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ピナツボ火山噴火の日本や気候への影響は?過去事例をシェア

11月30日に、フィリピンのピナツボ火山で噴火が発生し、噴煙は高度1万3000m以上に到達しているとみられています。

ピナツボ火山噴火の日本や気候への影響はどうなのか?3つの過去事例をシェアして行きます。

噴火による気象変動のメカニズムについても触れました。

だからと言って、気球温暖化には、良報!とは行かないわね

ピナツボ火山が大噴火

ピナツボ火山が大噴火の詳細を見てゆきましょう。
ピナツボ火山(PINATUBO/標高1486m)は、ルソン島の首都マニラから約100kmの距離にあり、30年前の1991年6月7日には、400年ぶりに、大噴火しました。

これは、20世紀における地球上で最大規模の噴火とされ、フィリピン周辺のみならず、世界中に多くの被害をもたらしました。

火山噴火の規模をあらわす火山爆発指数で比較しておきましょう。

火山爆発指数 噴出物の量 状況 噴煙の高さ 発生頻度 ここ1万年の発生数
0 < 10,000m3 (非爆発的) < 100m ほぼ毎日 マウナ・ロア山 無数
1 > 10,000m3 (小規模) 100 – 1000m ストロンボリ島
2 > 1,000,000m3 (中規模) 1 – 5km ほぼ毎週 ガレラス山(1993) 3477
3 > 10,000,000m3 (やや大規模) 3 – 15km ほぼ毎年 コリャーク山 868
4 > 0.1km3 (大規模) 10 – 25km ≥ 10年 プレー山(1902) 278
5 > 1km3 (どうしようもないほど大規模) > 25km ≥ 50年 セント・ヘレンズ山(1980) 84
6 > 10km3 (並外れて巨大) ≥ 100年 ピナトゥボ山(1991) 39
7 > 100km3 (超巨大) ≥ 1000年 タンボラ山(1815) 5(+推定2)
8 > 1,000km3 (非常に巨大) ≥ 10,000年 トバ湖(BP 73,000) 0

噴火による死者は、屋根に堆積してた火山灰が雨を吸収して重くなって家が潰れたことによることが多く、約300人となっています。
南西に75キロメートルにあるスービック海軍基地、東に40キロメートルにあるクラーク海軍基地という、アメリカ軍の重要な基地は、噴火によって放棄されました。

噴火前には、1745メートルだった標高は、膨大な噴出物により低くなり、1486メートルになっています。
さらに、この火山噴火で、放出された大量の火山灰が成層圏にまで達し、世界中の日射量を長期間にわたり減少させ、世界中に大きな気候変動をもたらしました。
北半球の平均気温が0.5から0.6℃下がり、地球全体で約0.4℃下がりました。噴火で作られた成層圏の雲は、3年間も大気中に残存しました。

また、噴火はオゾンレベルに重大な影響を与え、オゾン層の破壊率が大幅に上がる結果となりました。

1度で終わらずこれからも続くかも!
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ピナツボ火山噴火の日本への影響は?

ピナツボ火山上空に多量の火山灰が放出されると、それを吸い込んだ飛行機のエンジンが停止したり、操縦席の窓ガラスに傷が付いて見通しが利かなくなるなど、航空機の運航へ重大な影響を及ぼす恐れはありますが、ピナツボ火山噴火の日本への最大の懸念点は、下記の過去の事例で見ますように、噴煙が成層圏に達することによる気候変動です。

平成5年(1993年)のピナツボ火山噴火の際には、地球規模の気候変動が起こり、日本では戦後最悪の冷夏となりました。
東日本の夏の平均気温は平年より1.5度も低くなり、米不足からタイ米などを輸入するという「平成の米騒動」がおきました。

毎年の酷暑も嫌だけど、冷夏も良し悪しね

気候への影響は?

