コロナ禍で1年延期された東京五輪2021まであと2週間です。今回は、日本がメダルを獲得したこともある伝統種目「フェンシング」をクローズアップ。「最低限ここさえ分かればOK!」な、フェンシングのルールをわかりやすく解説しましょう。(出典:Wikipedia、東京五輪公式など)
フェンシングのルールをわかりやすく解説
東京五輪のフェンシング競技。中世発祥のとても古いスポーツですが、日本などアジアでは馴染みが薄いこともあり「ルールがよく分からない」という方も多いでしょう。わかりやすく解説してみます。
まずフェンシングは必ず「1対1」の二人だけで勝負。向かい合って、片手に持った剣で互いの体を突いて勝敗を決めるのが基本です。押さえておきたいルールのポイントは以下の3点です。
【ポイント1】種目は3種類
フェンシングの種目は「フルーレ」、「エペ」、「サーブル」の3つ。東京五輪ではこの3種目でそれぞれ男女の個人、団体戦を実施。前回リオ五輪から2種目増えて計12種目行われます。
【ポイント2】ポイントを早く取った者勝ち
剣は必ず右か左の片手で持ちます。1本の剣を両手で持ったり、2本の剣を両手それぞれに持つのは禁止。剣で相手の体に触れる有効な攻撃が成功するとポイントになり、規定ポイントに早く達した方が勝ちです。
【ポイント3】機械が判定
フェンシングは目にも止まらない超速な剣さばきの応酬が見どころ。素人が見てもどっちが勝ったのか正直全然分からない速さです。
そこで判定には「電気審判機」を導入。一方または両方の選手が有効面に突きや斬りを決めた場合、審判機に赤色や緑色のランプが点灯します。光が見やすいよう試合中は照明が落とされ、薄暗い中で戦うのも特色です。
フェンシング3種目の違い
次に、フェンシングで行われる3つの種目にはどんな違いがあるのか、それぞれわかりやすく特徴とルールをご紹介しましょう。
フルーレ
ポイントになる有効面は頭部と両腕を除く胴体部分(背中含む)だけ。圧力500g以上の突きのみが有効な攻撃とみなされます。
同時攻撃の場合「優先権」がある方だけにポイントを付与。剣の重さが軽いため、初心者が最初に教わることが多いそうです。
エペ
頭からつま先まで全身すべてが有効面。圧力750g以上の突きだけが有効な攻撃。同時に突きが決まった場合双方がポイントを取得します。
全身が「標的」のためいかに相手の意表を突くかといった駆け引きが多く、初心者でも分かりやすい種目です。
サーブル
有効面は両腕と頭部を含む上半身のみ。フルーレと同じく優先権のある選手の攻撃がポイントとなります。
フルーレ・エペと異なるのは「斬り(カット)」も有効な点。このためサーブル用の剣のセンサーは剣先ではなく剣身全体にあります。剣を振り回すダイナミックな動きが特徴です。
フェンシング日本代表選手
東京五輪のフェンシング日本代表は、開催国枠などもあるため、団体の補欠を含めて21人と史上最多です。以下に一覧でどうぞ(団体補欠除く。大学は出身校)
【男子】
▽フルーレ
・敷根崇裕 23歳、法大、大分県出身、17年世界選手権個人銅メダル
・西藤俊哉 24歳、法大、長野県出身、17年世界選手権個人銀メダル
・松山恭助 24歳、早大、東京都出身、18年アジア大会団体3位
▽エペ
・山田優 27歳、日大、三重県出身、14年世界ジュニア選手権個人日本勢初制覇
・見延和靖 34歳、法大、福井県出身、リオ五輪代表
・加納虹輝 23歳、早大、愛知県出身、19年世界選手権代表
▽サーブル
・吉田健人 28歳、法大、東京都出身、18年アジア大会代表
・ストリーツ海飛 27歳、米ペンシルベニア州立大、米国出身、19年世界選手権代表
・島村智博 37歳、専大、東京都出身、19年世界選手権代表
【女子】
▽フルーレ
・上野優佳 19歳、中大、大分県出身、18年世界ジュニア選手権優勝
・東晟良 21歳、日体大、和歌山県出身、19年アジア選手権は個人3位
・東莉央 22歳、日体大、和歌山県出身、19年W杯団体3位
▽エペ
・佐藤希望 35歳、日体大、福井県出身、ロンドン五輪代表
▽サーブル
・江村美咲 22歳、中大、大分県出身、2年連続全日本選手権優勝
・田村紀佳 30歳、朝日大、群馬県出身、18年アジア大会銅メダル
・青木千佳 31歳、日大、福井県出身、リオ五輪代表
フェンシング最新SNS
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↓日本フェンシング協会のルール動画
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 東京五輪フェンシングは第1回アテネ大会から続く欧州発祥の伝統競技
- フルーレ・エペ・サーブルの3種目。速すぎる動きで判定は電気審判機
- 日本代表は史上最多の21人。男子エペ、女子フルーレでメダル期待
千葉市の幕張メッセで早くも今月24日から最初のメダルが決定するフェンシング。日本フェンシングの象徴だった、男子フルーレで2大会連続銀メダルの太田会長がリオ五輪後に引退し、東京は誰が「ポスト太田」になるかの試金石となります。
青木雄介代表監督が「まずは一つのメダルに最大限こだわらないといけない」と2大会ぶりメダルに意気込む種目は、男子エペと女子フルーレになりそうです。
男子エペの世界ランキングは8位。エース見延選手はじめ山田、加納選手にもメダル級の力があるとされます。女子フルーレも日本の団体世界ランクは5位。ロシア、フランスなど4強と力の差はありますが、最年長が22歳の東莉選手と若いチームで勢いづきたいところです。