クリティカルシンキングとは?仕事にも役立つので覚えておきたい言葉

物事を整理して考えをめぐらせているのに、成果になかなかつながらない。

このような人には、多角的に考え、適切に分析する思考法であるクリティカルシンキング(批判的思考)の力が足りていないのかもしれません。

批判的思考と聞くと、いいイメージはないかもしれませんが、「クリティカルシンキング」は、企業が事業を進める上で重宝する考え方です。

今回はビジネスで役に立つ思考法、クリティカルシンキングを紹介します。

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキング(critical thinking)は、批判的思考とも呼ばれ、感情や主観に流されずに物事を判断しようする思考プロセスです。

アメリカの教育界では、 クリティカルシンキングを身につけさせることで、客観的な判断や決断ができるよう子どもの頃から教育がされています。
クリティカルシンキングは教育だけではく、ビジネスの世界でも十分に役立つ考え方です。

クリティカルシンキングでは、物事について考える際、「なぜなのか」「本当に正しいのか」といった批判的な問いを行います。

自分の意見に対して、「間違っているかもしれない」という批判的な視点を持ち続けることで、より実践的な意見へと近づけていくことができます。

クリティカルシンキングにおける「批判」は、必ずしも否定を意味しません。

重要なのは、「なぜ」「どうして」「本当なのか」といった疑問を常に持つという事です。

クリティカルシンキングを身につけることで、

  • 健全な批判的精神と客観的な思考
  • 論理的思考や思考の効率を高めるためのテクニック
  • 適正な思考を行うための心構え

これらの思考が身につくのでビジネスの最適解を見つけれるようになります。

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ロジカルシンキングとの違い

上記の説明からロジカルシンキングを思い浮かべた人もいるのはないでしょうか。

クリティカルシンキングは批判的思考で、「その考えが本当に正しいのかを検証して本質を見極める」

ロジカルシンキングは論理的思考で「物事を要素ごとに分解し、筋道立てて考える」

という違いがあります。
この2つは相反するものではなく、ロジカルシンキングのために、クリティカルシンキングを用いるというケースが多いです。

売上、コストなどのデータを基に、事業を効率的に展開する方法を考えるのはロジカルシンキングで、そのデータについて、「どうして今の売上なのか?」「コストの妥当性は?」など物事の妥当性を考えるのがクリティカルシンキングになります。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングは2つ合わさってこそ、その効果を発揮します。

用語 意味
ロジカルシンキング 物事に筋道を立てて、各段階、各要素別に分類、分解して思考すること
クリティカルシンキング 物事の前提の正誤を検証したのち、その事象の本質を見極めていくこと

具体的な例

・費用20万円で広告Aを使うと、売上が40万円上がった
・費用20万円で広告Bを使うと、売上が60万円上がった

上記のような結果があったとして、次に同じく合計40万円の広告費を使って広告をだそうと考えた場合にそれぞれの考え方だと以下のようになります。

ロジカルシンキング ・広告Aの効果は悪いから、今回は広告Bに40万円を使うようにしよう
クリティカルシンキング ・そもそも広告の費用対効果はどのくらいが適切か?
・20万円を使って売上が60万円上がったという成果は本当にいいのか?
・広告A、広告B以外に効果のよさそうな広告はないのか?
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クリティカルシンキングが仕事に与える影響

ビジネスの世界では、今日まで価値が高かったものが、明日には価値を失っているような変化が毎日のように起こっており、前例や習慣に縛られた思考では通用しません。

クリティカルシンキングを心がけて「なぜ?」「どうして」「本当に?」と自分の頭で思考を続けることが重要になります。

クリティカルシンキングの目的は、最も最適な回答を導き出すことです。

クリティカルシンキングでが「物事に関する情報」「物事をとりまく環境」「外的な意見」「当事者の意見」などについて、様々な視点から前提が適正かどうかを客観的に見ます。
そうすることで、物事の本質を見極め、最適な回答を導きだすことが可能になります。

