変化していく高校野球。100回を超える歴史ある大会ですが、時代の流れや環境の変化によって高校野球のルールの見直しなどが行われています。
あまり高校野球を見ない人でも、最近「延長に次ぐ延長戦の結果○○高校が勝ち進むことが出来ました」的なニュースって聞かないなぁと感じると思います。
ここでは
高校野球の延長ルールは最新何回まで?
延長戦の過去最長は一体何回?
について調べてみました。
高校野球の延長ルール最新は何回まで?
時代とともに見直しや変更が行われてきた高校野球。
高校野球の延長ルールの変更についての経緯を調べてみました。
高校野球に延長回数の上限や試合を打ち切るルールがはっを存在しなかった頃、
徳島商業高校の投手であった板東英二さんは延長16回を投げ、その翌日延長25回を1人で完投するという偉業を成し遂げました。
2日間で41イニングを投げたこの試合をきっかけに
第40回全国高等学校野球選手権大会から
「延長18回を終えて同点引き分けの場合はその時点で試合を終了し後日再試合を行う」というルールができました。
そのルールのもと、第80回大会ではPL学園の松坂大輔投手が延長17回で250球投げる力投を見せたのですが
選手の肘や肩など体への負担を考慮し2000年の第82回大会から延長を18回から15回に短縮するルールに変更となりました。
後に熱中症対策など選手の体調への考慮から2018年の選抜高校野球大会から延長13回以降タイブレーク制が導入されることとなり
今年からは決勝戦でもタイブレークを実施することとなりました。
タイブレークルールとは?
高校野球での最新のタイブレークのルールを調べてみました。
タイブレークは13回から
■タイブレーク導入開始は延長13回から
9回で勝敗がつかない場合は延長戦に突入します。
そして延長12回が終了しても同点の場合に13回からタイブレークとなります。
タイブレークのルール
タイブレークどのようにはじまるのか?
延長13回はノーアウト/走者1・2塁 から試合がスタートします。
打順は12回終了時を引き継ぎ、打者の前の打順の選手が1塁・2塁走者となります。
延長15回以降はどうなる?
タイブレーク開始後15回を終了しても決着がつかない場合はそのまま試合を続行します。
ただし1人の投手が登板できるイニング数は15イニングが限度です。
引き分け再試合制度はなくなり、勝敗が決まるまでタイブレークを繰り返し試合をします。
103回大会からは決勝戦であってもタイブレーク制で行うこととなりました。
高校野球の延長過去最長は?
高校野球でいままで一番長い延長戦はいったいどんな試合だったのでしょうか。
野球史上最長の延長戦が行われたのは2014年の第59回全国高校軟式野球選手権大会です。
岐阜県の中京高校対広島県の崇徳高校の準決勝戦がなんと延長50回の末、中京高校が決勝に勝ち進みました。
軟式野球は”もう一つの甲子園”とも言われています。
8月28日に始まった中京高校対崇徳高校との準決勝は延長15回を終えても0-0の同点だったため
翌日再試合とするサスペンデッドとなりました。
29日は延長16回から始まり30回まで0-0のまま翌日再試合となり、結果4日目まで再試合となってしまいました。
この試合は大きなニュースにもなり注目を浴び、球場で世紀の大激戦を一目見ようと多くの観客が球場に集まりました。
ですが延長50回にも及んだこの試合
特に4日間で50イニングを投げ抜いた松井投手と石岡投手の投球数は松井投手は709球、石岡投手は689球にも達してしまいました。
肩や肘など身体への負担はもちろんですがそれ以上に選手たちの精神的な負担も相当激しかったようです。
決着がつかず「また明日もやるのか…」という気持ちになって途中諦めかけたり、
試合のことをあまり覚えていなかったりするところもあったそう。
気力というか精神力で頑張り続けたのでしょうね。
記録にも記憶にも残る名勝負ではあるのですが
正直何事もなくて良かったなというのが個人的な感想です。
※中京高校投手:松井大河選手のインタビュー記事
https://wpb.shueisha.co.jp/news/sports/2014/09/07/35498/
現在の問題点は?
