※この記事はネタバレばかりです。
土屋太鳳主演の映画『トリガール!』を見てきた。
もともとIWATANIスペシャル鳥人間コンテストのファンである僕は、鳥人間コンテストをモチーフにした中村航さんの原作『トリガール!』も読んでいたので、映画を見に行ったのもとても自然な流れなのである。
中村航『トリガール!』感想文:叫びながら告白してほしいんだよね、鳥人間コンテストのパイロットはさ~ – Forest Lover
原作では鳥人間コンテストにかける大学生達の熱い想いと、なんといっても大会当日の空を飛んでいる場面での告白のシーンが最高で、そのシーンを見るためだけに映画を見たと言っても過言ではないのだ。
映画の内容も原作を強く反映させていてとても好印象だった。
ずっと口喧嘩ばかりしていたゆきな(土屋太鳳)と坂場先輩(間宮祥太朗)が、大会本番の飛行中に気合と共に大声で告白をするシーンが全国放送で流れ、それをゆきなが見事にフってしまうという大爆笑の流れが再現されていて、その部分に関しては非常に満足を得ることができた。
しかし、である。
どうしても原作のファン、そして鳥人間コンテストのファンとして気になってしまう点があり、その部分に目をつぶって映画を誉めるのはスッキリしない。残尿感に似ている感覚というか、可愛いセクシー女優なのにヌキどころのないビデオを見ているようなやるせなさを覚えてしまう。
そこで今回はそんな『トリガール』の納得がいかない部分にフォーカスしていきたいと思う。とはいえまずは基本情報から。
映画基本情報
イントロダクション
人気作家・中村航が、琵琶湖で行われる年に1度のコンテストに全てを懸ける若者達の、知られざる汗と涙と努力の日々を軽やかなタッチで描いた、小説「トリガール!」(角川文庫)。
そんな青春部活小説を「ヒロイン失格」の英勉監督のもと、主演の土屋太鳳が“毒舌”を武器に新境地に挑戦。クライマックスでは声が出なくなるまで叫び続けた。「帝一の國」で注目の間宮祥太朗は、強面から子犬の様な一面という振り幅を演じきり、撮影前には自転車のトレーニングを重ねた。ゆきなが一目惚れする先輩を演じた高杉真宙は、クライマックスでの感情の爆発に向けて演技を積み重ねた。サークルを思いやりながら秘めた思いを切なく表現した池田エライザ。変えが効かない演技を披露したナダル。英監督の演出を大きく広げたキャラクターを作り上げた矢本悠馬。
英監督の演出を大きく広げたキャラクターを作り上げた矢本悠馬。真夏に撮影が敢行された現場は物語とリンクし、土屋太鳳が 「英組で過ごしたあの夏は、私にとっても青春だった」と語るように、青春をそのまま映し出す作品となった。
そんな本作の主題歌は、ガールズバンド“ねごと”が、スピッツの名曲「空も飛べるはず」をカバー!この夏、最高の青春エンタテインメントが空を舞う!!(公式サイトより)
ストーリー
流されっぱなしで生きてきた”鳥山ゆきな”。大学入学早々、一目惚れした圭先輩に誘われるまま、フラフラと人力飛行サークル<Team Birdman Trial>のパイロット班に加入する。100人近い部員たちが、琵琶湖で開催される夏の大会に向けて準備を進める中、トレーニングを積む”ゆきな”の前に、「狂犬」と呼ばれる坂場先輩が現れ、圧倒的な力を見せつけて正パイロットの座を奪ってしまう。やる気を失ったゆきなだが、渋々参加したテストフライトで圭先輩が大怪我を負う事故が起きる。期待は損傷、パイロットを失い、ショックを受ける<TBT>メンバー。そんな中、ゆきなは坂場が抱えた心の傷とサークルの悲願を知る。自分がどうしたらいいかを悩む中、「誰かが漕がなきゃ飛ばない」という親友の和美の言葉に背中を押され、仲間たちの想いを繋ぐため、坂場先輩と二人で飛ぶことを決意する。
ゆきなと坂場は、全ての想いを乗せて琵琶湖の空にキセキを描けるのか―――。(公式サイトより)
キャスト
土屋太鳳・・・鳥山ゆきな
イメージ完璧、土屋太鳳。やはりパッと見の顔のデカさは気になるが、キャラクターもゆきなにピッタリだし、体つきが運動をやっている人間のそれなのでリアリティーもあった。あと、何よりも人間として魅力に溢れているので大好き。
間宮祥太朗・・・坂場大志
坂場先輩はもっとブタじゃないと・・・一皮むけたらヘタレな感じもそこまで出てなかったし、何よりも間宮では格好良すぎるよなぁ・・・でもキレたら怖い感じは雰囲気出てた。
クローズ~~~って感じ。
高杉真宙・・・高橋圭
スゲー爽やかで求心力のある役だったのだけれど、なんというか、その。
この公式写真だと思わないけど、ハマカーンの神田にそっくりって思っちゃったらもうずっと自宅にエレベーターあったりとか、スクラブを毎日使ってるんだろうなぁとか思ってもはや集中できなかった。
池田エライザ・・・島村和美
超かわいい。
矢本悠馬・・・古沢
