同じ日本に住んでいて日本語を話しているはずなのに、「え!今なんて言ったの?」と思う時がありませんか。
住んでいる場所や出身地が違ったら、聞いたことのない言葉を聞くことがあります。同じ言葉でもイントネーションが違って、「なんか違う」ということもあるでしょう。
各地方によってその土地だけの言葉ってあり、それが方言です。
逆にテレビやラジオでアナウンサーが話す標準語を日常的に話している人は、日本人の中でどのくらいいるのでしょう。
ほとんどの人は多少なりとも方言を使っていると思います。
自分の住む地域以外の方言を知っていると、初対面の相手でも「○○の方かな」と想像をすることができます。
そしてそれをネタに話が弾むこともあるのです。
全国の方言を知っておくとオトクですよ。
そこで、今回は「大分県の方言」を紹介します。
大分弁
大分県の方言は国東半島の東部で用いられる「東北海岸方言」と津久見市南部から豊後水道沿岸部で使われる「南部海岸方言」、日田市を主とする「西部方言」と別府市以北の「北部方言」、大分市以南の「南部方言」の5つに区分されます。
大分弁は中国地方や四国地方の言葉とよく似たところがあり、大分県西部の一部を除き、九州地方独特の「ばってん」「ばい」「たい」などを用いないところに大分弁の特徴があります。
「~だ」という語尾が「~っちゃ」になったり、「~ない」が「~ねえ」になったり、「~なの」「~だよ」という意味の語尾が「~やに」となったりするところも大分弁の特徴です。
あ行の大分弁
あ行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
あらまし | いいかげん おおざっぱ |
あんた、ほんとあらましやなあ(あんな、本当に大雑把だねえ) |
あんげ | あっち | |
あんたなー | ~ですね | 「今日はいい天気じゃ」「あんたな~」(「今日はいい天気だ」「ですね~」) |
あだむねをつく | 当てが外れる | 期待ばかりしちょると、あだむねをつくぞ(気体ばかりしてると当てが外れるぞ) |
あばかる | 収容できる | こんだけの服、あのケースであばかるかな(これだけの服、あのケースで収まるかなあ) |
~い | ~が。(主語を表す) | 雨いふっちょるけん、傘いいる(雨が降ってるから、傘が要る) |
いきたむながる | 行きたくないと強く思う | うちの子、学校に行きたむながっちこまる(うちの子、学校に行きたがらなくて困る) |
いころ | 根気 意気地 |
いころがのーなった(根気がなくなった) |
いちみちきちくりー | 行って見てきてくれ | ちょっち、いちみちきちくりー(ちょっと、行ってみてきてくれ) |
いっすんずり | 車のひどい渋滞 | この道はいつもいっすんじりじゃ(この道はいつも渋滞する) |
いぬる | 帰る | さあいぬろ(さあ帰ろう) |
いばかり | わがまま | いばかり言うもんじゃねえ(わがまま言うんじゃないよ) |
いびしー | 気味が悪い | 夜、墓場の近くを通るのはいびしー(気味が悪い) |
いみる | 数量が増える | 雑草がいみって困る(雑草が増えて困る) |
いら | うろこ | |
うたちー | 汚くていやだ | あそこのトイレはうたちー(汚くていやだ) |
うっせー | まずい | 今日のご飯はうっせー(今日のご飯はまずいなあ) |
えごんいーし | 愛想のいい人 | えごんいーしが好きっちゃ(愛想のいい人が好きだよ) |
えらしー | 可愛らしい | えらし~犬じゃな(可愛い犬だねえ) |
えーすろー | 相手にする ご機嫌を取る |
赤ちゃんのえーすろーのは面白い(赤ちゃんの機嫌を取るのは面白い) |
おじー | 恐ろしい | 夜道はおじーで(夜道は怖いよ) |
おしなぎい | もったいない | おしなぎいから食べよー(もったいないから食べよう) |
おっちょる | いる | 明日の昼、おっちょる?(明日の昼、いる?) |
おめれとごだいます | おめでとうございます | |
おらぶ | 叫ぶ | 海に向かっておらびたい(海に向かって叫びたい) |
か行の大分弁
か行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
かかれてください | 書いてください | 名前を書かれてください(名前を書いてください) |
かくうつ | 酒屋の店内で飲むこと | かくうっち行こう(一杯立ち飲みに行こう) |
かたる | 仲間に加わる | かてて~(仲間に入れて~) |
がいてー | 画鋲 | |
かやす | ひっくり返す | お茶をかやしちゃった(お茶をひっくりかえしちゃった) |
きちょくれ | 来てください | ちょっときちょくれ~(ちょっと来てください) |
~き | ~だから | 好きやき、付き合っちくれんかなあ(好きだからつきあってくれないかなあ) |
ぎしめく | 威張る | ぎしめいてばかりじゃ嫌われるっちゃ(威張ってばかりだと嫌われるよ) |
