メジャーリーグ終盤戦、注目の個人タイトルで、8月24日現在もエンゼルスの大谷翔平選手は本塁打30球団トップを維持しています。
打点との2冠王も期待大の「打者大谷」ですが、打撃面はもちろん、実はシーズン後半から「投手大谷」の評価も急上昇しています。なぜここにきて大谷投手の評価が高まっているのか。成績の比較から探ってみました。(出典:Wikipedia、MLB公式など)
大谷翔平の投手の評価・成績が急上昇
春季キャンプからすこぶる絶好調で、シーズンも8月下旬に至るまで大きな波なくハイパフォーマンスを続けている「打者・大谷翔平」。
このままゴールできれば、日本人初の本塁打王、さらに打点王との2冠も可能性があります。胸躍る9月以降の終盤戦ですが、今大谷翔平選手で注目されているのはむしろ「急上昇する投手の評価」かもしれません。
おおまかに今年の大谷翔平投手の成績推移を月別に見てみましょう。
■大谷の月別投手成績
(注:8月は20日現在。数字の「回」は投球イニング数、「率」は防御率、「K9」は9回換算奪三振数、「BB9」は9回換算与四球数)
・4月 3試1勝0敗 13.2回 率3.29 K9/15.15 BB9/8.56
・5月 4試0勝1敗 22.2回 率2.38 K9/10.72 BB9/5.16
・6月 5試2勝0敗 23.2回 率4.94 K9/12.55 BB9/3.42
・7月 3試2勝0敗 20.0回 率1.35 K9/7.65 BB9/0.45
・8月 3試3勝0敗 20.0回 率1.80 K9/9.00 BB9/1.35
6月以降ぐっとよくなっていることが分かります。ではなぜここにきて大谷翔平投手の成績や評価がうなぎ登りなのか、次項でその理由を探ってみます。
大谷翔平はなぜ投手評価も急に上がったか?
月別成績推移を見ると、7・8月にかけて安定度が増している大谷翔平投手。今季を振り返ると、開幕当初の「投手大谷」は昨年までと同様、剛速球とスプリットで打者を奪三振の山を築く一方、制球が今一で四球などで走者を溜め、綱渡りになるシーンも目立ちました。
最悪だったのが6月30日のヤンキース戦。立ち上がりから2被安打4四球と絶不調で、キャリア最短の0.2回自責点7と〝大炎上〟し、前途多難かと思わせました。
制球力が格段に向上
月別成績や中継映像を見ると、その後明らかに投球スタイルが変わったようです。4月は9回換算8個以上と非常に四球が多かったのが、7月は3試合20回でわずか1個、8月も3試合20回で3個だけ。制球力が急上昇しています。
奪三振率は後半徐々に減っていますが、これは、いわゆる「剛速球+フォーク」で打者をねじ伏せていたスタイルから、変化球主体で打者の目先を変え「打たせてとる」形に進化した結果といえそうです。
↓開幕当初の大谷ピッチング
効率化で投球数も減少
そうしたスタイル変化の結果、イニング当たりの投球数も後半減ってきています。月次で見てみましょう。
・4月 18.07球(13.2回247球)
・5月 14.87球(22.2回337球)
・6月 16.31球(23.2回386球)
・7月 14.20球(20.0回284球)
・8月 13.75球(20.0回275球)
プロの先発投手は1イニング15球以内で終え、7回を100球程度でこなすのが理想。これに対し最近の大谷投手は8月18日のタイガース戦で8回90球で勝ち投手に。1イニング11.25球で、8月トータルでは13球台。これは円熟期にあるエース級先発投手の数字だといえます。
↓8・18タイガース戦
1年目・他投手との比較
高評価な今季「投手大谷翔平」を、途中まで好調だった彼自身の1年目と、イニング数がほぼ同じ前田健太投手(ツインズ)とで比較してみました。(数字のQSはクォリティスタート数、P/IPは1イニング当たり球数)
■大谷翔平(2021=8月24日まで)
・18試合8勝1敗 防御率2.79 WHIP 1.06 BB9 3.51 QS 11 P/IP 15.29
■大谷翔平(2018)
・10試合4勝2敗 防御率3.31 WHIP 1.16 BB9 3.83 QS 5 P/IP 16.51
■前田健太(2021=8月24日まで)
・21試合6勝5敗 防御率4.66 WHIP 1.30 BB9 2.71 QS 5 P/IP 16.22
大谷翔平投手評価の海外の反応まとめ
- もはやMVPレースは「大谷と翔平」で争ってるようなもんだな
- 大谷にはMVPじゃなく「MVPE」を授与すべきだ。「Most Valuable Player Ever(史上最高選手)」
- 今シーズン終わったらMLBは「大谷翔平賞」をつくった方がよさそう
- 今日面白い記事読んだ。「我々の世代はベイブルースの伝説を聞いて育った。1世紀後、私たちの孫は大谷翔平の伝説を聞いて育つだろう」
- 翔平投手「ホームラン打ってよ」大谷打者「OK。じゃあ打つわ」
出典:YouTube
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 打撃好調続く大谷翔平だが、実はシーズン後半投手成績も向上し高評価
- 「剛腕型」から「変化球主体の軟投型」へ。制球力UPし試合球数も減る
- ヤンキース戦炎上を機に改善か。疲れへの対応で「省エネ投球」奏功
大谷投手の「後半の良い変化」はプロも指摘しています。元レッドソックスの岡島氏は「変化球の制球が良くなった。スライダー、カットボールがすごくまとまっている。疲れに対応した省エネ投球もできている」と、大谷投手の対応力、改善力の凄さに感服しています。
投打の好成績で、MLBで重視される総合指標WARでは断トツを独走する大谷選手。サイヤング賞の得票獲得やMVPの栄誉も現実に近づいてきたようです。