夏季五輪東京大会開幕まで、あと10日余り。今回は日本が非常に得意とする「メダル量産種目」レスリングに注目してみます。
レスリングといえば「グレコローマンスタイル」という言葉を時々聞きます。これってどういう意味?種目数は?フリースタイルとの違いとは?そんなレスリングの「素朴な疑問」に迫りました。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)
グレコローマンスタイルとは意味は?
戦前の五輪から日本が大変多くのメダルを獲得し続けてきたレスリング。国民栄誉賞に輝いた吉田沙保里さん、伊調馨さんはじめ、日本が世界に誇る選手もたくさん輩出してきました。
母国開催の東京五輪でも期待大ですが、ところでレスリングといえば「グレコローマンスタイル」「フリースタイル」といった種目名をよく耳にします。その意味は何で、どういう違いがあるのでしょうか。
まずグレコローマンとは、英語では「Greco-Roman」と表記します。英和辞典によると「Greco」とは「(古代)ギリシャの、ギリシャと…」という、次に複合語を伴う言葉。
「Roman」は「(古代)ローマの、ローマ風の」という形容詞です。つまり「グレコローマンスタイル」とは「ギリシャとローマの形式」という意味になります。一方「フリースタイル」は「自由形式」です。
なおグレコローマンス・フリーの2種目に分かれるのは男子だけで、女子はフリースタイルのみです。
グレコローマンスタイルとフリースタイルの違い
レスリングのグレコローマンスタイルとは「ギリシャ-ローマ風」という意味と分かりましたが、ではフリースタイルとの具体的な違いはどこなのでしょうか。ルールを見てみましょう。
グレコローマンスタイル
選手は相手の上半身だけを攻めることができます。腰から下の足などを攻めたり守るのは禁止。このためスープレックスなどの投げ技中心の試合展開となります。
試合開始は立ち技(スタンド)状態から。選手が消極的と判定されたときは相手に1点が与えられ、グランドから攻撃を再開します。上半身での投げなどダイナミックな技が多く、格闘技らしい迫力が魅力です。試合中に8点差が付くとその時点で終了となり勝敗が決まります。
男子のグレコローマンスタイルの階級は、60kg、67kg、77kg、87kg、97kg、130kg級の6階級です。
フリースタイル
上半身だけのグレコローマンスタイルと違い、全身を攻撃と防御に使えます。このためタックルを中心とした素早い試合展開が特徴。現在女子はフリースタイルだけ実施されています。
試合中に10点差がついた場合その場で終了(テクニカル・フォール)となります。階級は男子が57kg、65kg、74kg、86kg、97kg、125kg級の6つ。女子は50kg、53kg、57kg、62kg、68kg、76kg級の6つです。
引用:https://2020.yahoo.co.jp/event/wr/outline
グレコローマンスタイルの有名選手
レスリングでも最も歴史ある種目、グレコローマンスタイル。過去の主な有名選手をご紹介しましょう。
■アレクサンドル・カレリン
恐らく世界で最も有名なレスリング選手。ロシア(旧ソ連)出身で、グレコローマン130kg級で3大会連続で五輪金メダルを獲得。圧倒的な強さから「霊長類最強の男」と呼ばれました。
■ミハイン・ロペス
キューバ出身でカレリンの後継者とも言われる超強豪。やはり北京五輪から3大会連続で金メダル獲得。五輪含めた主要世界大会で8度の優勝を誇っています。東京五輪で連勝記録を更新できるか注目されます。
■ゲーオルグ・ハッケンシュミット
ちょっと古いですが19世紀で最も有名なグレコローマンレスラー。「ロシアのライオン」の異名を持ち、グレコローマンとフリースタイルの両方で生涯2000勝以上を挙げたといわれます。
東京五輪の日本代表
日本のグレコローマンスタイル東京五輪代表は以下の通りです。
▽60kg級
・文田健一郎(ふみた・けんいちろう) 山梨県出身、25歳。日体大―ミキハウス。19年世界選手権優勝。
▽77kg級
・屋比久翔平(やびく・しょうへい)沖縄県出身、26歳。日体大―ALSOK。世界選手権3年連続出場。
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 東京五輪レスリングでは「グレコローマン」「フリー」の2種目実施
- グレコローマンとは「ギリシャ・ローマ風」の意味。男子だけの種目
- 古代五輪以来の伝統。上半身だけで攻防し投げ技など豪快な展開魅力
記事でご紹介したとおり、五輪レスリングでは女子はフリースタイルのみの実施。「男女平等」を謳うIOCは女子のグレコローマンスタイルも導入を検討中だといいますが、フリースタイルと実力レベルを合わせる必要もあり、世界的な普及には時間がかかるとの見方もあります。
またグレコローマンは相手を抱え上げるリフトからの投げ技など、凄まじい腕力を必要とするため身体能力が高い欧米選手が圧倒的に有利。
「男女はすべて同じに」と単純に当てはめるのではなく、格闘技など筋力・体力差が大きい種目の場合、女性の体形に合ったフリースタイルだけの方が望ましい、との意見もレスリング界には根強いそうです。
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