ぎっちょ | 左利き | |
ぎゅーらしー | たいそうな 大げさ |
そげーぎゅーらしいことじゃねーで(そんなに大げさなことじゃないよ) |
くされ | 意地悪 | あの人はくされやなあ(あの人は意地悪だねえ) |
くじまえじっぷん | 8時50分 | |
けちゅうら | ふざける人 | けちゅーらはでてください(ふざける人は出てください) |
けーまがる | くたばる | けーまがってっちゃ?(なぜくたばってるの?) |
けとろく | つまらぬこと | けとろくばかりやけん、帰るっちゃ(つまらないことばかりだから帰るよ) |
けんちょいき | 一張羅 | 今日の服は、けんちょいきやけん(今日の服は一張羅だよ) |
こばす | 気取って言う | そげーこばすな(そんなに気取って言うな) |
ごてーしん | 不精者 |
さ行の大分弁
さ行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
さかしー | 元気だ | いつもさかしーじゃねえ(いつも元気だねえ) |
さじー | すばしっこい 抜け目がない |
あの子はさじー子や(あの子はすばしっこい子だ) |
ざーねー だーねー |
非常に 多量に |
ざーねー雨がふりよる(大量の雨が降ってる) |
しんけん | 一生懸命 まじめに |
しんけん頑張った(一生懸命に頑張った) これ、しんけんおいしいっちゃ(これまじで美味しいよ) |
じりー | 道などがぬかって歩きにくい | 道がじりーじ、歩きにきいのー(道がぬかるんでるから歩きにくいなあ) |
すもつくれん | 役に立たない | このハサミはすもつくれん(このハサミは役に立たない) |
ずつねー | 苦しい 情けない |
思うようにいかんけん、ずつねー(思うように行かないから情けないよ) |
ずりきー | ずるい | そげなことはすりきー(そんなことはずるいよ) |
せる | 押す | この箱、せっちくれんかえ(この箱、押してくれないか) |
そーでー | そうだよ | 「今日はデート?」「そーでー(そうだよ)」 |
た行の大分弁
た行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
だぶとんどーど | ざぶとんをどうぞ | |
ちょくしばり | 酒を飲ませて恩に着せ自分の思うようにすること | この前ちょくしばりにおーち、自由にできんかった(この前酒で恩を着せられて、自由にできなかった) |
できられん | 絶対できない | あの人はそげなことできられん(あの人はそんなこと絶対にできない) |
とこなえ | 婿養子をもらった家付きの女性 | うちのひいばあちゃんはとこなえじゃ(うちのひいおばあちゃんはとこなえです) |
どべ | ビリ | 今度の徒競走はどべになりたくない(びりになりたくない) |
な行の大分弁
な行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
なおす | 片付ける | おもちゃなおして~(おもちゃ片付けて~) |
にごじゅー | お手上げ 降参 |
にごじゅうするけん、許して~(降参するから許して~) |
ねぶる | 舐める | 赤ちゃんはなんでも舐るっちゃ(赤ちゃんはなんでも舐めるよ) |
のきぶとり | 立ち退きの補償金で裕福になること |
は行の大分弁
は行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
はわく | 掃く | もっときれーにはわいて~(もっときれいに掃いて~) |
ひかり | 出し合いの会飲 | |
ひらくち | ふだんの物言い | あの人はひらくらじー話すきー楽じゃ(あの人は普段のように話すから楽です) |
へのつっぱりにもならん | 全く役に立たない | この本はへのつっぱりにもならん(この本は何の役にもたたない) |
ほげ | でたらめ |
ま行の大分弁
ま行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
むげねー | かわいそうだ | あの人はむげねえ人やな(あの人は可哀そうな人だなあ) |
めんどしー | はずかしい 面倒くさい |
こうなるとめんどしーわ(こうなると面倒くさいよ) |
やらわ行の大分弁
やらわ行 | 意味 | 例文 |
---|---|---|
やつがい | 晩酌 | |
よだきー | 億劫だ | よだきーけんど、やらにゃならん(億劫だけどやらなければいけない) |
まとめ
大分弁は、「おめれとごだいます」とか「たぶとんどーど」など幼児語のように可愛い言葉がありますね。
他にも「~っち」「とか「~っちゃ」など、とても可愛い方言が多いです。
大分県は九州にある県ですが中国地方や四国と一番近いので、九州弁というより広島弁や四国の方言と似ていますね。
関西の人にもなじみやすいのではないでしょうか。