プロ野球が観客入りで佳境に入りMLBもまもなく開幕。野球ファンは観戦に忙しい毎日が訪れそうですが、TVなどの実況中継を聞いていると最近はいろいろな球種の名前が飛び交っています。
ストレート、カーブなど昔なじみの球種以外に、近頃よく聞こえてくるのが「ツーシーム」や「フォーシーム」。そもそもツーシームとはどんな球?フォーシームとの違いは何なのでしょうか。今回は野球観戦に欠かせないこの二つのボールの基本をまとめてみました。
ツーシームとはどんな球?
野球の投手の球種といえば、オールドファンには「直球」「カーブ」「シュート」「フォーク」くらいがお馴染みでしたが、最近の中継を聞いているとすっかり様変わり。特に最近席巻している球種の一つが「ツーシーム」です。
プロ野球選手やメジャーリーガーはもちろん、高校球児の間でも今や一般的になっているツーシーム。ではツーシームとはどんな球なのでしょうか。
Wikipediaによると、そもそも投手の球は「速球系」と「変化球系」に分けられるそうです。そのうち「○○シーム」と呼ばれる球種は速球のカテゴリー。そして多くのプロ選手が丁寧に解説しているYouTubeなどの動画によれば、ツーシームとは「ボールが一回転する間に球の縫い目 (seam) が2回 (two) 通過する球種」です。
元来MLBなどで使われていた英語の「ツーシーム・ファスト・ボール」(縫い目2回の速球)がさらに略され「ツーシーム」となったようです。
↓山崎康晃によるツーシーム解説とスーパースロー動画
ではもう一つの「フォーシーム」とはどんな球なのでしょうか。次項で違いを見てみましょう。
ツーシームとフォーシームとの違い
ツーシームとは「ボールの縫い目が2回通過する」球だと分かりましたが、ではフォーシームとはどんな球なのか。先にご紹介した侍JAPANの〝守護神〟山崎投手(DeNA)の動画によれば「ボールが1回転する間に縫い目 (seam) の線が4回 (four) 通過する球」とのことです。
英語では「フォーシーム・ファスト・ボール」。これは元来日本では「ストレート(直球、真っ直ぐ)」といわれる最も基本的なボールと同じものです。
これらの「○○シーム」というボールの大きな違いは握り方だけ。カーブなどの変化球のように手首をひねったりすることなく、キャッチボールのように真っ直ぐそのまま球を投げる動作はどれも同じです。具体的には次のような握り方の違いがあるそうです。
■ツーシームの握り方
硬式球の場合、2本の赤い縫い目が最も狭く接近した部分で、人さし指と中指を縫い目の上に載せ、親指は球の下側に添える握り方が一般的。バックスピンを掛けながら投げると、一回転の間に縫い目が2回通過。フォーシームより回転数が少なく、打者の手元で沈んだり左右に曲がり落ちる効果が生まれます。
投手によっては、落ち方のキレを出したり軌道を安定させるため「縫い目には指をかけず指をそろえる」「1本だけ指をかける」「やや斜めに握る」などさまざまなバリエーションがあるようです。
■フォーシームの握り方
同じく硬式球では人差し指と中指を並べ、ボールにある赤い縫い目に交差させて握るのが通例。つまりツーシームの握りを90度傾けた形となります。リリースの際にやはりバックスピンをかけて投げることで揚力が生じ、ボールが引力で落下せず真っ直ぐな軌道で進むことから、強く速い球を投げられるとされます。
↓前田健太のフォーシーム講座
ツーシームの画像
野球に関する知識が全然ない方でも、握り方の違いが一発で分かる画像を、探してみました。
▼ツーシーム
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▼フォーシーム
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静止画だと、違いが分かりやすいです!
ツーシームは、人差し指と中指が球の縫い目にかかってますよね!
ちょっとした変化球を投げるときに、ツーシームが役立つそうです。
一方のフォーシームは、指が4本、縫い目にかかってます!
プロ野球でよく聞く、ストレートといわれるボールが、フォーシームだそうです!
ツーシームが得意なピッチャーは?
