東京五輪の近代五種代表2名が発表され、エジプトでは、近代五種世界選手権大会が行われました。
近代五種とは?過酷な競技と聞くけど、トライアスロンと大きな違いはどこある?
五輪代表日本選手ってどのくらいすごいの?についても見ていきましょう。
近代五種とは?トライアスロンとの違い
近代五種とはどのような競技で、トライアスロンとの違いはどこにあるの?という素朴な疑問を持ちました。
見てゆきましょう。
近代五種とは
近代五種とは、1人で射撃・ランニング(現在はレーザーラン・フェンシングとして1つ)・フェンシング・水泳・馬術の5種目をこなして争う複合競技のことです。
全く異質な5種類の競技に挑戦し万能性を競う複合競技のため、「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれています。
以前は、5種類を5日で行っていましたが、1996年アトランタ大会から1日で行うようになると、選手が心身ともに限界まで追い込まれる競技となりました。
フェンシングランキングラウンド(エペ)
相手の全身に対して突きを繰り出す「エペ」で戦います。1分間1本勝負で総当たり戦を行い、勝率によって得点が与えられます。
選手は1試合ごとの瞬発力の他、途切れない集中力が必要とされます。
水泳(200m自由形)
200mを泳ぐのに要したタイムによって得点が与えられます。
水中でのパワーと持久力が必要とされます。
フェンシングボーナスラウンド(エペ)
フェンシングランキングラウンドの下位選手から順に30秒1本勝負でスピード感あふれる試合進行が行われます。ランキングラウンドとボーナスラウンドの合計点がフェンシングの得点となります。
馬術(障害飛越)
貸与された馬を操り、制限時間内に競技アリーナに設置された様々な色や形の障害物を飛越しながらコースを周ります。
初めて対面する馬と短時間で信頼関係を築きながら障害と対峙しなければなりません。
そのためこの種目では、馬との繊細なアプローチによるコミュニケーションを図ったうえで、確固たる信念と粘り強さや柔軟さや、焦りを表に出さず冷静さを保つ精神力など複雑な能力が必要とされます。この種目のみ、得点は減点方式で計算されます。
レーザーラン(射撃5的+800m走を4回)
射撃とランニングを交互に4回行い、着順を競います。
射撃はレーザーピストルを使い、10m離れた場所から直径約6cmの標的にレーザーを5回命中させるのですが、5回命中するまでは50秒の制限時間の間、撃ち続けなければなりません。
ランニングは800mのコースを走ります。長い距離を走った直後、瞬時に全身の動きを静止させて息を整え、精密な射撃動作を行います。
動から静、静から動への状態変化の激しさを思えば、この種目がいかに自身の身体・精神コントロール能力を要求されているかがわかります。
静と動の切り替えの難しさと毎回の射撃での順位の入れ替わりが見どころとなります。
このレーザーランでフィニッシュした着順が競技全体の最終順位となります。
トライアスロンとは
スイム(水泳)1.5キロ、バイク(自転車ロード)40キロ、ラン(長距離走)10キロの3種目を連続で行い、総合タイムで争います。
オリンピックでは2000年シドニー大会から男女とも正式競技となりました。
男子のメダリストは1時間45分ほど、女子のトップは2時間を切るスピードで駆け抜けていきます。
3つの種目それぞれの能力の高さはもちろん、バランスやペース配分が大切となるため、経験と戦略のスポーツとも言われます。
近代五種との違いは、射撃やフェンシングのような道具を使わず、バイクを含めて、自分の体力への依存度が大きな競技といえるでしょうか。
また、精神面への負担や、各種技術の習得は、近代五種のほうが大変で、特に個人でこれにいどむのは、金銭面含めて大きな壁がありそうです。
近代五種の東京五輪日本代表選手は?
