サントリーの新浪剛史社長の「45歳定年制」夏季セミナーでの提言が大きな反響を呼んでいます。
45歳定年制とはどのような趣旨で出てきたもので、なぜ今後主流になる可能性があるのでしょうか?
それぞれ個人が今からすべきことは何でしょうか?
考えていきます。
45歳定年制とは?
45歳定年制とはどのような制度で、なぜ今なのでしょうか?
サントリーホールディングスの新浪剛史社長の「45歳定年制」を導入すべきだとの提言に賛否両論で沸いています。
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は経済同友会の夏季セミナーにオンラインで出席し、ウィズコロナの時代に必要な経済社会変革について「45歳定年制を敷いて会社に頼らない姿勢が必要だ」と述べました。 https://t.co/ReFXnrEop5
— 時事ドットコム(時事通信ニュース) (@jijicom) September 9, 2021
提言の趣旨は、日本企業が企業価値を向上させるため、「45歳定年制」の導入によって、人材の流動化を進める必要があるということで、その後、その真意を「首切りをするという意味ではない。早い時期にスタートアップ企業に移るなどのオプションをつくるべきだ」と説明しました。
なぜ45歳か
最優良企業のトヨタ自動車でさえ、社長が、「終身雇用の維持は難しい」と発言したそうです。
低成長の日本企業には、新卒採用と定年退職という両輪をバランス良く回していきながら終身雇用制度を、守ってゆくだけの体力がもはやないというのが経営者の本音ではないでしょうか。
コロナ禍の影響もあり、多くの企業で、早期退職の対象を「45歳以上」に拡大しているのが実情です。
では提言された新浪剛史社長のプロフィールを見ておきましょう(Wikipedia 参照)。
新浪剛史社長のプロフィール
確かに45歳あたりで、新天地に移っています。
年月日 | 年齢 | |
---|---|---|
1959年(昭和34年)1月30日 | 0 | 神奈川県横浜市に生まれる |
1980年(昭和55年)9月 | 21 | スタンフォード大学留学 |
1981年(昭和56年)3月 | 22 | 慶應義塾大学経済学部卒業 |
1981年(昭和56年)4月 | 22 | 三菱商事株式会社入社。砂糖部海外チーム配属 |
1991年(平成3年)5月 | 32 | ハーバード大学経営大学院修了(MBA with honors取得) |
1995年(平成7年)6月 | 36 | 株式会社ソデックスコーポレーション(現・株式会社LEOC)代表取締役就任 |
1999年(平成11年)7月 | 40 | 三菱商事株式会社生活産業流通企画部外食事業チームリーダー就任 |
2000年(平成12年)4月 | 41 | 同社ローソンプロジェクト統括室長兼外食事業室長就任 |
2001年(平成13年)4月 | 42 | 同社コンシューマー事業本部ローソン事業ユニットマネジャー兼外食事業ユニットマネジャー就任 |
2003年(平成14年)5月 | 44 | 株式会社ローソンの経営に専念するため三菱商事退職 |
2003年(平成14年)5月 | 44 | 株式会社ローソン代表取締役社長兼CEO就任 |
2014年(平成26年)8月 | 55 | サントリーホールディングス株式会社顧問 |
2014年(平成26年)10月 | 55 | サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長に就任 |
その間、海外留学や、社内のプロジェクトで、経営学をしっかり学び、転身に結び付けたのだと思えます。
その成功体験が45歳定年制に結び付いているように思えます。
入社して20年後を目指して研さんすれば、次のステップに踏み出せる能力はつけることが出来るという確信があるのだと思えます。
体力、能力的にも働き盛りで、新分野に果敢にチャレンジする気力も充実している年代だと言えます。
なぜ今後45歳定年制主流になるといわれるのか?
政府は、高年齢者雇用安定法で、60歳未満の定年を禁じ、65歳までは就業機会を確保することを企業に義務づけ、さらに、70歳までの就業機会確保も努力義務とするなど、定年を延長して元気な高齢者に働いてもらい、少子高齢化による介護制度や、年金制度の破綻を防ごうとしていたはずです。
ただ、個人差によるとはいうものの、どうしても平均的には、高齢化による知力、体力の衰えはあるというのが、企業経営者の本音です。
実際コロナ禍の影響もあり、業績が悪化する前に、多くの企業で、対象を「45歳以上」に拡大している早期退職を行う企業が多数あります。
企業経営者としては、45歳定年制として、入社時から、目標を持って自己研鑽に励み、実力をつけてもらえば、たとえ退社するとしても、社内の活性化、豊富な人材の確保につながると考えていると思われます。
実際少子化で、市場が縮小し、成長力に劣る日本で、65歳までの期間人材を抱え続けることのできる余裕のある企業はどれほどあるでしょう?
入社して、40数年その企業が安泰だという保証は、従来以上にないというのが現状です。
個々人としては、45歳定年制や会社の業績悪化に備え、45歳までに外で戦えるという能力と社外のつながりをつけることしかないようです。
45歳定年制に関するSNSの反応
- 45歳定年制 どうだろ? 高い年収と退職金、副業可能を約束され、若い時の雇用ならそれもありかな? 会社員になる意味が薄れるように思う まあ、実力主義にはなるから生産性は上がるよね。 働く事って元気の源にもなるんだけどなぁ
- コロナ禍で成果主義やジョブ型雇用への移行は加速中なので、45歳定年制になってもいいだけの自己啓発に励んだ方が人生の選択肢も増えるのですよね。 ただこのポジティブな考え方は、仕事が嫌いだったり、楽してお金を稼ぎたい層には難しいとも思います。
- 45歳定年制ねぇ…20代では結婚・育児できる金銭的余裕がないって声も多いのに、45で定年なんて言ったら、いつ結婚して子供育てるの?って思っちゃう。 それこそ学費や育児関連全部国持ちくらい思い切らないと、少子化がめっちゃ加速しそうな気がする。
- 日本企業の三種の神器(終身雇用・年功序列・御用組合)は、既に崩壊が始まっているので、同じ会社に長く留まるサラリーマンほど、人生のリスクが上がる時代なのですよね。 私は船(会社)と一緒に沈没したくないので、10年前に独立し生涯現役で生きると決めました
- 定年制というのは、企業側を縛る雇用保障制度。 労働者は守られているだけで、何ら選択肢を縛られているわけではありません。 定年の引き下げに賛成する労働者というのは、まさに「肉屋を支持する豚」さんですね。
出典:ヤフコメ
まとめ
- 45歳定年制とは日本の企業の企業価値を向上させるため、人材の流動化を進める必要があるとの趣旨
- 少子化、市場縮小の日本で、企業が、65歳を超える終身雇用制度を今後も維持できるとは考えられず、現実に多くの企業で早期退職が45歳以上で実施されている
- 人生の選択肢が増えるとのポジティブな意見と、日本の現状ではありえないとのネガティブな意見が錯綜している
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