日米のプロ野球でオープン戦が開幕。いよいよNPBでは今月下旬、MLBでは4月1日のシーズン開幕まで間近となりました。
8年ぶりにMLBから楽天に復帰した田中将大投手ら注目選手もてんこ盛りですが、その「スーパースター」マー君、キャンプでは後輩たちの先生役も務め、特に自身の〝女房役〟となる捕手陣には「フレーミング」の重要さを指導したそうです。このフレーミングとは?フレーミングが上手い捕手には例えばどんな選手がいるのか、動画とともにご紹介します。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)
野球におけるフレーミングとは意味は?
楽天キャンプで田中投手は、正捕手候補の太田光選手らに細かく丁寧に助言。その際、捕手にとって大事なのは、投手に気持ちよく投げさせるため大きな捕球音を出すことよりも、「フレーミング」だと語ったそうです。
専門家やマニア以外には聞き慣れない用語ですが、フレーミングとはMLBで使われている英語「framing」が語源で、直訳すると「枠にはめること」。野球で言えば、ストライクゾーンを示す本塁上の長方形の枠内にボールを収めるといった意味合いです。
これは捕手の捕球技術の一つで、投手が投げたストライクギリギリやわずかに外れる「際どい球」を、捕球の動作や姿勢を工夫することで審判に「ストライク」と判定させることを指します。
元来捕手の必須能力は「球をしっかり捕る、止める、投げる」こと。ミットを動かさずピタっと球を捕るのは昔から「上手い捕手」の条件でもあります。特に際どい球を捕る時ミットを動かすのは絶対御法度。ストライクゾーンの外側に動く(=ミットが流れる、垂れる)とボール判定になりかねず、逆に内側に動かす(=ずらす)と「審判を騙す侮辱行為」とみなされ、やはり「ボール!」と言われてしまいます。
しかし審判も人の子。上手い捕球姿勢などで自信満々にがっちり捕れば、逆に「お、捕手の要求通り投げたな」との印象を与え、際どいコースがストライクとコールされる例も増えます。このように「四角枠」の縁付近の微妙なゾーンでストライクを多くとれる捕手は「フレーミングが上手い」と評価されるわけです。
フレーミングが上手いキャッチャー3選
MLBでは10年ほど前から、技術進化で投球の軌道が詳細に記録されるようになり、捕球とストライクの関係がデータとして数値化可能に。フレーミングとはそれ以降、捕手の上手さを計る指標の一つとしてクローズアップされるようになったようです。
ヤディアー・モリーナ(カージナルス)
ゴールドグラブ賞9回、オールスター出場9回。引退後は殿堂入り間違いなしのMLB現役No1捕手。MLBでフレーミングが注目されるようになった先駆けの選手だとも言われます。自身も「投手の制球が悪い時はミットではなく体だけ少しずらしてポケットで捕球すれば、ボール球を10~12個くらいストライクにできる」と話すなど、以前からフレーミングの名手として有名です。
↓モリーナのフレーミング集
タイラー・フラワーズ(元ブレーブス)
もう数年前ですが、MLBのトラッキングシステムの計測で「際どいコースストライク率No1」となり、一時期「世界一フレーミング上手い捕手」と称された選手。ただ捕逸や失策が多く送球にも難がある、との評価もあるようです。
↓フラワーズらのMLB名フレーミング
古田敦也
日本球界でファンの多くが「歴代No1捕手」に挙げると思われるのがこの人。盗塁阻止率日本記録保持者で、捕球・リード・送球共抜群、ベストナイン9回、ゴールデングラブ賞10回。打者としても2000安打の名球会メンバーで殿堂入りも果たしている文字通りの「レジェンドキャッチャー」です。
現役時代のフレーミングの上手さは超一級品で、矢野阪神監督ら他の名捕手が「古田さんは上体でなく下半身で捕るので全部ストライクに見える」と舌を巻くほどだったそうです。
↓古田敦也直々のフレーミング指導
フレーミングに関するネットの反応
- 谷繁もまったく同じことを言っていたな。ボールをストライクにする技術ではないと
- これ理解してない、滑稽なミットずらししてる捕手って多いんだよね
- 古田はもちろん、谷繁のミットを下げないキャッチングや城島のブロックも凄かった。あの時代のキャッチャーには華があったな
- 古田のフレーミング技術は芸術的だった。石井一久の様なノーコン投手が大成できたのは、古田によるところが大きい
- 審判とコミュニケーションを取りながら、審判にも利益があることを提示して「味方」につけることは、野球に限らず重要だと思う
出典:ヤフコメ欄
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 田中将大が若手捕手にフレーミングの重要さを伝授。捕球技術の一つ
- 際どいコースの球を、捕球姿勢などを工夫してストライクに見せる技
- MLBの名手はモリーナ、フラワーズら。日本では古田敦也が断トツか
にわかに「フレーミング」がトレンドとして注目されているようですが、実はマイナーリーグを皮切りに「ロボット球審」導入が進む見通しで、将来は不要な技術になる可能性も指摘されています。
そうした意味もあり、元侍JAPAN捕手の里崎氏は「フレーミングより大事なのは、審判が見やすい捕球だ」と指摘。「球をハッキリ審判に見てもらうことこそ最も重要。そのために頭の位置、姿勢、ミットと体の距離などを工夫し常に審判とコミュニケーションをとることも必要だ」と説きます。
さらに「捕手は守備だけじゃダメ。打たないと一流とは言えない。そこははき違えないようにすべき」とも。若い捕手達は肝に銘じるべき言葉かもしれませんね。
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