お化けフォークとは？なぜ千賀の球はスペシャルなのか

右前腕の張りなどで出遅れていたNPBソフトバンクホークスのエース千賀滉大投手が、7日の楽天戦で今季初登板を果たし勝利を挙げました。

巨人の菅野投手と並び、現在の日本球界最高レベルの本格派右腕といわれる千賀投手。その武器は、千賀投手の代名詞でもある「お化けフォーク」です。お化けフォークとは？なぜ「お化け」と呼ばれるのでしょうか。

お化けフォークとは？

Wikipediaなどによると、千賀滉大投手は愛知県出身の27歳。育成選手出身から日本一球団のエースに上り詰め、日本シリーズの開幕投手を務めた史上初の育成出身選手となりました。育成出身選手最多の通算勝利数記録最多奪三振タイトルを持つほか、NPBシーズン最高奪三振率記録保持者でもあります。

その千賀投手の最大の武器とされるのが、160km超の剛速球と「お化けフォーク」です。剛速球は分かりますが、もう一つの「お化けフォーク」とは何でしょうか？なぜ「お化け」と言われるのでしょう。

まずフォークとは「フォークボール」のことで、投げたボールが打者の近くで落下する変化球です。人差し指と中指の間にボールを深く挟み、手首の関節を固定しボールを離す投げ方が一般的といわれ、この指で挟む握り方が「フォークでボールを刺す」ような形のため、こう名付けられたそうです。

ストレートと同じフォームや腕の振りで投げられ、打者の直前で落ちるまでは直球と変わらないまっすぐな軌道で飛んでくることから、打者が変化球と見分けにくく、登場した当初はまさに「消える魔球」とも呼ばれたほどです。

千賀投手のフォークもこのようにストレートと同じような速さ、軌道で進みながら、打者が打とうとした瞬間に真下にストンと落ちる変化が特徴。打者にすれば「直球が来た！」と判断してバットを思い切り振ると、突然消えてしまい空振りに。その急激な落差でボールがあたかも消えたように見えることから、いつしかメディアなどで「お化けのように消える、お化けフォーク」と名付けられたようです。

なぜ千賀のフォークはお化けなのか？

お化けフォークとは、球が突然お化けのように消えることから命名されたことが分かりましたが、フォークボールは今や多くの高校球児も習得している代表的な変化球の一つでもあります。千賀投手の球だけなぜ取り立ててそう呼ばれるのでしょうか。

野球解説者やメディアによると、フォークボールなどの落ちる変化球は「力のあるストレート」があってこそ威力を発揮するのだそうです。確かに直球の速度が遅ければ、たとえ時々フォークを投げても打者は手前で見極めることができ、バットを振ることはありません。

キレのある剛速球を投げれば、打者は判断する間もなく、振り遅れないよう必死に打とうとしますので、ほぼ同じ球速・軌道のフォークではとても変化に対応できないというわけです。

千賀投手の球種の柱は160km超の剛速球。これで2ストライクに追い込むと最後は「お化けフォーク」で空振り三振を奪うのがベストの攻め方です。フォークはやや球速が落ちるとはいえ140km前後。昨季のフォーク被打率が.122と全投手トップクラスの低さだったことからも、そのお化けぶりが分かります。

お化けフォークに関するネットの反応

出典：Twitter

まとめ

今回の記事をまとめると以下の通りです。

「お化けフォーク」で並み居る強打者をなぎ倒してきた千賀投手ですが、このところ異変が。ケガの影響もあるのか、7日の今季初先発試合では肝心のフォークがまったく落ちず、「普通の緩い直球」になる場面が多くみられました。ただ他の変化球を駆使してなんとか切り抜け、ゲームをつくって勝ち星を挙げるところはエースの貫禄。

ソフトバンクホークスは「優勝候補」「日本一四連覇へ」などの前評判が嘘のように投打に精彩がなく、ここまで借金生活から抜けられず4位（10日現在）の低迷ぶり。千賀投手一人の力だけで苦境を脱せるわけではありませんが、ファンは「エースの頑張り」を起爆剤に、少しでも早い「トンネル脱出」を願っていることでしょう。