この顔ぶれの中では癖のある演技をしたとしても中々印象に残らないものですね。
丁寧にキレたり丁寧に毒舌だったりとキャラはあったのだが、印象がとにかく薄い。
前原滉・・・横原
確実に南海キャンディーズの山里亮太をイメージしていると思った。てかはじめは本人かと思った。でも髪の質がこちらのほうがヌメヌメしてそうに見えた。つまり役柄にははまっていた。
佐生雪・・・メガネ女子
謎のメガネ女子。物語のキーパーソンだったりするのだが、終わりの終わりまで目立たない。でもよくみるととても可愛らしい子ですよね。
羽鳥慎一・・・アナウンサー
映画の場面で涙を流していたのだが・・・あれは演技なのか、番組で使われた映像の一部なのかわからなかった。
ナダル・・・ぺラ夫
ああ、本当にナダルじゃなくてもいいと思う。
轟二郎・・・轟二郎似の住職
なんか、この轟二郎似の住職のところだけ妙にシュールだった。この独特のシュールさって何かで味わったことがあるなと思い出してみたら、宮藤官九郎の脚本で感じるシュールな面白さ(特に木更津キャッツアイ)の劣化版って感じだった。でも誰も悪くない。
ひこにゃん・・・ひこにゃん
特に言うべきことはない
①ナダルいらない
一つ目は超シンプル。単純にコロコロチキチキペッパーズのナダルが必要ないなと。
流行りの芸人が映画に登場すると、映画の価値が下がる印象があるのだよね。数年後に見返したときに「ああ、当時はこいつが流行っていたのね」と、妙に冷めるので本当に必要なかったと思う。あと、前半の部分でのナダルの声が聞き取りづらくてイライラした。
②坂場はデブであれ
酒場先輩のガタイがデブじゃない。これは結構大きな問題。
原作ではほぼデブと言ってもいい様なギリギリ体型で、良く言えばゴリラ(ガタイがいいという意味で)な体型だからこそ坂場先輩。僕のイメージではザンギエフとエドモンド本田の中間だったのだが、間宮ではかっこよすぎるので違和感を感じてしまう。
また「飛べないデブはただのデブ」というあの名言も飛び出さなかったのもツラい。もっともこれはジブリとの敵にNGが出ている可能性があるが・・・。もちろん、その役どころはイケメン俳優にしなければならないのもわかるんだけどねぇ~
③飛行機が壊れるシーンがない
一番、納得がいかなかったのは飛行機が壊れるシーンがないこと。
空を飛んでいるシーンはおそらくCGを使っていると思うが、墜落して飛行機が壊れるシーンがなかったことは、心の底から残念に思った。
鳥人間コンテストは長く飛ぶことはもちろん、1年間丹精込めて作り上げてきた自分たちの飛行機が壊れることに対する哀愁も含めて鳥人間コンテストの魅力だと思う。その魅力が表現されていなかった事に関してはとても残念に思う。長い期間をかけて作りあげ、ずっと大切にしてきたものが、その瞬間に壊れることに対してある種のカタルシスを感じるのも鳥人間なのではないだろうか?
④濡れてないパイロット
飛行機が墜落して壊れた描写がないのと同様に、琵琶湖の湖に落ちたパイロットの二人が濡れてないのも大きな違和感。墜落した後に船に乗ってプラットフォームまで戻ってくるシーンで、疲れ切ったゆきなと坂場先輩の絵が映るのだが・・・
土屋太鳳と間宮が全然濡れてないの。
いや、もっともっとビッチョビチョに土屋太鳳と間宮が濡れててくれないとおかしいでしょ!!!
時には パイロットは琵琶湖の水に濡れてびしょびしょになっている状態のはずなのに 映画の中ではさっぱり爽やか何も濡れていない状態。おいおいそりゃねーだろうと思った。メイクの関係や寒さ暑さの関係など何か理由があったのかもしれないが、全力でこいで全力で墜落した人間が、ずぶ濡れになっている姿に人を感動するのではないだろうか。
⑤桟橋くらいある
最後にもう一点。パイロットたちが仲間の元に駆け寄る時に、琵琶湖の水の中からざぶざぶ歩いて出てきたが、そんな帰還の仕方しないでしょうよ!
実際は仮設桟橋に船が到着して、歩いて仲間のところに行けるのに、あえてさわやか感を出している感じに、現実と違いを強く感じて少し冷めてしまった。もちろんこの辺りはもともと鳥人間コンテストのファンだからこそ感じるだけの違和感で一般的にはほとんど違和感を感じる様な部分ではないのかもしれない。
最後に
色々と問題点のようなことを書き連ねてしまったものの、実際この映画はとても爽やかで、最高に面白い映画だった。僕は原作を読んでいたぶん、映画に多くを求めすぎでしまったことが納得がいかなかった原因だと思う。
でも、映画の空を飛ぶ場面の爽快さや、いがみ合い喧嘩しつつも二人が爽やかにペダルをこいでいく姿は最高で、泣いて笑える最高の映画であることに関しては疑いようもないので是非観てみて欲しい。
ただ、
結局のところ、この映画の最大の魅力はなにかという話になれば・・・
池田エライザの可愛さしかないだろう。大正義すぎるエライザ。