10月の日本テレビの新土曜ドラマは「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載中の『二月の勝者―絶対合格の教室―』です。
実際中学受験を頑張っている家庭には注目を集め話題になっている『二月の勝者』ですが
名言が多いことで評価の高い漫画でもあります。
そしてその言葉はいろんな世代の心に残るものと言われています。
ここでは
二月の勝者の名言5選!として個人的に刺さった名言と解説をしていきたいと思います。
二月の勝者は名言豊富
名言が多いと評判の『二月の勝者』ですが
簡単に登場人物の紹介とあらすじを説明します。
二月の勝者のあらすじ
東京・吉祥寺にある中学受験塾「桜花ゼミナール吉祥寺校」の校長として現れた黒木蔵人(演:柳楽優弥)。
黒木は業界トップの合格実績を誇るフェニックス(ドラマではルトワック)を辞め、業績不振の中堅塾である「桜花ゼミナール」をテコ入れするために来たと言う。
新6年生に「絶対に全員を第一志望に合格させる」と宣言する黒木。
鋭い洞察力と辛辣な発言、トリッキーな黒木の行動に
周囲は圧倒されながらも次第に心を掴まれていき…。
黒木の元部下の灰谷純をNEWSの加藤シゲアキさんが演じます。
二月の勝者が人気の理由
「二月の勝者」が人気の理由はいったいなぜなのでしょう。
主人公である黒木蔵人のミステリアスな風貌と冷徹に見える無表情な目の奥にある何か。
感情を無視したような発言が持つ本当の意味とは…。
本編の中にある名言について考えていくとその理由に近づけるのでは?と思います。
二月の勝者の名言5選
個人的に心にズシッと来た黒木の台詞を5つに絞ってあげてみました。
ドラマのネタバレにならない程度の解説のつもりですが、気になる人はオンエア後に読んでもらえたら と思います。
1.合格のために必要なのは父親の「経済力」そして母親の「狂気」
何と言ってもインパクト強すぎ、刺激的すぎる発言ですがこれぞ真意です。
受験塾に通うための月々の月謝だけでなく模試や補講、教材費、合宿費などを合計すると平均1年間に塾に使う費用:150万円。
その費用を捻出できるだけの経済力が必要なのは当然ですが
母親の狂気ともいえる気迫に満ちた強い信念が子どもに力を与えるのでしょう。
『二月の勝者』のなかではよくお金の話が出てきます。
”実際の「ATM」である父親の心を揺さぶらないとお金の引き出しはできませんから”や
”中学受験は課金ゲームです”という黒木の言葉は
栗木=子どもビジネスに群がる人 と映るかもしれません。
ですが実際の受験(中学受験に限らず)を経験した人なら誰もがその言葉には納得できる部分があると思います。
2.「受験塾(ここ)」は「子供の将来(それ)」を売る場所です
桜花ゼミナールの研修生・佐倉は、算数の問題を質問しに来た木下君の受験の様子が気になっていました。
木下君の第一志望の受験3回目の日はあいにくの大雪でした。
試験会場に早く着いた佐倉は頭に雪をかぶったフェニックス校の腕章をつけた男と出会います。
それが後に桜花ゼミナール吉祥寺校の校長となる黒木蔵人と佐倉の出会いでした。
黒木は佐倉に”受験塾は子供の将来を売る場所”だと言い
”オープンテストは「新規顧客」獲得のチャンスです。金脈を獲りに行きますよ”
”塾講師は教育者ではなくサービス業です”といいます。
言葉にするとセンセーショナルにも思えますが
学校ではない受験塾としての立場や目的から考えると
あながち間違っていないと思うのです。
そしてそのくらいドライでないと難しい職業なのかなとも感じました。
3.他に好きなことがある子ほど受験をやめなくていいんですよ。
偏差値40の息子にサッカーを続けさせたいと話す父親に対して黒木が言った言葉です。
黒木はサッカーでプロを目指す確率と中学受験で難関校に合格できる確率では、格段に受験の方が結果につながると話します。
ですが中学受験というと「遊び盛りの子供に受験をさせるなんてかわいそう」という父親のような意見が多いのが現状です。
しかしながら少子化の影響からか学校を取り巻く状況は変わってきています。
中高一貫の学校が増えてきて高校からの受験は難しくなっているところもあります。
中高一貫であれば途中でサッカーを諦める必要もなく6年間没頭することが出来るのも中学受験の強みです。
初めての模試で上手く解けなかった子の答案を見て黒木は
「解こうと粘ったのがよくわかる答案です。
長い期間取り組んできたものがあるのでしょう。
粘って頑張った経験のある子は受験でも強いですよ」といいました。
結果だけでなくプロセスも努力も認めてくれる
そういう言葉が人の心に届くのでしょう。
また別の子の志望校に対して”男子校こそ、異性の目を気にせず好きなことを中学から思いっきりやることができます”と黒木はアドバイスします。
ネームバリューで志望校を選ぶのではなく
その子にとってどの場所が居心地よく伸び伸びと
その子らしく過ごせる場所かどうかが大切だと言っているように思います。
4.彼を「船」に乗せたのはあなた方だ。なのに燃料が尽きたからと言って船から彼を降ろすのですか?夢を見させたのは誰ですか?
