ワールドカップの成績はFIFAランキングの通りに行かないのは有名な話。
さらに言うとFIFAランキングほど当てにならないガバガバなランキングはなく、その信憑性ときたら、合コンの後に女の子から送られてくる「また機会があったら飲みましょうね」というメッセージ並みに当てにならない。女の子にはもっとガバガバになって欲しいところではあるが、ともかくFIFAランキングを元にワールドカップの優勝国を予測するのは困難である。
では、何をもとにして各国の強さを比較すればよいのかというと、現在最も信頼性が高いと言われているランキングに
『イロレーティング(Elo rating)』
と呼ばれるランキングがある。
今回は当てにならないFIFAランキングという過去の遺物は捨て去り、このイロレーティングを使って、グループステージ突破国と優勝国の予想をしていきたいと思う。
FIFAランキングとの比較
まずはイロレーティングとFIFAランキングがどれくらい違うのかを見比べてみようと思う。
FIFAランキング
以下は、2018年3月15日に発表されたFIFAランキングの中からワールドカップ出場国だけを並べたものだ。一応、グループHだけは赤色で表示してみた。
【順位|国名】
01位|ドイツ
02位|ブラジル
03位|ポルトガル
04位|アルゼンチン
05位|ベルギー
06位|スペイン(同率)
06位|ポーランド(同率)
08位|スイス
09位|フランス
10位|ペルー
11位|デンマーク
12位|コロンビア
13位|クロアチア
14位|イングランド
15位|メキシコ
16位|アイスランド
17位|スウェーデン
18位|ウルグアイ
19位|チュニジア
20位|コスタリカ
21位|セネガル
22位|イラン
23位|セルビア
24位|オーストラリア
25位|モロッコ
26位|エジプト
27位|ナイジェリア
28位|パナマ
29位|日本
30位|韓国
31位|ロシア
32位|サウジアラビア
このランキングの日本の順位だけ見ると絶望的な気持ちになるな・・・。まぁいいや、FIFAランキングなんてカンケーないし!
イロレーティング
続いてイロレーティングを見ていきたいのだが、一応事前情報としてチェスのイロレーティングでは、以下のような決め事がある。
- ゲームの結果は一方の勝ち、一方の負けのみとし、引き分けは考慮しない(0.5勝0.5敗と扱うものとする)
- 200点のレート差がある対局者間では、レートの高い側が約76パーセントの確率で勝利する
- 平均的な対局者のレートを1500とする
フットボールにおいてもこの決め事を採用する場合、ポイントはこの「200点のレート差がある対局者間では、レートの高い側が約76パーセントの確率で勝利する」といった部分ではないかと思う。
つまり対戦相手とのポイント差が200点を超えない範囲であれば約8割負けるといった絶望的な戦いにはならないのではないかということだ。それらを踏まえて、ワールドカップの出場国だけのイロレーティングランキングを見てもらいたい。
【順位|ポイント|国名(FIFAランクの順位)】
- 01位|2113|ブラジル(2位)
- 02位|2109|ドイツ(1位)
- 03位|2032|スペイン(6位)
- 04位|1995|ポルトガル(3位)
- 05位|1989|フランス(9位)
- 06位|1984|アルゼンチン(4位)
- 07位|1933|イングランド(14位)
- 08位|1928|ベルギー(5位)
- 09位|1927|コロンビア(12位)
- 10位|1881|ペルー(10位)
- 11位|1866|ウルグアイ(18位)
- 12位|1866|スイス(8位)
- 13位|1857|クロアチア(13位)
- 14位|1856|メキシコ(15位)
- 15位|1843|ポーランド(6位)
- 16位|1842|デンマーク(11位)
- 17位|1818|スウェーデン(17位)
- 18位|1813|アイスランド(16位)
- 19位|1799|イラン(22位)
- 20位|1770|セルビア(23位)
- 21位|1760|韓国(30位)
- 22位|1752|セネガル(21位)
- 23位|1745|コスタリカ(20位)
- 24位|1728|オーストラリア(24位)