クリティカルシンキングが仕事に与える影響は多岐にわたります。

物事の本質を見極める

「売上・コスト・利益」を管理したり、統計データをもとにマーケティング戦略を立てたりする場合、クリティカルシンキングが身に付いていれば、数値データが何を意味するのかを把握し、的確な判断ができるようになります。
物事の本質を見極めれれば、実際には必要のない論拠やデータを取り除き、本当に重要な情報だけを取り出すことにも役立ちます。

新たな視点

クリティカルシンキングでは、ある意見や考え方について批判的思考を行います。

たとえば、「残業なしで仕事を終わらせるためには、人員補充が不可欠だ」という意見に対して、「そもそも1人あたりの仕事量は適切か?」「無駄な仕事はないか?」「効率化はできないのか?」など、批判的に考えていきます。

そうすると、「人員補充が必要だと思っていたが、別の解決法があるかもしれない」と気づくことができます。

そのままでは1つの対応策しかないと思える問題に、新しい解決法を示す可能性があります。

クリティカルシンキングを身に付けるには

クリティカルシンキングはやろうと思ってすぐにできるものではありません。
常日頃から意識して、トレーニングすることで徐々に身についていきます。
ここでは、今日から取り組める簡単なトレーニング方法を紹介します。

具体的に伝える

相手に物事を伝える際に、主語をなるべく省かず、具体例を挙げて話しましょう。
「これ」「あれ」「それ」といった指示代名詞を多用せずに、具体的な名前を出したり、なぜそれをやってほしいかを伝えるようにしましょう。

仮説を立てて検証する

クリティカルシンキングは、思い込みを排除して考える思考法ともいえます。自分の思い込みに気づくためには、仮説・検証のプロセスを繰り返すことが効果的です。ロジカルシンキングのフレームワークを活用して、仮説から結論を導くだけで終わるのではなく、導かれた結論が妥当であるかを検証することによって、仮説(思い込み)の誤りに気づけるでしょう。

事実と意見を見極める

事実とは「実際に起こった事柄」、意見とは、「ある問題に対する考え」です。
相手が事実を話しているのか、それとも意見を述べているのかに注意しながら話に耳を傾けることは、クリティカルシンキングの良いトレーニングになります。

俯瞰力って何?物事を多方面から見ることにより得られるメリットは?

人には様々な考え方があります。

基本的に人は自分軸でものを考えるので、一方向だけしか見られないものです。しかし多方面から物事を見られるようになれば、対人関係においても、不特定多数の消費者を相手にするビジネスにおいても役立つのではないでしょうか。

そこでここでは、物事を多方面から見て判断できる力について触れてみましょう。

物事を多方面から見る力「俯瞰力」とは?

物事を多方面から見ようとすれば、その対象物から少し離れてみる必要があります。近すぎれば、目の前にある部分しか見えなくなるからです。離れたところからなら様々な角度から見ることができるのです。
自分のマンションの部屋から外を見ても、近くの建物しか見ることができませんが、屋上に上れば街並みを見渡すことができます。
このように、広い視野をもって多角度から物事を見渡すことを「俯瞰」と言います。

「俯瞰力」を養うために大切なこと

全体像を知ること

ただ、屋上に昇れば見える範囲は広がりますが、その範囲は限られます。その市全部は見えても、日本全体を見渡すことは不可能です。もし飛行機やロケットに乗って上空から日本全体が見えたとしても今度は大まかにしかわからず細かくまではわかりません。

また、日本の情報を何も知らない状態で屋上から周辺を見渡しても見える範囲のことしかわかりませんが、ある程度日本の情報を知っていれば、「あっちが富士山でこっちが海」などと想像することはできます。

このように、全体の情報を知っておけば全体が見えなくても全体像の想像がしやすくなり、より多くの角度で物事を見ることができるのです。

見る角度によって見え方が違うことを知ること

マンションの屋上ではより広範囲に周囲が見渡せるので視野が広がりますが、同じ屋上から周囲を見渡していても、見る場所によって見える景色は全く異なります。都会と田舎では見える景色が全く違うし、同じ都会でも都市部に近いか遠いか、東か西かによっても異なります。田舎といっても山ばかり見えるところもあれば、海が広がっているところもあります。