「どんな球?」とファンでも関心ある野球の球種。ツーシームとはフォーシームと握り方が違うことや、軌道が異なることが分かりました。特にツーシームは、直球と同じ腕の振りや投げ方で球速も同程度ながら、細かく変化するため打者が見極めにくく、ゴロを打たせやすいなどの理由から、1980年代からMLBで広く定着。その後現在に至るまでNPBでも多くの投手が得意球や決め球の一つとしています。
代表的な使い手としては、メジャーではグレッグ・マダックス、フェリックス・ヘルナンデス投手らが有名。日本人ではメジャーリーガーでもある黒田博樹、ダルビッシュ有、田中将大投手や、プロ野球では山崎康晃投手らが得意にしているといわれます。
↓黒田博樹のツーシーム講座
ツーシームに関するネットの反応
- 利き手方向に早く落ちる球全部ツーシーム呼ばわりしてる
- →ツーシーム ↘スローカーブ 早いカーブ ↓チェンジアップ パーム 縦スラ ↙サークルチェンジ 決め球何が良いだろうか
- スプリットをツーシームと言い張る亜細亜大
- 西武の平良って、タイプ違うけどヤンキースのリベラみたいなわかっててツーシームなのかカットなのか、すっげえ打ちにくそう
- ツーシーム、ナックルカーブ、スプリット、サークルチェンジ…このうち3つを投げられて、2つを決め球で使える外国人投手に死角はない気がする
最後のツーシーム良かったな
カットがどんな感じか見たかったけど— えま (@carp_nishikawae) May 8, 2022
ツーシームのイメージ強いけどこのストレートあってこそだからね
— ハマの東屋 (@azumayao) May 10, 2022
ストレートよりツーシームの方が速い pic.twitter.com/xznLZWnaB9
— Ξ Ryo Ξ G党 今季もぜらす推し (@Criticalhit1125) May 12, 2022
真っ直ぐで押せる康晃は見てて嬉しくなるわ
やっぱツーシーム生かすのもストレートだよな— サンダル (@QYro5wReVwiEBpo) May 10, 2022
ツーシーム多いな
— にらたま (@ni5512056) May 14, 2022
大山3-0から振りに来る場面よくあるしそれ考えて外にツーシーム投げて内野ゴロの終わらせ方も素晴らしい
— えま (@carp_nishikawae) May 10, 2022
今日ツーシームあんまり構えたところ来てないんよな、先頭への全球ツーシームも余裕あるうちに使えるように修正しようという意図があったりして
青柳の軸となる球種やからどこかで使えるようにはしたいし— しんたろう (@shin72826) May 14, 2022
12の3でストレート来るわけないで…ツーシームに決まっとるよ
— しんたろう (@shin72826) May 10, 2022
対桑原にツーシーム続けすぎてやられるやつ去年もなかったっけ梅野
確かにそんな強い球種ではないが、頭のいい攻め方じゃなさすぎる。さすがに合ってくるとか甘くなるとかはあんまり感じないのかね— いーづか。 (@B_Methods) May 14, 2022
出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 最近野球でよく聞くツーシーム・フォーシームとは速球系球種の一つ
- ツーシームは縫い目に指二本を添えて握り、打者の手元でわずかに落下
- MLBが発祥。日本人投手では黒田、ダルビッシュ、山崎らが得意な球
「○○シーム」のように同じ速球系のボールを区別するのはMLBが由来だといわれます。日本では伝統的に、糸を引くような真っ直ぐな力あるボールを軸として、これに様々な変化球を交えて打者を抑えるのが基本とされてきました。
一方、米国では「直球と変化球」という区別ではなく、球速を変えたり、打者の手元で変化させることで「打ちにくいボール」を重視する傾向があります。これが球種を表す言葉の差となっているようで、MLBでは「ストレート」という呼び方はなく「ファストボール」か「オフスピードボール」かという分類が基準。
日本球界もこうした流れを受けているようですが、逆に「フライボール革命」が進む近年は「打者の胸元の強い真っ直ぐ」が長打防止に有効という分析もあり、MLBでも日本流のきれいなフォーシームが見直されているともいわれます。互いに影響し合いながら野球は進化を続けているようです。
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