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過去事例

イエローストーン火山爆発(アメリカ)

過去最大の噴火は、64万年前のアメリカのイエローストーンの火山爆発指数8の噴火で、噴出物がアメリカ合衆国の半分を襲うというすさまじいものでした
火山灰は上空約3万メートルにまで達し、噴出物は西部一帯を覆い、南はメキシコ湾にまで達したという。また、800℃に達した灼熱の火砕流が渓谷一帯を席巻し、比重の重い、高温の噴出物が数百メートルの厚さで堆積しました。緑豊かな谷が、一瞬にして、火山の噴出物で覆われました。

この超巨大噴火で、影響は地球全体に及んだと思われます。噴出したガスは成層圏にまで達し、水蒸気と混ざり硫酸塩エアロゾルの薄い層が形成され、太陽光をさえぎったと予想されます。このため地球では、「噴火の冬」と呼ばれる気温の低い期間が数年も続いた可能性があります。

巻き上げられた火山噴出物は、対流圏であれば重力による落下や降水に取り込まれて大気から除去されますが、成層圏まで巻き上げられると重力による落下でしか大気中から除去されません。

重力による落下は、粒子が小さくなるほど遅くなり、例えば、直径が10マイクロメータの粒子が1日で1キロメートル落下するなら、1マイクロメートルの粒子は1日に31mしか落下しません。

このため、成層圏まで巻き上げられた微小な粒子は、長期間にわたって成層圏内にとどまり、世界中に広がりました。

アグン火山噴火(インドネシア)

1963年2月~5月のアグン火山噴火では、火砕流とラハールにより、死者1,148名、負傷者296名を出したとされています。
推定海抜19~26kmの高さの噴煙柱を発生させ、噴火の規模は熔岩、火砕流、火山灰、火山砂礫の総計で3億m3。この噴火により、北半球の平均気温を0.5度近くも低下させました。

世界全体の平均気温が0.3℃~0.5℃ほど低下したと言われている。

エルチチョン火山噴火(メキシコ)

1982年に大噴火しており、死者2000人以上の被害を出しています。
噴煙は高さ16,000メートルにまで到達し、大量のエアロゾルが成層圏に撒き散らされた。この為、世界全体の平均気温が0.3℃~0.5℃ほど低下したと言われています。

ピナツボ火山噴火(フィリピン)

1991年6月のピナツボ火山の噴火時には、噴煙は34キロメートルまで巻き上がって成層圏に長く滞留した大量の火山灰が、世界中の日射量を長期間にわたり減少させました。

これは、大気混濁指数と呼ばれる日射の減衰を表す指標の数値で見ることが出来ます。
日本でも大気混濁指数がピークを示し、この後、しばらくは世界中で異常気象が多発しました。
日本でも平成5年(1993年)には戦後最悪の冷夏となるなど大きな影響をもたらしました。

日本の大気混濁係数の経年変化を見てみましょう。

 

1960年以降で、3つのピークがあり、それぞれ、アグン火山噴火、エルチチョン火山噴火、ピナツボ火山噴火によって、硫酸塩エーロゾルの生成につながる二酸化硫黄が成層圏に大量に注入され、成層圏が長期間にわたって混濁した結果と考えられています。

“エーロゾル:大気混濁係数とエーロゾル光学的厚さの経年変化”. www.data.jma.go.jp. 気象庁参照
ここで、大気混濁係数とは、大気中のエーロゾル、水蒸気、オゾン、二酸化炭素などの吸収・散乱による日射の減衰を表す指標で、値が大きいほど減衰が大きいことを示します。大気混濁係数は、太陽から直接地表に届く日射である直達日射から算出されます。

今回気象衛星の観測によれば、噴煙は高度1万3000m超に達しているとのことです。エルチチョン火山噴火の1万6000mに近いとも言えます。

さらに、今後さらに大きな噴火が生じる可能性もあります。
大気混濁係数の増大により、数年に渡り、世界で、異常気象が発生し、平均気温を低下させる可能性があります。

大きな火山灰プルームが飛行レベル440(14,300 mの高度)に上昇し、西に漂流したことについて警告が出たとの情報も

まとめ

  • ピナツボ火山噴火の日本や気候への影響をまとめた
  • 前回1991年のピナツボ火山噴火では、2年後、戦後最悪の冷夏となり、コメの不作により、平成の米騒動が起こった
  • 日本での火山噴火による大気混濁係数の増加が、日射量を減らし、平均気温を低下させた3つの事例がある
タイ米を食べざるを得なかった記憶がよみがえったわ!
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