- 25位|1707|日本(29位)
- 26位|1698|ロシア(31位)
- 27位|1696|ナイジェリア(27位)
- 28位|1691|モロッコ(25位)
- 29位|1671|パナマ(28位)
- 30位|1659|エジプト(26位)
- 31位|1624|チュニジア(19位)
- 32位|1566|サウジアラビア(32位)
グループHに限って言えば、
- セネガルと日本の差が縮まっている点
- コロンビアとポーランドの順位が大きく入れ替わっている点
が挙げられる。
これポーランドちょろいんじゃね?なんて油断してしまいそうだが、その分コロンビアの実力が恐ろしくなる結果に。ではそのほかの国も見てみよう。
過小評価されている国
FIFAランキングで下位だったとしても、イロレーティングで順位があっている国は過小評価されている国なので、舐めていると痛い目を見る。
スペイン、フランスは元々強豪国だが、FIFAランキングでみるとベスト5にも入っていないにもかかわらずEloでは上位に入ってくる。また、イングランド、ウルグアイ、韓国、ロシアなどはFIFAランキングに比べて順位が大きくUPしているので対戦時には注意が必要だ。
過大評価されている国
逆に、FIFAランキングでは上位だが、イロレーティングだと順位が下がっている国は過大評価されていることになる。日本と対戦するポーランドなんてまさに過大評価を受けている最たる国といえるだろう。FIFAランキングでは6位だが、Eloでは15位まで落ちてしまうのだ。もちろん油断は禁物だが日本は必要以上にビビる必要はないということだ。他にもチュニジア、エジプト、デンマークも過大評価気味といえるかもしれない。
とはいえ、イタリアが1906ポイント、オランダが1896という高得点にもかかわらず出場できてないじゃないか!!!・・・なんていうのは言いっこなしです、笑。
グループステージ突破国予想
では、それらを踏まえてグループリーグの突破国を予想していこう。といってもグループリーグに関しては単純に数値が高い国を勝ち進めて行こうと思うので、
1位通過|赤
2位通過|青
としてまとめてみた。
【グループA】
2位|1698|ロシア
4位|1566|サウジアラビア
3位|1659|エジプト
1位|1866|ウルグアイ
数値で確認すると開催国であるロシアは数値が低いわりに、突破が出来てしまうという良いグループに入った印象。やはりドローには八百長があるのだろうか。
【グループB】
2位|1995|ポルトガル
1位|2032|スペイン
4位|1691|モロッコ
3位|1799|イラン
安定のスペイン 、ポルトガル。モロッコ、イランにはかわいそうだが、よほどのことがない限りグループBの牙城は崩れないだろう。
【グループC】
1位|1989|フランス
4位|1728|オーストラリア
2位|1881|ペルー
3位|1842|デンマーク
個人的に優勝すらあり得ると思っているフランスと、意外と数値の高いペルーが通過。日本の盟友オーストラリアは流石に少し厳しいか・・・。
【グループD】
1位|1984|アルゼンチン
3位|1813|アイスランド
2位|1857|クロアチア
4位|1696|ナイジェリア
果たして今大会でメッシは伝説となれるのか? 初出場で注目を集めるアイスランドにも頑張ってもらいたいが、数値上ではクロアチアが通過となった。
【グループE】
1位|2113|ブラジル
2位|1866|スイス
4位|1745|コスタリカ
3位|1770|セルビア
ブラジルはおそらく何の問題もなくグループステージを突破するだろう。このグループは2位通過を争うグループだ。
【グループF】
1位|2109|ドイツ
2位|1856|メキシコ
3位|1818|スウェーデン
4位|1760|韓国
かなり厳しいグループF。ドイツの盤石は揺るがないとしても2位通過は地獄のような道のりになりそうだ。
【グループG】
2位|1928|ベルギー
3位|1671|パナマ
4位|1624|チュニジア
1位|1933|イングランド
グループBと同じく2か国の力が抜けているので、ベルギー、イングランドのが突破してくることだろう。
【グループH】
2位|1843|ポーランド
