WHOのロゴマークの意味は？なぜ蛇？「気持ち悪い」「カルトかと思った」の声も

昨年11月に中国で初の感染者が見つかったとされる新型コロナウイルス。感染は瞬く間に世界中に広がり、たった5か月で患者は300万人に近づき、勢いはいまだとどまりそうにありません。

まさに世界史的な疫病被害になった2020年のコロナ禍。これに立ち向かっている唯一の国際機関が世界保健機関（WHO）です。コロナ感染を何とか終息させようと日夜奮闘するWHOですが、ニュースなどで頻繁に映るそのロゴーマークは、地球儀の上に蛇が絡んでいるように見えます。

「なんか気持ちわるぅ」「悪のカルト団体ぽい」と口さがない声も聞こえるWHOのロゴーマークの意味とは？なぜ蛇が模られているのか調べてみました。

WHOのロゴマークの意味は？なぜ蛇？

世界保健機関（WHO）は、人間の健康を基本的人権の一つと捉え、その維持・回復を目的として48年に設立された国際連合の専門機関の一つ。スイスのジュネーヴに本部があります。

医学的な人類の病気の撲滅、予防活動はもちろん、そのための研究、医療・医薬品の普及や健康的なライフスタイルの推進も担う「地球規模の保健所兼大学病院」のような組織だといえます。公式サイトによると、世界を6つの地域に分けて管轄、150カ国に拠点があり、世界で7000人以上の職員が働いているそうです。WHOトップは、これもコロナ禍蔓延以降、連日テレビで見ない日はなく、色々と毀誉褒貶も多いテドロス事務局長（エチオピア出身）です。

WHOのロゴはなぜ蛇？

さてテドロス事務局長の記者会見やWHOの報道の際、よく背景などに見えるのがWHOのロゴマーク。下地は他の国連機関と同様に、淡い青の旗の上に白の図柄で描かれた世界地図です。これは国連の旗で、北極からみた地球の両側を平和の象徴であるオリーブの葉が包み込むデザイン。

WHOのロゴマークは、その国連旗の真ん中に黄色で蛇が絡まった杖が描かれています。健康や安寧な暮らしを求める組織なのになんで蛇？「世界征服を目論むショッカーぽいな！」と〝悪〟のイメージを持つ人もいるようです。WHOのロゴマーク・蛇の意味は何なのでしょうか。

WHO日本語版公式サイトの解説によると、「WHOのロゴは1948年に開かれたWHOの第一回年次総会で選ばれました。国連ロゴの中央にヘビが巻きついた杖が加えられています。この杖は医療と医師の象徴です。古代ギリシャのヘビを使う医術の神といわれたアスクレピオスの神話に由来したものです」となっています。

アスクレピオスはギリシャ神話に登場する名医。死者すら蘇らせるほどの超絶な医療技術を持ち、神の座にも就いたといわれることから、医学の分野での「神」や象徴的な存在となっているそうです。アスクレピオスが持っている杖には蛇が絡みついており、「アスクレピオスの杖」の名称で医学のシンボルとして世界中で用いられています。

蛇って悪者じゃないの？

アスクレピオスが伝説的名医なのは分かったとして、ではなぜ杖にくっついているのが蛇なのか。蛇は現代の都会などではまず見かけませんし、図鑑などで見る姿は、手足がなくヌメヌメした細長い体、ニョロニョロ動き不気味な顔つきで、毒を持つ種もいることから、多くの人には「気味悪い」「嫌い」な生き物の代表格でもあります。

しかし、蛇はそうした特徴ゆえに、世界中で古来「神の使い」として信仰の対象にもなってきました。ほ乳類にはない脱皮を繰り返す習性や、少ない餌でも長く生きること、毒で敵や獲物を殺すことから「死と再生の象徴」と考えられたわけです。古代ギリシャやエジプトでも蛇は生命力や王権の象徴とみなされ、彫刻や調度品に用いられた例が数多く残っています。アスクレピオスの杖、そしてWHOのロゴももこれに由来しているといえます。

WHOのロゴマークへのネットの反応

出典：twitter

まとめ

今回の記事をまとめると以下の通りです。

ギリシャ神話によると、アスクレピオスは極めて優れた医術で次々と死者を蘇らせたそうですが、それを見た冥界の王が、自分の領域から死者が取り戻されていくのは「世界の秩序（生老病死）を乱すものだ」と全知全能の神ゼウスに強く抗議。ゼウスも、人間が医術で互いに助け合うことを快く思わず、アスクレピオスを撃ち殺したそうです。

しかしその多大な功績からアスクレピオスは死後神として天に昇り、へびつかい座になったとか。「医学の父」ヒポクラテスら多くの名医を子孫に残したともいわれます。2020年の今、再びこの世に降臨して世界を悪疫から救ってくれないものでしょうか。