SOGIハラスメントとは？アウティングの意味を分かりやすく解説

SOGIハラとかアウティングという言葉を最近よく耳にします。

これまで、言われていたLGBTや、カミングアウトと何が違うのでしょう？なぜ、しばしばマスメディアなどに出てくるようになって来たのでしょう？

SOGIハラスメントとはなにか？や、アウティングの意味を、具体例を含め、分かりやすく解説していきます。

SOGIハラスメントとは？分かりやすく解説

SOGIハラスメントとは？分かりやすく解説してゆきましょう。

SOGIとは、Sexual Orientation and Gender Identityの頭文字をとった用語で、「性的指向および性自認」を意味します。

性的指向というのは、自分の恋愛や性愛の感情がどの性別に向くか、向かないか
性自認というのは、自分の性別をどのように自認しているか

ということで、人の属性を示す略語であって，これは異性愛の人なども含めたすべての人が持っている属性を指します。
つまり、性的指向・性自認はすべての人が持っているものであり，人ごとに違っていて当たり前というニュアンスが含まれています。

これまで良く使われてきた、その人がLGBT なのかどうかを端的に示す LGBT という表現ではなく，人権等への配慮の観点から，国際社会においては，SOGI とう表現を用いることが標準になってきています。

SOGI ハラ、アウティングという言葉が、広く知られるようになったのは、2020年6月から大企業に対し、SOGIハラ・アウティング防止策を措置義務とするパワハラ防止法が施行されたことがきっかけとなっています（中小企業は2022年4月からの施行）。

パワハラ防止指針においては，職場において行われる以下の①から③までの要素をすべて満たすものがパワハラとされました。

①　優越的な関係を背景とした言動
②　業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
③　労働者の就業環境が害されるもの
そして，パワハラは，以下の６類型に分類されました。
①　身体的な攻撃
②　精神的な攻撃
③　人間関係からの切り離し
④　過大な要求
⑤　過小な要求
⑥　個の侵害

SOGIハラスメントとは、相手の性的指向や性自認（SOGI）に関する侮辱的な言動をなすという行為で、②　精神的な攻撃に相当し、③人間関係からの切り離しに該当する場合もあります。

続きを見る

性自認は女性、なのに「彼」　メーカー社員、SOGIハラで労災申請 https://t.co/tEkAT0egPB

— 朝日新聞(asahi shimbun） (@asahi) September 15, 2021

（SOGIハラの具体例）
・例えば「ホｘは気持ち悪い」といった差別的な言動によるいじめや暴力
トランスジェンダーに対して「戸籍は女性なんだから女性の制服にしなさい」といった望まない性別での生活の強要など。

・ゲｘの労働者Dが会社で「オ力マちゃん」とあだ名をつけられ、飲み会では何度も何度も「気持ち悪い」と執拗に責められ、結局会社を辞めることに。

・身体的な性別が男性であるものの，女性的なしぐさをすることがある社員に
対して，「おまえのしぐさホｘっぽいんだよ」などと嘲笑すること。

・執拗に結婚しない理由を尋ね，結婚していないことに否定的な発言をすること

・Eさんってゲｘなんじゃないの？だから結婚しないんじゃない？

アウティングの意味

アウティングとは、労働者のSOGI（性的指向・性自認）などを本人の了解を得ずに暴露する行為を意味します。
アウティングは、労働者の性的指向・性自認などを本人の了解を得ずに暴露する行為で、先の分類では、⑥　個の侵害に相当します。

これに対し、カミングアウトは、本人自身がLGBTの当事者であることを周囲に伝えることです。
カミングアウトは１回とは限らず、誰にカミングアウトしたかで本人の意思がどこにあるかが、ポイントとなり、アウティングに絡んでくる場合もありますので、注意が必要です。

(アウティングの具体例)
・ゲｘであるとのカミングアウトを受けた労働者Bが，カミングアウトをした労働者Ａの了承を得ていないにもかかわらず，会議等の場で，「Ａって実はゲｘなんだってさー」などと，特定の労働者の性的指向（性自認）を暴露した。

・大手企業に就職したゲｘの労働者Cが、配属された地方支店の支店長にカミングアウトした所、知らずのうちに支社全員や、さらには得意先にまでセクシュアリティを暴露されてしまい、からかいやプライベートの詮索などをされ、結果的に会社を辞めることになった。

アウティングにはプライバシー権侵害の側面もあることから，アウティングを行った行為者にカミングアウトした本人への害意がなかったとしても，違法となる可能性があります。

さらに，オープンにしていない個人のSOGIを開示するか否か，開示するとしてもどの範囲で
開示するかは，原則として本人の判断によるものであるため，開示を強制することもパワハラに該当する可能性があます。

これらは、民事上も人格権侵害等により、国家賠償法に基づき損害賠償等が請求された例もあります。

法律的な罰則は？

今回の法律では、パワーハラスメントそれ自体に罰則を設けてはいません。

しかし「パワハラはダメ」ということを明確にし、従業員等にしっかり伝える、パワハラに関する相談窓口をつくり、適切に対応できるようにするなど事業主に対し10の項目で対策の内容が示されています。

さらに、もしパワハラが起きてしまった場合、事実関係を調査したり、再発防止策を行い、パワハラを相談した際にプライバシーが守られるようにしたり、告発した人を不利な状況にしてはならないといった対応が求められています。

パワハラ防止法で規定されている取り組みを行う義務を怠った場合、企業は都道府県労働局からの助言・指導・勧告を受ける可能性があり、場合によっては企業名が公表されることになります。

また、最近はSOGIハラやアウティング被害に関する訴訟も提起されており、民事訴訟ではパワハラ防止法が根拠として用いられ、賠償請求が命じられる可能性もあります。

まとめ