ゴミの分別は各地域によって違う?基本的なごみの分別方法は?

5月30日は「ゴミ、ゼロの日」
日本では毎年東京ドーム115杯分程度のゴミが出ています。
その量なんと4,289万トン。

ゴミの量はすごいですが、各地域でゴミの分別もしていてリサイクルにも力が入っています。
力が入りすぎて、ごみの分別の種類が多くてビックリする地域もあります。

みなさんも引っ越しなどで、他の地域に行った際にゴミの分別方法が細かくて困惑したことはないでしょうか。

地域によって結構差がある「ゴミの分別方法」

今回は、基本的なゴミの分別と地域によって違うゴミの分別方法を紹介します。

基本的なゴミの分別

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法律で定められているゴミの分別

ゴミの分別について、法律で「容器包装リサイクル法」というものが定められています。
これは1997年に施行された法律で、次のものが分別の対象になっています。

  • ガラス製容器
  • ペットボトル(飲料・酒類・特定調味料用のペットボトル)
  • 紙製容器包装(段ボール・紙パック以外)
  • プラスチック製容器包装

これらの容器はリサイクル義務が生じます。

※ アルミ缶、スチール缶、段ボール、紙パックは容器包装リサイクル法における容器包装廃棄物ですが、市町村が分別収集した段階で有価物となるため、市町村の分別収集の対象にはなりますが、リサイクルの義務の対象とはなっていません。

多くの自治体で行っているゴミの分別方法

環境省が発表している「一般廃棄物処理実態調査」の結果によると、ごみの分別は多くの自治体で11~15種類に分類するようにしています。

  • 燃えるごみ(可燃ごみ)
    ※プラスチックを含める地域と、分ける地域がある
  • 燃えないごみ(不燃物)
    乾電池、電球を分ける場合もあり
  • 資源ごみ
    ペットボトル、白色トレイ、空きビン、空き缶、ダンボール、紙パック、古紙に分類
  • 粗大ごみ

基本的な分類は上記のようになっていますが、自治体によっては、さらに細かい分類が必要になってきます。

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地域によって違うゴミの分別

一般家庭から出るごみの分別方法は自治体によって異なります。

燃えるごみと不燃物、空き缶や空きびんに分けるという大枠はどこも同じですが、さらに細かく分類するように定めている自治体もあります。その違いは一体何なのでしょうか?

なぜ、地域によってゴミの分別方法が違うのか。

なぜ、地域によってゴミの分別方法は違うのか。
それはゴミの分別ルールは国に決められているわけではなく、各市町村単位で地域の状況に応じた一般廃棄物処理計画を定めているためです。

また、ごみの分別には償却設備と人口も関係しています。

プラスチックや白色トレイなどを燃えるごみとして扱っているところは、有害なガスが発生しないこと、焼却時の熱をエネルギーとして発電に利用できることなど、焼却設備が最新式のもので高温処理が可能であることが前提としてあります。

一方、焼却設備の処理能力が低いところでは細かく分別するケースが多いようです。

また、人口が多い都市部ではごみの量も多くなり、リサイクルや分別処理をするのに大きな手間(費用)がかかるという理由があります。そのために分別は大まかになっている傾向があります。

日本一ゴミの分別をしている町

日本一ゴミの分別種類が多いと言われているのが、徳島県の上勝町です。
TV番組「月曜日から夜更かし」でも取り上げられていました。

上勝町は、日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」をした町。
ゼロ・ウェイストとは、無駄・ごみ・浪費をなくすという意味で、出てきた廃棄物をどう処理するかではなく、そもそもごみを生み出さないようにしようという考え方です。

上勝町のゴミは13品目45分別以上

  • 生ごみ
  • 金属系
    アルミ缶、スチール缶、スプレー缶、金属製キャップ、雑金属
  • 紙類
    新聞チラシ、ダンボール、雑誌雑紙、紙パック、紙カップ、硬い紙芯、シュレッダーくず、その他の紙
  • 布類
    衣類、カーテン、毛布、その他の布類
  • バイオマス類
    割りばし、木製品、竹製品、廃食油
  • プラスチック類
    プラスチック製容器包装、その他のプラスチック、白トレイ、発泡スチロール、ペットボトル、プラスチック製キャップ
  • びん類
    透明びん、茶色びん、その他の色のびん、一升びん、ビールびん
  • 危ないもの類
    陶磁器、ガラス、鏡、水銀体温計、電球、蛍光灯、乾電池、廃バッテリー、ライター
  • 粗大ごみ
    金属製、木製、布団など、塩ビ製品(塩ビバイプ、塩ビの波板)など
  • 燃やさなければならないもの
    革製品、ゴム製品、塩ビ製品(雨カッパなど)、紙おむつなど
  • 埋めなければならないもの
    貝殻、カイロなど
  • お金がかかるもの
    廃タイヤ、特定家電
  • 町で回収できないもの
    危険物、産業廃棄物、パソコン

このように分類することで、リサイクル率は81%にまで達しているとのことです。

分別したごみはどうなる?行方を知って「分ければ資源」を楽しく実践

全国で、ごみは「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ペットボトル」などに分別して捨てるように定められていますが、分別されたごみたちはどのように処理されるのでしょうか。
またリサイクルできるものはどのようにして再生されるのか、疑問に思うことはありませんか?

