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岡崎慎司『未到 奇跡の一年』感想文:ミラクルレスターの快進撃の裏話と岡崎慎司の強靭なメンタル!

レスターのプレミアリーグ制覇は、歴史に残るセンセーショナルな出来事として世界中で報じられた。

前線からの連動したプレスと堅い守備、奪ってからロングカウンターで点をもぎ取って勝ちきるサッカーは魅力的で、僕も優勝が決定する最後の数試合はケーブルTVに張り付いて応援をしていた。

昇格してきたばかりのレスターがどのようにして奇跡の優勝を成し遂げたのかがずっと気になっていたが、その内情が詳しく書かれているものが少なくてずっとモヤモヤしていた。そんな中見つけたのが岡崎選手が書いた『未到 奇跡の一年』だ。今日はそんな奇跡の裏側に迫る作品の書評をさせてもらいたいと思う。

未到 奇跡の一年

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あらすじ

プレミアリーグ優勝。

レスター躍進を支えながらも葛藤し、
考え続けた岡崎慎司が綴る「奇跡の一年」の真実
「世紀の番狂わせ」「サッカー史上最大のサプライズ」……
さまざまに形容されるプレミアリーグ・レスターシティのリーグ制覇。
「降格候補」だったチームはいかにして歴史的快挙を達成させたのか。
ラニエリ監督のチーム掌握術、ヴァーディ・マフレズのすごさ、ウジョア、インレルらチームを支えたメンバーたち、
そして岡崎慎司がレスターにもたらしたもの。
「憧れの地だった」と語るプレミアリーグ1年目、
その戦いを岡崎慎司の視点で書き下ろす、渾身の一冊。
プレミアリーグ優勝を成し遂げたあとの「未到」の境地とは。
引用:amazon

イングランドプレミアリーグのレスターシティに所属する岡崎慎司選手が、自身のプレミアリーグ一年目の挑戦と、チームとしてのリーグ制覇までの軌跡が描かれている。

ブンデスリーガのマインツにてFWとして一定以上の評価を得ていた岡崎が、どのような決意でプレミアに臨んだのか、さらに新しい環境で岡崎がどのようにチームに馴染んでいったのかがわかるので、1ページ目から最後のページまでずっと興奮状態で楽しめる作品だ。

感想

読んでいて一番驚いたのは、岡崎選手の状況に応じたメンタルのコントロールだ。

スタメンから外された時に落ち込むのではなく、外されることすら予期して準備をしておくメンタル。いちいち一喜一憂するのではなく、心に波風を立てずにやるべきことに集中する姿は頼もしい。

また、チームプレイに徹して献身的なプレーが評価されていた時に、その評価に甘んずることなく得点を狙っていくメンタル。勝利しても、価値を認められても気が狂いそうになるくらい悔しいと感じる事。一度点を取ると決めたら俺によこせと全力でコミュニケーションを取ろうとするメンタルも熱い。

そして、この本を書いている時のメンタル。レギュラーでプレーしつつ、プレミアリーグで優勝という偉業を成し遂げたにもかかわらず、タイトルにあるように未到達で成し遂げていないと思えるメンタリティーには脱帽だ。

優勝の瞬間、ヴァーディの家での観戦時は信じられないくらい喜びを爆発させていたようだが、やはり、自らの点でチームが勝たないと満足できないというメンタルがきっと岡崎選手を成長させるのだろう

また、苦労人揃いのチームメイトとの関係性が描かれているのも魅力だった。

ヴァーディが意外と冗談が好きだったり、飲料水・ドリンクウォーターに激しくプレーを要求したら驚かれたり、10人近くで旅行に出かけたりもするそうで、素顔の部分が見えてくるのも読んでいて楽しい。

レスターの活躍の陰に、ラニエリ監督の人柄や、ライバルのウジョアの存在。自分が試合に出れていなくともアドバイスをくれるチームメイト・インレルの存在などが大きく関わっていたことも、感謝の言葉と共に描かれている。てかもう単純に岡崎って性格良いよね。普通に友達になりたいわ、笑。

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ラニエリという監督

もう一つ非常に興味があった点として挙げられるものが、監督のラニエリの存在だ。

2部から昇格してきたチームが、プレミアの強豪たちを抑えて優勝するのは異常なことで、その異常事態の中心にいた人物がラニエリ監督ということになる。一体どのようなチーム作りをしていたのか興味があるが、それが岡崎の視点から描かれている。

 

驚くべきことに、守備の約束事は細かい指定があったそうだが、攻撃に関する約束事がほとんどなかったそうだ。え、それマジで奇跡じゃね?とむしろ引いてしまった、笑。「三角形を作れ!」くらいのむしろ小中学生に対するレベルの指示のみだったようだ。監督としては不安だが…笑。

恐らく残留に照準を合わせていたので、守備固めを重視したチーム戦術にしたのだろう。そんな中で攻撃陣に自由を与えていたら、ヴァーディマフレズの得意とするプレーに周囲が合わせる形でチームがまとまっていったようだ。流石にここまで上手くいくとは思っていなかっただろうが、自分のやりたいサッカーを押し付けるのではなく、適材適所に人を配置するサッカーをするラニエリの良い面がこの奇跡を引き起こしたともいえる

最後に

2016-17シーズンのプレミアリーグもすでに始まっている。

多くの移籍報道が生まれた中で、フォーメーション的に肝になるカンテの移籍は非常に厳しい影を落とすのではないかと懸念しているものの、きっと今シーズンも楽しめるサッカーを展開してくれると信じている。

世界で大人気になったレスターだが、僕は今シーズンもレプリカユニフォームを着てTVの前で応援したいと思う。歴史あるリーグで起きた奇跡の強さの秘密に興味を引かれる方は、ぜひこの本を手に取ってみてはどうだろう

きっと、リーグ優勝という夢の続きを味わうことが出来るはずだ。

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