いよいよ梅雨も明けて、熱中症の季節がやってきました。今年はコロナ禍で、マスクを着けたり、時々部屋の空気の入れ替えが必要となるため、例年以上に危険が増しています。
その危険度を客観的に見ることができる指数があります。
熱中症の指標となる暑さ指数WBGTとは簡単にいうとどういうことなのでしょう。
歴史など予備知識を含め、その活用方法についてまとめました。
WBGTとは簡単にいうとどういうこと?
暑さ指数WBGTとは、Wet-Bulb Globe Temperature(湿球黒球温度)の略で、熱中症の危険度を判断する数値として、環境省から情報提供されています。
人の熱バランスに影響の大きい気温(乾球温度)、湿度(湿球温度)、輻射熱(黒球温度)を1:7:2の割合で取り入れて算出されます(単位は温度)。
ここで、輻射熱とは、温度の高い物体から低い物体へ、電磁波によって伝わる熱のことで、例えば、直射日光による熱がこれに相当します。
黒色に塗装された薄い銅板の球(中は空洞、直径約15cm)の中心に温度計を入れて観測します。
屋外での算出式は以下で、
WBGT(℃) =0.7 × 湿球温度 + 0.2 × 黒球温度 + 0.1 × 乾球温度
湿度の影響が一番大きいことが分かります。
2011年の数値で具体的に見ましょう。
温度が同じでも、湿度が15%RH違っただけで、WBGTの大きな差になり(警戒⇒厳重警戒)、熱中症の危険度が一挙に増すことが分かります。
7月6日 | 7月9日 | |
---|---|---|
最高気温 | 32.5℃ | 32.5℃ |
最小湿度 | 41% | 56% |
日射量 | 24.82MJ | 24.07MJ |
WBGT | 26.9℃ | 29.9℃ |
熱さ指数ランク | 警戒 | 厳重警戒 |
熱中症搬送数 | 50人 | 94人 |
WBGTの知っておきたい予備知識
1954年(昭和29年)
アメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために暑さ指数(WBGT)が提案されました。
ここは湿度が高い上に、海兵隊の訓練は厳しく、訓練中は服装や装備にも厳しい制約があったために、熱中症になりやすい条件がそろっていたためです。
1982年(昭和57年)
暑さ指数(WBGT)がISOにより、国際基準となりました。
1994年(平成5年)
日本体育協会が「熱中症予防の原則およびガイドライン」を発表し、スポーツ活動中の熱中症事故予防に関する呼びかけを始めました。
2006年(平成18年)
環境省「熱中症予防情報」サイト開設し、国内各地の暑さ指数(WBGT)の情報を提供を開始しました。
2008年(平成20年)
日本生気象学会が「日常生活における熱中症予防指針」を公表しました。
環境省は全国各地の実測値と明日、明後日の予測値を以下で提供しています。
「暑さ指数(WBGT)の実況と予測」
https://www.wbgt.env.go.jp/wbgt_data.php
赤:危険 31℃~
橙:厳重警戒 28~31℃
黄:警戒 25~28℃
水:注意:21~25℃
青:ほぼ安全:~21℃
例えば、8月1日AM10時では、
WBGTの最高値は、与那国島(沖縄)の32.4℃となっています。
なお、暑さ指数が、「33」以上になると予想された場合に発表される「熱中症警戒アラート」があり、LINEでの配信が始っています(関東甲信の1都8県が対象)。
(以上環境庁「熱中症予防防災サイト」参照)
WBGTに関するネットの反応
- 今日はWBGTで運動は原則中止の暑さでした。養護教諭が部活動前に測定し、教頭に部活動は中止と言った。 教頭「これくらいで(部活)なしにしたら何もできない。」何のための指標?
- 今日8月1日(土)は東海地方から九州にかけての各地で 熱中症予防の目安となる暑さ指数(WBGT)が 【最上級の「危険」ランクとなるような暑さが予想】 されています 適切な水分補給などを心がけるようにしてください
- 仕事で子どもを外遊びさせる時、WBGTが30度超えないと禁止になりません。逆に言えば、29.9度でも外に出たい子がいれば、出なくてはいけないのが現状。
- 暑さ指数(WGBT)を学んで、熱中症を防ぎましょう。 熱中症を防ぐには、気温だけではなく、湿度や熱環境を意識する必要があります。
- 仕事が終わり帰宅の道から 現場気温38℃湿度52% WGBT指数32℃ 他業者が熱中症で3人内1人重症が出ました。 言わせてくれ。コロナよりも熱中症防止に注力した方が良いよ
出典:ヤフコメ
まとめ
- 暑さ指数WBGTとは熱中症の危険度を判断する数値で、気温、湿度、輻射熱を1:7:2の割合で取り入れて算出されます
- アメリカの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを予測するために考案され、現在ではISOにより国際基準となっており、環境省が情報提供している
- この季節になると、コロナよりWBGTでの熱中症予防に注力したほうが良いのではとのコメントも
地球温暖化とコロナ禍でのマスク習慣で、例年以上に熱中症の危険が叫ばれています。
湿度の寄与が大きいというWBGTをうまく活用して、ウイズコロナの夏を切り抜けていきたいところです。
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