2021年、メジャーを代表する投手としてヤンキースから電撃日本復帰した楽天の田中将大投手。先発陣の柱としてフル回転したシーズンでしたが、ここまでわずか4勝と「内容はいいのになぜか勝ち星が少ない」状態です。
とりわけ後半戦はいまだ勝利なし。その最大の要因は田中投手の「援護率」が非常に低いためだといわれます。この援護率とは?ファンの間で囁かれる「マー君ムエンゴ病」の意味も探りました。(出典:Wikipedia、スポーツメディアなど)
田中将大の援護率がやばい
10月17日、今シーズン22度目のマウンドに立った田中将大投手は、今季最短となる5回途中、ワーストタイの5失点で降板。敗戦投手となり8敗目。これで7月13日の今季4勝目を最後に9試合、3カ月以上も白星から見放されています。
しかし投球内容を見ると決して「炎上」「打たれまくった」ような成績ではありません。パリーグでは16日時点で11人しかいない規定投球回数をクリアしたピッチャーの一人で、防御率は4位の2.90。
6回を3失点以下に抑えるクォリティスタート率も76.2%の3位とさすがの安定度です。それなのになぜなかなか勝てないのか。理由は「援護率の低さ」が一つに挙げられそうです。
この援護率とは何なのか、最新ランキングとともに見てみましょう。
援護率とは?計算方法
投手にその試合の「勝利・勝ち星」が与えられる条件は様々ですが、共通するのは先発にしろ救援にしろ、マウンドを降りた時点で「自軍の得点が相手より多い」こと。
つまり、いくら1失点完投の素晴らしい投球をしても、味方が0点なら敗戦投手になってしまいます。逆に5回9失点と大炎上しても、そこまでに味方が10点以上取っていて、最終的に試合に勝てば勝利投手になるわけです。
しかし今でも勝利は投手の大きな勲章であり、最多勝は誰もが目指すトップタイトル。好投手であればあるほど、味方野手は何とか打撃で援護して勝たしてあげたいと頑張るのが常です。
これを数字で表したのが「援護率」です。言葉で説明すると「その投手が投げている間に味方が取った得点を、一試合(9イニング)に換算したもの」。即ち「その投手が一試合当たり何点援護されたか」を示すともいえます。
計算方法は簡単で、その投手のシーズン合計援護点(投げている間にチームが取った得点)を、全投球回数で割り9を掛けます。
2021年援護率ランキング
では10月16日時点での最新のパリーグ援護率上位ランキングをご紹介しましょう。(出典は「データで楽しむプロ野球」、https://baseballdata.jp/pengor.html)
1位 宮城大弥(オリックス) 4.23
2位 岸孝之(楽天) 4.21
3位 加藤貴之(日本ハム) 4.10
そして何と、田中将大投手はリーグ最下位、唯一2点台の2.32となっています。これでは仮に6回を3点に抑えても、そのまま試合に負けると敗戦投手になったり勝利が付かないケースが多くなるのは当然です。
援護率データ比較
田中将大投手自身の援護率データを比較してみると、例えば2013年、24勝無敗の伝説を残したその年は、援護率6.08とリーグトップ。防御率は1.27でしたので、毎試合がお釣りが十分くるほどの快投乱麻だったといえます。
これに対し、今季の田中投手は援護率2.32、防御率2.90と自責点だけでも援護点を上回っており、〝孤軍奮闘〟してもなかなか勝てない状態が続いています。
その上、今季楽天打線は13年に比べると得点力がやや下。10月16日時点でチーム打率は2位の.246ですが、得点512はリーグ4位。13年のチーム打率.267、得点627(いずれもリーグ2位)より「援護力が弱い」のは確かです。
田中将大の援護率はなぜ低いのか?
田中将大=マー君といえば、楽天や日本球界にとっては「勝利の神」。13年の24連勝無敗の日本記録はまさに「マー君がマウンドに立てば勝てる」を体現していたといえます。
その同じ田中将大投手が、今年に限っては良い投球をしてもなぜか勝てず。同じく先発陣の岸、則本投手らはそれなりに勝ち星を重ねているのに、なぜ田中投手に限って援護がないのでしょうか。
13年にチームメイトだったあるOBは「野手たちが緊張して結果を出せてないのでは?」と一説を語っています。
日本復帰した田中投手は今やバリバリのメジャーリーガーであり、数々の記録を打ち立てた伝説的存在。楽天の現役野手は年下ばかりで、「田中将大」は去年までTVで見ていたいわば雲の上のレジェンドです。
そんな田中投手がマウンドにいると「絶対勝たせなければ」というプレッシャーが大きすぎ、力が入ってむしろヒットや長打が出にくくなってるのでは、というわけです。
↓「佐々木朗希君末恐ろしい」と絶賛。勝てない自分を「15年目で新たな試練」と謙虚なマー君
ムエンゴ病とは?
こうした「いい投球をしても援護がなく勝てない」投手を、ファンは「ムエンゴ病」と呼びます。
「無援護」という言葉自体は昔からあり、例えば昭和の大エース江夏豊氏の「13回完投負け」や、三浦大輔、黒田博樹氏ら最優秀防御率に輝きながら勝ち星が少ない「貧打チームの好投手」の形容詞でした。
最近では今季投手タイトル総なめの絶頂期にある山本由伸投手もムエンゴ病の代表格。昨年まで所属のオリックスは貧打に苦しみ、山本投手が抜群の投球をしても負けることがしばしば。援護率は19年2.36、20年3.09と2年連続リーグワーストで、ファンからは「ムエンゴ病酷すぎ」と同情の声が溢れていました。
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- 楽天・田中将大が17日登板もまた勝てず。3か月以上勝ち星に見放される
- 防御率、QS率は安定しているのに、なぜか味方が点取れない「ムエンゴ病」
- 援護率は2点台でリーグワースト。超レジェンドで若手野手が緊張しすぎ?
甲子園やプロ野球、メジャーリーグで長年活躍し、日米通算170勝を挙げた「平成の怪物」松坂大輔投手が、ついに今季限りで現役を引退します。 ファンとしては最後に目に焼き付けておきたい松坂大輔投手の引退会見はいつ、何時からでしょうか。視聴媒[…]