3位|1752|セネガル
1位|1927|コロンビア
4位|1707|日本
FIFAランキングではポーランドの方が上位にきているが、イロレーティングの数値上では圧倒的にコロンビアの方が強い。さらに屈辱的ではあるが、日本はコロンビア相手に200点以上のポイント差をつけられている為、計算上では76%以上の確率で日本の敗北ということになる。 悔しいが数値上ではポーランドとコロンビアに道を譲る形になってしまう。
決勝トーナメント
いよいよ決勝トーナメントに入るが、イロレーティングの数値をそのまま反映させたらブラジルが優勝して終わりになってしまうので、面白みがない。また、短期決戦の大会では強豪と当たって勝利してきたチームは勢いがあり、そのまま優勝していく傾向があったりする。
それらを踏まえて決勝トーナメントで勝利したチームは対戦相手のポイントの25%分だけ数値を上乗せさせていくことにする。弱い相手とだけ戦ってきたチームよりも、強豪国を破ってきたチームの方がポイントが高くなるというシステムだ。
例として、一試合だけ計算してみると、
ウルグアイ(1866pt)とポルトガル(1995pt)が試合を行った場合、レーティングの高いポルトガルが勝利する。ポルトガルが2回戦に進むにあたり、ウルグアイの1866ptの25%、つまり466ptを足すことになる。
つまり、
1995pt+466pt =2461pt
の数値で二回戦を戦うことになる。
詳しくは下の画像を見て欲しい。
1回戦(ベスト16)
これがグループステージを通過した各国を並べたトーナメント表。
見やすいように1回戦だけを拡大してみるが、基本的には数値の高い国が勝利をしていくのでこんな感じになった。
ということで、一回戦を突破した国は、
- ポルトガル
- フランス
- ブラジル
- イングランド
- スペイン
- アルゼンチン
- ドイツ
- ベルギー
の8か国だ。
普通に考えたらEloの上位8か国になるのは当たり前といえば当たり前なのだが・・・。実際もこれに近い感じになりそうではある。それにしてもコロンビアとベルギーの試合は接戦になりそうだ。では2回戦へ進んでみよう。
2回戦(ベスト8)
次のトーナメント表。
ブラジル VS イングランド
スペイン VS アルゼンチン
胸の躍るカードが続く。結果が見やすいように拡大してみるとこんな感じ。
勝ち残ったのは、
- ポルトガル
- ブラジル
- スペイン
- ドイツ
の4か国。・・・またしてもイロレーティングの上位チームがただ残っている気がする・・・。てかこのままやっていっても結局ランキング1位のブラジルが優勝するんじゃね?もうやめちゃおうかな。
なんにしても残った4チームで準決勝を戦ってみましょう。
準決勝(ベスト4)
トーナメント表はこんな感じ。
現実も同じような展開になるのであれば、ポルトガルとブラジルの試合はネイマールとロナウドのスター選手に注目が集まる試合。スペインとドイツの試合はバルセロナVSバイエルンといった、骨格となるチームの争いになりそうなので、好ゲームを予感させる。
とはいえ、これは数字上の戦いなので勝利国はこんな感じに。
- ブラジル
- ドイツ
下馬評どおりというか、レーティングどおりというか、面白みもくそもないというか、とにかくブラジルとドイツが決勝で戦うことになった、笑。
決勝(ブラジルvsドイツ)
ということで、レーティング通り過ぎて、もう半ば諦めモードではあるが決勝はこんな感じになっている。
・・・ハイハイ、どうせイロレーティングが1位のブラジルが優勝なんでしょう。まったくつまらないことに時間を使ったぜ・・・
なんて思っていたのだか・・・
これはまさか・・・
優勝はドイツ!
なんと!超僅差の1ptでドイツが優勝という結果になった!!
決勝トーナメントに入ってからの25%の積み重ねが勝利を呼び込んだようだ。自分で決めたルールで勝利が覆ったのは感慨深いものがある。
ということで、イロレーティングを使った優勝国予想は、
【ドイツ】
ということになった。
あれ?それじゃFIFAランキング通りじゃ・・・
まーいーや。長い記事を読んでいただいてありがとうございました~ワールドカップ楽しみだなぁ~
ただ、勝手に決めた25%ルールがなければやっぱりブラジルが優勝なんだよなぁ・・・