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野良猫に餌をあげると犯罪になる?動物愛護の観点からも解説

街で見かけるかわいい野良猫たち。
猫好きな方だと、触ったり餌をあげたりしたくなるのではないでしょうか。

ただ世間的には「野良猫に餌をあげる」行為をよく思っていない人がいるのも事実。
もしかして、野良猫に餌をあげることは、違法だったりするのでしょうか?

今回は、野良猫に餌をあげると犯罪になるのか?についてお話します。

野良猫に餌をあげると犯罪?

野良猫に餌をやること自体を禁止する法律はありません。

むしろ、野良猫だろうが飼い猫だろうが、動物愛護法上、虐待や遺棄から守られるべき存在です。
猫を大切に思う気持ちからの餌やりは、動物愛護法の趣旨に合致する行為と言えます。

しかし、野良猫への餌やりは違法ではありませんが、独自に禁止する自治体もあります。

野良猫の餌やりによる近隣トラブルは非常に多いのです。

野良猫の鳴き声がうるさい、敷地内に糞をされた、車を傷つけられたなどの苦情が、自治体に多く寄せられているのも事実。

動物愛護法なども引き合いに出され、裁判沙汰にまで発展してしまうことも少なくありません。

京都の荒川区では、区の条例として良好な生活環境を確保する施策の一環として、野良猫などに対する餌付けを実質的に禁止しています。

具体的には、餌付けによって野良犬や野良猫などの鳴き声や糞尿被害で住環境を悪化させ、近隣住民から苦情が生じるような状況にさせてはならないとしています。

このような状態になった場合、自治体から勧告を発し、それでも改善されない場合は、罰金を科すという内容となっています。

動物は愛護すべき存在であると同時に、野良猫などの動物が増えれば、その地区における衛生環境などの悪化が懸念されます。
野良猫などの動物に餌を与える前に、自治体の条例を確認して、どのように接するべきか判断するようにしましょう。

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条例違反で罰金の可能性も

以前、京都市が審議中だった「動物による迷惑等の防止に関する条例」案が、野良猫への餌やりを禁止する条例だとして話題になりました。

最終的に、この条例には修正が入り「市民等は,所有者等のない動物に対して給餌を行うときは,適切な方法により行うこととし,周辺の住民の生活環境に悪影響を及ぼすような給餌を行ってはならない」という形で落ち着きましたが、適切、不適切の定義はあいまいです。

現在、京都市だけではなくほとんどの市町村が、野良猫の排泄物の適正な処理や、地域猫としての管理など、近隣住民に迷惑を掛けないための条例を定めています。

先ほどの京都市の条例には罰則規定があり、不適切な餌やりをして市長の勧告・命令に従わなかった場合は「5万円以下の過料に処す」とされています。

動物愛護法を含め野良猫の餌やりは、法律違反ではありません。
ただ、餌の食べ残しや糞尿を放置することによって起こる近隣住民からの苦情通報後、市からの勧告、指示に従わなかった場合は、「条例違反」となり、罰則が科せられる可能性は十分にあります。

あくまでも動物愛護法律違反ではないが、餌やりを推奨しているわけでないということを認識しておく必要があります。

最近では、猫の迷惑な行為を防ぐため「野良猫を捕獲し」「不妊・去勢手術を行い」「元の場所に戻す」ことで、猫の数を増やさない活動が進められています。

こうした活動は、猫を手なずけるための日ごろからの餌やりが前提です。こういった活動は適切な給餌といえるでしょう。

「餌やり禁止」では「野良猫」は減らせない

野良猫に困っている方の中には、「餌やりをするから野良猫が増える」と考える方も少なくありません。
本当に餌やりを禁止すると野良猫は減るのでしょうか。

実は餌やりの禁止は野良猫問題がより深刻になることが予想されます。

お腹を空かせた猫は餌を探して家に侵入したりゴミを漁ったりするようになり、人の生活環境に悪影響をおよぼす可能性があります。
次に、動物は空腹が続くと生存本能が強化され、繁殖を優先するようになります。猫は非常に繁殖能力が高いので繁殖機会を増やすことになれば、多くの野良猫が生まれてしまう可能性があります。

餌を与えないことが野良猫の繁殖に繋がるかもしれないとはいえ、むやみに餌やりをしてはいけません。

何も考えずに野良猫に餌を与えるその行為が、野良猫の繁殖、ひいては殺処分につながってしまいます。

「エサはあげるけど、しつけや不妊手術、糞尿の世話や生まれた子猫のことなどは知りません」というスタンスで野良猫と接すると、その結果、エネルギーの余った猫たちが交尾行動に走り、救われない命を産み落とすという悪循環が生まれてしまうのです。

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野良猫に餌をあげてはいけない?地域猫ならいいの?その違いは?

猫を見ると、つい触りたくなったり餌をあげたくなったりする人はいませんか?
外をうろうろしている猫で飼い主がいない場合は、「野良猫」と「地域猫」に分けられます。

店先や公園などで「野良猫に餌を与えないでください」という貼り紙や看板を見かけることがあり、自治体によっては野良猫の餌やりに対する条例や規則が決められているところもあるので、野良猫に餌をあげることをためらう人も多いでしょう。
しかし、地域猫といわれる猫たちには、堂々と世話して餌をあげている人もいます。

野良猫と地域猫はどこが違うのでしょうか。野良猫には餌を与えないようにといわれる一方で、なぜ地域猫なら餌を与えても良いのか解説していきます。

野良猫に餌を与えてはいけない理由は?