選手の体調管理や試合時間の短縮による熱中症対策として導入されたタイブレーク方式ですがいろいろな意見があるようです。
高校野球におけるタイブレーク導入の問題点についての意見を拾い上げてみました。
問題点1:高校野球ならではのドラマがなくなってしまう
確かに前述のように記憶に残る名勝負には極限に近いところまで続いた延長戦を投げ抜く投手の姿がありました。
高校野球からその後プロ野球選手となったPL学園:松坂大輔投手や
駒大苫小牧:田中将大投手と早実:斎藤佑樹投手の攻防戦など思い出す方も多いと思います。
一生懸命抑えようとする投手の気迫を感じるシーンが少なくなってしまうと高校野球の醍醐味がなくなってしまうのでは という意見が多くありました。
問題点2:意図的に決着をつけさせることに抵抗がある
走者を1.2塁に配置してから始まるゲームは攻撃側には得点のチャンスですが
逆に守備側から言えば失点のピンチの状況から試合が始まるわけです。
ノーアウトなので送りバントで走者を進めればスクイズのチャンスも生まれる、
まさに得点を得て試合を動かす場面を作り出させる
その作為的な状況が受け入れられないという意見がありました。
問題点3:投手への負担や成績に影響する
投手からすると、ノーアウト満塁一打サヨナラの場面からいきなり投げるのは精神的な負担が大きいし
通常の試合ではない展開のためタイブレークの結果を投手成績に加えるのはどうなのかという意見もあります。
いろんな意見のあるタイブレークですが、実は中学硬式野球やシニアリーグなどでも多少のルールの違いはあれどタイブレーク方式で試合を進めているのが現状です。
過去の名勝負と言われる状況もタイブレークも1点を争う試合であることに変わりはないと思うのです。
確かに「必死にやってる本人達を差し置いて体力面、安全面から規制しようとする」と感じる人は少なくありません。
そもそも選手の肩肘問題に関してはタイブレークだけで解消されるわけでもなく
投手の球数問題やそもそもの連投が必須となってしまう日程や天候不順への対応策など
今まで普通としていたものに対して今一度考え直す過渡期に高校野球があるのではないかと感じました。
高校野球の延長ルールに関するSNSの反応
- タイブレークってハラハラ過ぎて観てる方も疲れる。やってる方はもっとしんどいだろうなぁ。
- 高校野球はタイブレークとかいうルールできてからめっきり見なくなった 選手の負担減らすためとわかってても、つまらないものはつまらない
- 高校野球では「選手の健康を守るという点を優先させなければならない」とか言って、野球を壊してタイブレークや球数制限取り入れるなら 日程も限られる大会だし、熱中症対策なら「甲子園球場じゃなくてドームでやれや」と思う
- 『タイブレーク制度』今までいろんな名場面が生まれてきた高校野球の延長戦が無くなる可能性がある。 選手の負担は無くなっていいかもしれないが、タイブレークで 勝負が決まっても納得できないと思う
出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 高校野球の延長ルールは12回まで。13回からはタイブレークを導入している
- ノーアウト・ランナー1.2塁のいわば得点チャンス・失点ピンチ状態から始まるタイブレーク。選手の体調面への考慮と円滑な試合日程消化のために2008年から導入
- 今まで最長延長試合となったのは軟式野球の中京高校対崇徳高校の試合。4日間にわたる延長50回にも及んだ試合は世界一の最長試合となった
今までの練習の成果を出し切れるよう必死に白球を追いかける選手の姿にはどんな展開でも感動しかありません。
タイブレーク方式によって意図的に試合が運ばれる展開も選手たちはきちんとわかっていてそれなりに作戦や練習も重ねていると思います。
最近の異常なほどの暑さの中での体調管理の問題や
投手への負担軽減のために導入されたタイブレークというルールを
試合を見る側も理解を深めていきながら楽しめるようになるといいなと思いました。
この記事を見ている人は以下の記事も見ています
甲子園2021の地元出身率ランキングを出してみました。 地元の定義が難しいところもあるのですが(例:専修大松戸(千葉)で江戸川区(5,6㎞)出身の子が多い等。ちなみにこの事例は地元に含めました) 当サイトで集めた情報から、地元出身率でラ[…]
第103回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園2021)が来週開幕します! このほど49代表校によるオンライン抽選会が行われ、組み合わせも決まりました。今回は「甲子園直前吉例」夏の甲子園優勝予想をお届けします。主な予想サイトを集計した「[…]
昨年はコロナ禍のため中止になってしまった春のセンバツ甲子園高校野球大会。今年の第93回選抜高校野球大会は、予定通り3月19日に開催される方向で準備が進められています。 ただしやはりコロナ禍が収まっていないため、様々な制限の中での異例な[…]