東京五輪の近代五種日本代表は、男子の岩元勝平(自衛隊)、女子の高宮なつ美(警視庁)に決定しました。ともに2016年リオデジャネイロ大会に続き、2度目の五輪となります。
岩元勝平選手は2019年開かれたアジア・オセアニア選手権で日本勢最高の7位入賞を果たしています。
【東京五輪】鹿児島市出身・岩元選手、近代五種代表内定 #FNNプライムオンライン #鹿児島テレビ https://t.co/1cUPzk9aoD
— FNNプライムオンライン (@FNN_News) June 18, 2021
高宮なつ美(旧姓朝長)選手はリオ五輪で男女を通じて日本勢過去最高の12位となりました。
UIPM近代五種世界選手権大会(2021/6/10~6/14、エジプトアラブ共和国)
女子予選では、髙宮なつ美選手(警視庁)、山中詩乃選手(自衛隊体育学校)、島津玲奈選手(自衛隊体育学校)が予選を通過しました(6/10)。
男子予選では、佐藤大宗選手(自衛隊体育学校)、大西渚生選手(自衛隊体育学校)、嶋野光選手(自衛隊体育学校)のいずれも決勝に進むことはできませんでした(6/11)。
UIPMワールドカップソフィア大会#2(2021/4/14~4/18)
女子決勝:山中詩乃選手(自衛隊体育学校)が第20位、島津玲奈選手(自衛隊体育学校)が第30位の成績でした。髙宮なつ美選手(警視庁)は予選を通過できず、出場していません。
男子予選では、嶋野光選手(自衛隊体育学校)、佐藤大宗選手(自衛隊体育学校)、大西渚生選手(自衛隊体育学校)が出場いたしましたが、決勝に進むことはできませんでした。
ちなみに、2020年の国内ランキング競争では、山中詩乃が2位に入っています。
世界的には、銃を扱う軍隊のすそ野が広い国が強く、日本でも自衛隊、警察関係者が上位を占めています。
男子よりは女子の方の成績は良さそうですが、世界との差はかなりあり簡単にメダルに届きそうにもありません。まずはこれまでの日本勢過去最高12位の更新を狙うというところでしょうか。
6/15に行われたUIPM近代五種世界選手権大会の結果は、
近代五種はいつから五輪種目であるの?
ナポレオン時代のフランスの故事から生まれた古代五種ペンタスロン(レスリング・円盤投・やり投・走幅跳・短距離走)を元に、近代オリンピックの創立者であるクーベルタン男爵が近代五種として競技化を提案したのが始まりと言われています(Wikipedia参照)。
1912年の第5回ストックホルムオリンピックにおいて種目に採用され、男子個人競技が行われました。以来、戦争等で、オリンピックが中止にならないかぎり必ず実施されています。
女子個人競技は、2000年のシドニ―オリンピックから行われ、一時は男子団体競技も実施されていましたが、1992年バルセロナ以降は行われていません。
前回の東京オリンピックでは、1964年10月11日から15日の5日間実施されました。
男子個人・団体の2種目が、埼玉県北足立郡朝霞町(現在の朝霞市)を中心に行われ、個人でハンガリー選手が、団体では当時のソ連が優勝しています。
メダル獲得数は、ハンガリー(22個)、スウェーデン(21個)、ソ連+ロシア (20個)の3ヵ国が圧倒しています。
近代五種に関するネットの反応
公式ツイッターUIPM
Combined age: 7⃣2⃣ years 2⃣2⃣3⃣ days
2⃣ world champions
2⃣ icons
Roll on #Tokyo2020 #ModernPentathlon 🏊♀️🤺🏇🏃🔫 pic.twitter.com/yx98NlY8NE— UIPM – World Pentathlon (@WorldPentathlon) June 13, 2021
- オリンピックの「近代五種」、五種類の競技を一日で全てこなす無茶苦茶忙しくてハードな競技だとは知らなかった。
- 生きてるうちに近代五種は現地で観戦したいな~!コロナが無ければめちゃめちゃ今頃私近代五種で盛り上がってたはずだった!!見るのもつらい!やるのもつらい!
- オリンピックはアマチュアの祭典の刷り込みがあるんでサッカー、テニス、野球は違和感がある 近代五種なんてアマチュア丸出しで意外と面白い(ほぼ全員が馬術が苦手&馬はくじ引きなのでえらいこっちゃになる)
- オリンピック、近代五種と馬術競技だけ見たい。お馬さんが暑さで倒れませんように
出典:ヤフコメ
まとめ
- 近代五種は、射撃、フェンシング、馬など道具を使って技術や精神面を競う面があるのに対し、トライアスロンは、バイクも含め、自身の身体能力への依存が大きい点にある
- 近代五種競技の日本と世界の実力差は大きく、東京五輪では、過去最高成績の12位を更新することが目標となる
- 詳しい競技内容を初めて知ったという人も多く五輪を機会にもっとこの競技が知れ渡れば良い
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