野良猫とは飼い主がいなくて、ごみ箱を漁ったり人間が食事をしている場所の近くでうろついたりして自分で餌を探しているような猫です。トイレの場所も決まっておらず、どこでも糞尿をして、自由に繁殖活動も行うので野良猫はどんどん子孫を増やしていきます。
そんな野良猫たちがお腹を空かしていては可哀そうと1度でも餌を与えると、また次を期待して猫が来るようになります。次第に仲間も連れてくるようになり、どんどん多くの猫が集まってくるようになります。
猫が集まると繁殖行動も活発になり、野良猫がさらに増えることになるのです。

そして餌が欲しいと催促して鳴き続け、所かまわず糞尿をします。騒音や悪臭だけでなく、猫が苦手な人や猫アレルギーを発症する人もいるので、近隣の人たちにとってはとても困った状況になります。

困った近隣の人たちは、直接その餌をあげている人にやめるように言ったり、自治体や保健所などに苦情を言うなど何らかの問題が出てきます。それですんなり問題が解決すればよいのですが、餌をあげている人は親切心であげている気持ちがあり罪の意識がないことが多いので、トラブルに発展することも少なくありません。

自分で餌を確保しなければいけない野良猫にとって、餌を与えられるのはとてもうれしいことです。それに猫は我慢強く、たった一度の餌やりでも1か月くらい通い続けることもあります。複数回餌をあげ続けると、長い間野良猫のたまり場になってしまうので注意が必要です。

地域猫とはどんな猫?野良猫との違いは?

〈地域猫の特徴〉

地域猫ももともとは野良猫です。野良猫を「地域で飼っている猫」として接しているのが、「地域猫」です。
野良猫はごみを漁ったり人間の食べ物を狙ったりしますが、地域猫はそのようなことをしないように、地域ボランティアの人たちが決まった時間に決まった場所で餌を与えています。そうすることで、野良猫のようにごみを漁ることもなくなります。
そして食べ終えたらさっと片付けてきれいにし、食べ残しの餌を何も残らないようにするので、虫や菌を寄せ付けることもありません。

次に野良猫なら所かまわずする糞尿ですが、地域猫は地域ボランティアの人たちが協力し合って、猫のトイレを決めてそこでするように促し、トイレ以外の場所でした場合もボランティアの人たちがきれいに片付け、悪臭や不衛生にならないように努めています。

繁殖問題に関しても、地域猫の場合はボランティアが避妊手術や去勢手術を受けさせて子どもができないようにするので、手術を受けた猫たちに子供が生まれることはありません。手術を受けた猫は耳に切り込みを入れて、見分けるように工夫されています。手術は動物病院で行われ、費用は寄付金などで賄われます。

猫はもともと警戒心が強い動物で、行動範囲はあまり広くはありません。オス猫で半径500m程度、メス猫で半径50m程度です。オス猫でも去勢をして入れば、もっと行動範囲は狭くなります。
野良猫の場合は、近くに餌を得ることができなければ餌を求めて遠くまで足を運ぶこともあります。
その点、地域猫は餌をいつも与えてもらえるので、その食事場所からそれほど離れることがないことも特徴です。


このように地域猫というのは、猫好きのボランティアの人たちが、もともと野良猫といわれていた猫たちを地域で責任をもって飼育している猫たちのことを言うのです。
地域の方にきちんと管理・飼育されている地域猫たちは、きちんと食事をして決まった場所で排泄をし、去勢・避妊手術もしているので周囲の生活環境に悪影響を与えることはありません。

野良猫に餌をあげたければ地域猫と同じようにすることが大切

猫が可愛くて餌をあげたいなら、地域猫を世話するボランティア団体に参加するか、周囲の迷惑にならない場所で、地域猫のように決まった時間に決まった場所で餌を与え、食べ終えたらすぐにきれいに片付けることを怠らないようにします。
排泄場所も決めて、所かまわず排泄する猫をうろうろさせないようにすることが大切です。
そしてできれば去勢・避妊手術をするようにして野良猫を増やさないようにすれば、周囲に迷惑をかけることなく野良猫に餌をあげることができます。

しかし自分一人で毎日決まった時間に餌を与えて排せつの始末をし、去勢・避妊手術をすることは容易ではありません。地域猫なら複数人のボランティアが交代で世話をすることが可能です。
そのためどうしても猫に餌をあげたければ、個人で責任をもって野良猫たちの世話を続ける覚悟を決めるか、既成の地域猫のボランティアに入るか、新規に野良猫を地域猫にする団体を作るかのいずれかの方法を採れば、安心して堂々と猫に餌を与え続けることができるのです。

まとめ

野良猫の餌やりについては、非常に難しい問題です。
餌やりが動物愛護の一環だとしても他人に迷惑をかけて良いわけではありません。

いずれにせよ、猫が好きではない人、野良猫に困っている人への配慮が求められています。

「野良猫は愛護動物であるため餌やりは禁止されていないこと」
「適切なやり方であればむしろ餌やりは行うべきであること」
「個体数を管理するため不妊・去勢手術は絶対に行うべきであること」

このあたりを住民全員で意識して、地域の快適な生活を保っていきたいですね。

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