 腕を伸ばしたまま投げる投法。マシンのアームに似る?普通は「肘屈伸」投法
  • フォーム大きく球速出るメリット。肩の故障、球種ばれるデメリットも指摘
古田敦也さんも「昔は全面禁止だったのに、投球常識の転換点を迎えてる」と驚いてたわね
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