ごみの行方を知れば「何のために分別するのか」「分別の必要性」がもっとわかり、面倒な分別も納得してできるようになるかもしれません。

そこで、ごみの種類別に回収後の行方を追っていきましょう。

「燃えるごみ」のゆくえ

燃えるゴミは「燃やせる」ごみのことです。つまり焼却場で燃やすことができるゴミということで、各自治体が所有する焼却炉の機能によって「燃えるゴミ」に出して良い品目が異なります。
例えば、高温で燃やすことができる焼却炉があればプラスチック製品も含めることが可能です。プラスチック製品を燃やすことによってダイオキシンが発生したという問題が過去にありましたが、高温で燃やせば発生しないので大丈夫なのです。

また、各自治体の人口によっても燃えるゴミで出せる種類が異なります。高温で処理ができる最新の焼却場なら大量のごみを効率よく燃やすことができるので、燃える可能性があるものなら「燃えるゴミ」として扱われますが、処理能力の弱い焼却場の場合で人口が多い地域だと、大量のごみを処理できないので燃えるごみとして区分される種類が少なくなるのです。

さて、燃えるごみの回収後の流れを見てみましょう。
焼却炉まで運搬された「燃えるゴミ」は計量器で重さをはかったあと、クレーンでピット内にごみを投入し、撹拌や切断をして燃えやすいように処理され砂も投入します。焼却後、不燃物が混ざっていたら砂と一緒に出され不燃物排出機の方に送られます。
冷却水で焼却炉内の温度を下げてフィルターで有害物質を取り除いて、きれいになったガスは送風機を使って煙突から出ていくという流れです。

「燃えないゴミ」のゆくえ

燃えないゴミはガラスや金属、ゴム製品などの不燃物ごみのことで、45ℓの袋に入らなければ「粗大ごみ」に分類されます。
不燃物には割れたガラスや包丁なども含まれるので、回収業者がけがをしないように安全対策をして出すようにしましょう。

処理施設に運ばれた不燃ごみはまず危険物を取り除いてから、リサイクルできるものとできない物に分けていきます。その際に細かく分類するほどリサイクル率は高まります。
「リサイクルできないゴミ」に分類されると、ピットに投入後コンベアで運ばれて粉砕機で細かくされ、磁選機で鉄類だけを取り除きます。さらに細かくなったごみをふるいにかけサイズ別に分けて、アルミ類と不燃物に分けた後、最終的に残った不燃物のみが埋め立てられるという流れになります。

「プラスチック類」や「ペットボトル」はどうなる?

プラスチック類でも高温処理ができる焼却場なら燃えるごみとして焼却されますが、プラスチックのリサイクルには3つの方法があります。

その方法とは、以下の3つです。

  • マテリアルリサイクル
  • ケミカルリサイクル
  • サーマリサイクル

マテリアルリサイクルというのは、溶かして再度プラスチック製品に再生するというものです。以前は汚れが少なくて素材が明確な産業用プラスチックに限られていましたが、現在では家庭から出るプラスチックも採用できるようになりました。活用されるプラスチックの中には、ペットボトルの割合も多く占められています。

ケミカルリサイクルというのは、化学反応を起こすことによって油や高炉原料、コークスやガスなどの燃料に変える再生方法です。プラスチックはもともと油でできているので、油に戻すことができます。高炉原料は鉄工所で用いられ、コークスは化成工場や発電所で使用されます。プラスチックを分子レベルまで分解すると、ガス化することも可能です。

サーマリサイクルは、プラスチックを焼却処分するのですが、ただ焼却するのではなく焼却時に出るエネルギーをリサイクルするというものです。ダイオキシンを発生させない高機能な焼却炉が生まれてから利用できるようになった方法で、固形燃料や廃棄物発電などに利用されます。

「缶」「びん」はどのようにリサイクルされる?

缶やビンはずいぶん前から廃品回収などでも回収されていて、リサイクルされています。缶はアルミとスチールに分けられ、アルミ缶は78%、スチール缶は82%とリサイクルされる確率が高いです。スチール缶は建築材料の鉄筋に変わり、アルミ缶は自動車部品などになることが多いです。

ビンは細かく粉砕されてガラスの原料としてリサイクルされたり、ビール瓶のようにきれいに洗浄して再度使うリターナブルビンとして使用されたりします。

「紙」「布」「ダンボール」などの資源ごみはどうなる?

紙や布などの資源ごみは自治体が回収する場合と廃品回収業者が回収する場合がありますが、紙の場合はどちらにしても回収されたあとは倉庫に運ばれて圧縮して梱包し製紙工場に出荷します。製紙工場では古紙と木材を細かくしたチップを使って、様々な紙類を製造します。

布に関しては、まだ使えるような衣類だとリユースされることがありますが、リユースができないような布は工場で分解されて軍手や工業用ウエス、生地などに再生されます。
細かく粉砕されたプラスチックや紙などと混ぜて圧縮し、廃棄物固形燃料に生まれ変わる場合もあります。

ダンボールは回収したあとはまた新しいダンボールに再生されます。汚れていて使えない物も細かく粉砕して焼却され、プラスチックのサーマリサイクルと同じように熱エネルギーとして再利用します。

まとめ

ごみの分別は自治体によって決められています。
その地域のルールに従ってゴミの分別を行わないと、ご近所トラブルにもなりかねないので、住んでいる地域の分別ルールをきちんと確認しておきましょう。

分別して出されたごみは、燃えるゴミは焼却され、燃えないゴミは回収した後は最後まで細かく分別してどうしてもリサイクルできない物のみ埋められます。
その他のプラスチックやかん・びん、紙類や布類もすべて何らかの形で再利用されているのです。

ごみの分別後の行方を知ることで、個人個人がもっと分別に力を注ぐようになり、新しい資源を使わなくて済むような世の中になればよいですね。
そして、日本のリサイクルの技術は素晴らしいと改めて感じることができますね。

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