ラーメン屋で出された羽付き餃子を見て、中学生だった20年前の記憶が蘇ってきた。
それは校内一のアイドル下田エリー(以下エリー)のブルマーからハミ出していたパンツのヒラヒラに何となく似ているから。
またか。。。
決定機を逃した中学時代
私は中学時代エリーを軽視し過ぎた。当時ギルガメッシュナイトでしか欲情しなかった己の過去をこうして嘆くことが多々ある。若さ故の過ちというやつは時に残酷で、羽付き餃子やトラックの荷台からはみ出てる謎の布を目撃する度、エリーのブルマーからはみ出てたヒラヒラを思い出してしまう。
こんなことなら20年前のあの体育の授業、テニスコートを右に左に動く度にエリーのブルマーから飛び出していた羽付き餃子から目を逸らさなければよかった。
背が小さくて小学生のような体型をしていたことや、直視=エロいと思われるのが嫌という青い勘違いをしてしまったばかりに大きなチャンスを逃した過去を悔やむばかり。
だからこそ、2006年ドイツW杯のクロアチア戦で絶好機を外し「急にボールが来たから」と言い訳して批判された柳沢敦のことを責める権利は私にない。
二十歳の風
時が流れ20歳になり、電車の中でエリーを見かけた。ブルマー姿ではないけど、小麦色に焼けた肌、毛先を遊ばせたヘアスタイルで確実に大人への階段を登っていたエリーがそこにはいた。
手にはテニスラケットを持っていて「サークル?」と聞くと「そうそう。結構ハードなんだよね笑」と実に楽しそうだ。その後雑談しながら一緒に電車に乗って2駅を過ぎる頃、見知らぬ男性が乗車してエリーに声をかけてきた。
「よ!」
エリーの彼氏だ。。
ここで取るべき行動として、二人から離れて座る配慮が欲しいところだが、カップルトークが聞きたいという下衆い部分が勝ってしまい席を変えることはしなかった。そして左から【私:エリー:彼氏】という不思議な並びになる。
幼きエリーの羽付き餃子を見た者、羽付き餃子の張本人、羽付き餃子の存在は知らないが具を味わう者、こうして一つの餃子を巡る思いを乗せた電車はガタンゴトンと進んでいく。私がいたせいで二人も話し辛いのか、一言も会話がない静かな車内だったけど、同じ姿勢で電車の外をボーッと眺めるのも時に悪くないなと思った。いや、素敵だなと思った。
「じゃあまた!」
別れた後、彼はエリーのラケットをさり気なく持ち、二人は人混みの中へ消えていく。この後二人がテニスコートの上でもベッドの上でも壮絶なラリーを繰り広げることや、エリーがシャラポワ顔負けの声をだすことは容易に想像できたが嫉妬は一切ない。なぜなら、現在進行形のズコズコより、幼き頃のエリーの羽付き餃子を見れた私の方が幸せだったんだよなと思うから。
「ブルマーはオプションになります」
時を超えて現在、ブルマーは私達にとって日常ではなくなった。エリーも当時の彼氏と別れ、今では一人スカッシュの日々を送っていると聞く。
最後に
他人が見れば単なる体育のワンシーンでも、誰かにとっては大きな跡として残る。そんなことをエリーに身を持って教えられた。そして今、形こそ羽付き餃子だが、当時のブルマーフェスティバルを一人で思い返している。その思い出をオカズに一人スカッシュすることはないが、これからもハートに残り続けるだろう。
いつの日かエリーが壊れ、Facebookに羽付き餃子姿をアップした際は新機能の「超いいね!」を真っ先に押すつもり。それが当時の羽付き餃子を見てしまった者に課せられた運命だと思うから。