夫のパワハラ・モラハラから子供を守るため
離婚を決意した母親に対して黒木が言った言葉です。
私個人は一番心に刺さりました。
なぜその志望校を選んだのか、その中学に入学後どうするつもりだったのか
子どもに”どんな人間になってほしいのか”を改めて母親に問う黒木。
難関校を目指すことができるほど実力をつけ、目指す「港」が霞んで見えそうなところまできたのに
夢を見させた者の責務はどう考えているのかと黒木は母親に問い詰めます。
そのうえで受験をやめなくていい方法を母親にプレゼンする黒木。
吉祥寺校1番の実力を持つ子を退塾させたくないからではなく、
子ども自身のことを考えていくつかプランを提示した黒木ですが
この先は黒木の過去や塾講師という職業についての葛藤が描かれているため割愛させてもらいます。
ドラマの中でもこの部分をきちんと描いてもらえることを楽しみにしています。
5.「女優」になってください。「いつもニコニコ明るい親」を演じてください。
受験がだんだん近づいてくると子どもだけでなく大人も精神的に不安定になります。
模試の結果に喜んだり悩んだり焦ったり空回ったり。
そんな子どもの姿に親も心配する気持ちから余計なことを言ってしまいがちです。
黒木は実に適切で無駄のないアドバイスを保護者説明会で話します。
”アカデミー賞ばりの名演技を!思い切って「他人」を演じましょう。
親戚の子を預かっている、もしくは子供のマネージャー。そのくらいの距離感をもって接してください。”
子どものために親がしなくてはならないことは膨大にあります。
受験に向けての事務的な作業だけでなく家族の健康管理に気を配る必要があります。
万全の体調を期しつつ出願を滞りなく済ませ本番を迎えなくてはいけません。
子どものメンタルケアに気を配り受験当日、最高のパフォーマンスができるように。
我慢できないこともあるかもしれませんが、趣味などで上手くガス抜きをして
できるだけ子どものマネジメントに時間を充ててと黒木は話します。
”自分のご機嫌を取れるのは大人の特権です!”と話す黒木の言うように
確かに大人は自分へのご褒美としてお金を使って飲み食いしたり出掛けたりすることで
ストレスの発散をし自分の機嫌をコントロールすることができます。
子どもに対しては「明るくニコニコした親」を演じ、安定した精神状態を保つことが親としてできる最大の努力だと
そして自分を女優と設定することでこの難局を乗り切ることができるのですね。
まとめ
改めて「二月の勝者」で取り上げた名言を読み返すと
私たちはいかに固定観念に囚われているのかを感じます。
子どもが外で思いっきり遊べないのはかわいそう
小さなころから塾に行って勉強させられているのはかわいそう
男の子や女の子がみんな仲良く遊べるのは小さい頃だけ
それは私たちが勝手に思っている過去に囚われた発想で
これからの時代や変化していく情勢のなかで生きていく子供たちにとって
何が良いのか多くの情報を得て選択していく自由と
状況を受け入れ支え認めてあげる社会でありたいなと感じました。
黒木蔵人というミステリアスな人物が放つ暴言とも思える言葉の裏側にある真意をぜひ汲み取ってください。
表面上の言葉だけで判断しないで、その言葉が出てきた背景を本当に言いたかったことを考えて
読解力・理解力・想像力を持って『二月の勝者』のドラマを見たいと思います。