世界的なコロナ禍の猛威で、プロスポーツ界でもリーグ戦などの中止・延期が止まりません。米国や東アジアで人気の野球も、NPBは公式戦開幕が5月以降に、MLBも6月以降にずれ込む見通しが強まっています。
そんな中、ただ一国だけ、華々しく公式戦を開幕したリーグがあります。台湾プロ野球です。コロナ禍の中でも台湾プロ野球だけはなぜ開幕できたのか。日本から中継を見る方法とともに、「台湾のたくましさ」を探りました。
台湾プロ野球が開幕!中継を日本から見る方法
世界のほぼ全てのスポーツがコロナ禍でできなくなっている中、世界のプロ野球リーグで最も早く公式戦開幕にこぎつけたのが、台湾プロ野球リーグの「中華職業棒球大連盟(CPBL)」です。
台湾プロ野球では2軍公式戦が1軍に先行する形で既に3月17日に始まっており、1軍戦もついに4月12日始まりました。当初予定の11日は雨天中止となりましたが、12日は「中信兄弟vs統一ライオンズ」の1試合が台中市の洲際棒球場で行われました。
世界中の野球ファンが「干ぼし状態」にある中で、レベルの高いCPBL中継はぜひ見たいところです。日本から視聴する方法はあるのでしょうか。
イレブンスポーツとは?
日本から台湾プロ野球を生中継で視聴できるメディア、それは「イレブンスポーツ」です。イレブンスポーツはEleven Sports Network株式会が手掛けるスポーツ特化のライブ動画配信サービス。主にNPBのファーム公式戦を計650試合も中継していることで知られています。
イレブンスポーツがライブ中継するのは、台湾プロ野球の楽天モンキーズ主催、統一ライオンズ主催の各公式戦の一部。配信スケジュールは開幕戦から6月7日までで、楽天モンキーズと統一ライオンズのホーム球場で行われる計35試合が対象となっています。
観客に見立てたマネキンや看板が置かれたスタンド―。
台湾プロ野球で延期されていた公式戦が開幕。
観客を入れた通常開催の見通しは立っていませんが、世界中のスポーツイベントが延期や中止を余儀なくされている中での開幕で海外からも注目されています。https://t.co/klAxU90Ejd pic.twitter.com/3QYq8D7PX4— 産経ニュース (@Sankei_news) April 12, 2020
台湾プロ野球はなぜ開幕出来る?
世界で最も早く公式戦開幕にこぎつけた台湾プロ野球。今、世界中で「プロの野球」が見られるのは台湾だけですから、ファンにとってはイレブンスポーツでの中継は大変貴重だといえます。しかしコロナ禍がまだまだ世界中で猛威を振るっている中、なぜ台湾だけリーグを開幕できたのでしょうか。
まず台湾の新型コロナ感染状況は、他国に比べて非常に小規模で拡大が抑えられているといえます。直近の国内感染者数は400人足らず。毎日の増加数もわずかです。死者は13日までで6人に過ぎません。
台湾での感染防止策は非常に徹底しており、国の中央感染症指揮センターが市民生活の衛生管理を隅々まで中心的に担っています。マスクは保険証を見せると薬局で必ず購入でき、公共交通機関ではマスク着用が義務。状況に応じて違反者には罰金も科される厳しさだそうです。
政府・国民を挙げたこうした取り組みの結果、感染爆発には至らず、現在のところ封じ込めに成功しているといわれます。台湾プロ野球は「無観客」で行われ、もしも選手やベンチ、球団関係者らが感染した場合は中止されるという条件ではあるものの、選手たちは毎日検温するなど予防意識は高く、今のところ感染者は出ていません。
こうした国民・球界一致しての努力が「世界最初の開幕」につながったといえるでしょう。
台湾プロ野球開幕にネットの反応は?
- 台湾は国内の感染者が極めて少ないので、観客を入れての開催も早期にできるのではないかな
- マスクを保険証を提示して購入など、見習う点はあるとと思う
- 今に限って言えば、台湾のプロ野球でもいいからテレビ中継してくれたら見たいなあ!
- 日本は阪神の選手がオープン戦期間中に合コンとか、選手の危機感がなかったのも事実…
- 台湾や韓国はロックダウンなしに封じ込めに成功している。欧米よりなぜそちらのほうももっと取り上げないのか。野球できるなんて素晴らしい!
出典:ヤフコメ欄
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- コロナ禍の猛威にもめげず「世界一番乗り」で台湾プロ野球が開幕
- 選手や関係者に感染者ゼロ。国挙げての対策強化実り爆発封じ込め
- 無観客試合だが、日本ではイレブンスポーツで一部カードが視聴可
台湾プロ野球が開幕できたのは、国が強力に牽引しての感染初期対策が奏功したことが大きいとも言えそうです。既に1月には対策本部を立ち上げ、出入国規制や感染者検査、ITとGPSを駆使したクラスター経路の割出し、無症状感染者の隔離など迅速に行ったといいます。もちろん2300万人というコンパクトな人口規模も対策を国民に浸透させやすかったといえるかもしれません。
そして台湾プロ野球自体が、日米に比べ一試合当たりの観客数がそもそもあまり多くなく、無観客にしてもテレビ放映権などで埋め合わせが可能というビジネス面の実情もありそうです。ともかく、今後も選手らに感染者が出ることなく、無事にシーズンを消化してほしいものです。