それぞれ見る場所によって、見える景色が異なります。場所によって、環境も風習も違うのです。そのため都市部と地方での人々の考え方も変わって当然です。また同じ場所に住んでいても生まれ持った性格や家庭環境によって違う考え方になるのです。

全体像を見ることは難しいですが、自分が見ている角度以外のところから見るとまた景色が違うこと、そこには様々な考え方や捉え方があるということを認識することで、より多くの見方ができるようになります。

俯瞰力を身につける方法

いくら物事を俯瞰してみても、全体のことを知ることは難しいため全体のことは情報として知っておくことと、見る角度によってまた人によって様々な考え方があることを認識することが大切なのですが、具体的にどうすればよいのでしょうか。

全体の情報を知るためには

例えば日本全体のことを対象とするなら、日本の各地域の地理や観光地、慣習や方言などを知っておけば、自分の住んでいる所だけでなく広い視野で物事を見ることができます。
地球全体としても平和な国ばかりではなく戦争が起こっていたり貧困な地域があること、暑い国、寒いがありどのように暮らしているのか、などを知ることが大切です。

つまり視野を広げて様々なことに興味を持ち、インプットする情報量を多くすることです。

さまざまな考え方があることを認識するためには

自分の考えが正しい、それがすべてだと思ってしまうと他の人の意見や考えを受け入れられなくなってしまいます。
いろいろな人の意見を受け入れるためには、いったん自分の考え、自分のことは置いておいて人の言うことに耳を傾けてみましょう。そして人の意見も受け入れたうえで、自分の考えと比べてみたり、人の意見で自分にはないものがあれば尊重してみるなどしてじっくり考えてみることが大切です。

すると自分だけの軸で物事を考えていたものが、自分の考えだけがすべてではない、正しいとは言い切れないと思えるようになってくるでしょう。
自分のことはいったん置いて、後から人の意見と照らし合わせてみることで、自分のことも客観的に見ることができるようになります。
自分のことが客観視できるようになれば、自分が中心ではなく社会の一員であり、他の人もみな社会の一員で同じ線上に立っていることがわかります。

このように自分を客観視することが大切で、そのためにはいったん自分を置いてみて後から振り返ってみることや、他の人と自分は同じ社会の一員だということを確信する必要があります。

俯瞰力が高まるメリット

  • 自分のことがわかる
  • 人のこともわかるようになる
  • 全体を知ることに興味がわき、多方面から物事を考えられる

自分のことがわかる

自分のことを客観的に見ることができるようになると、他の人が自分を見てどう評価するのか、良いところ・改善すべきところもわかるようになります。

人のことがわかるようになる

自分軸でなくて相手の話をしっかりとインプットすることで相手の考えていることや性格などがわかるようになり、相手に合ったコミュニケーション方法が取れるようになります。
その力が身につくと、学校や職場、また営業や接客などお客様を相手にする仕事もこなせるようになります。

全体を知ることに興味がわき、多方面から物事を考えられる

自分と人のことがわかるようになると物事を見る角度も増えてくるので、全体像にも興味がわくようになります。そのために積極的に多くの情報を仕入れようとするので、それがコミュニケーションや仕事にもつながるのです。

全体像を知ることができれば、物事の本質がわかるようになります。全体の中から最も大切なこと、今すべきこともわかようになり、目標が見つけやすくなります。そして物事が効率よくはかどるようにもなります。

まとめ

クリティカルシンキングの意味やメリット、トレーニング方法などをご紹介しました。

物事を客観的にとらえるクリティカルシンキングは、円滑なコミュニケーションや、データに基づく判断に役立ちます。ビジネスはもちろん、日常生活でも役立つ思考法のため、ぜひ身につけましょう。

本来人間は、自分軸で一方向からしか物事が見えないものですが、俯瞰的に物事を見ることができるようになるともっと広い視野で見渡せるようになります。

俯瞰力を鍛えるためには、「いったん自分を置いておいて人の意見を聞く」ことが大切です。
そして後で振り返ってみて、自分の考えがすべてなのかどうかを知る必要があります。

そして情報はできるだけ多くインプットをすることで、全体像が見えてきます。

多方面から見る力と全体像を想像する力が俯瞰力を養い、大きなメリットを享受できるようになるのです。

 

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