コロナ惨事の渦中にある私たちが、是非知っておくべきショックドクトリンの意味を理解しましょう。
「惨事便乗型資本主義」、「火事場泥棒資本主義」とも呼ばれ、これまで、ハリケーン・カトリーナ災害での、ニューオーリンズの教育システムの劇的変革など数々の大災害後に具体例があるとされています。
では、現在の日本で何を心配すべきなのでしょうか?考えてみましょう。
ショックドクトリンとは意味は?
ショックドクトリンとは、2007年にカナダのナオミ・クライン(ジャーナリスト)が書いたベストセラーThe Shock Doctrineにある概念で、「惨事便乗型資本主義」、「災害資本主義」、「火事場泥棒資本主義」と呼ばれるものです。
政変・戦争・災害などの大惨事につけこんで、人々が茫然自失状態から覚める前に,それまでは不可能と思われていた過激な市場原理主義改革を行うことで、その担い手は企業、資本家と説いています。
即ち、企業に利益をもたらすような、社会的・経済的変革を、災害を利用して一気に行ってしまうということです。
この考えは、世界的に有名な経済学者で、徹底した自由市場主義を主張したシカゴ学派のミルトン・フリードマンの「政府による企業に対する規制を全て取り除き、企業がなすがままに自由に経済活動を行えるようにすれば、全ての経済活動がスムーズに動き、結果として、今より良い社会が出来る」という考えが元になっているとナオミ・クラインは言います。
フリードマンは、「大きな政府」や「福祉国家」を攻撃し、国家の役割は警察など最小限とし、以下の14項目は政府がやる必要がないとしています。
1. 農産物の買取保証価格制度
2. 輸入関税または輸出制限
3. 農産物の作付面積制限や原油の生産割当てなどの産出規制
4. 家賃統制
5. 法定の最低賃金や価格上限
6. 細部にわたる産業規制
7. 連邦通信委員会によるラジオとテレビの規制
8. 現行の社会保障制度、とくに老齢・退職年金制度
9. 事業・職業免許制度
10. いわゆる公営住宅および住宅建設を奨励するための補助金制度
11. 平時の徴兵制
12. 国立公園
13. 営利目的での郵便事業の法的禁止
14. 公有公営の有料道路
そして、フリードマンは、「真の変革は、危機状況によってのみ可能となる」と述べました。
日本では、規制緩和を掲げた小泉内閣の、郵政民営化など新自由主義の考えが反映されています。
ナオミ・クラインはショックドクトリンの具体例として、チリのクーデター(1973年)、天安門事件(1989年)、ソ連崩壊(1991年)、アメリカ同時多発テロ事件(2001年)、イラク戦争(2003年)、スマトラ島沖地震 (2004年)による津波被害、ハリケーン・カトリーナ(2005年)を挙げています。
「ハリケーン・カトリーナ」による高波で、甚大な被害を受けたニューオーリンズにおける教育システムで具体的に見てみましょう。
2005年128校あった公立学校の100校以上がハリケーン・カトリーナの被害に会い、機能不全に陥り、成績の悪い公立学校を潰して、チャータースクール(公募型研究開発校)に作り変えられたというものです。
その後2014年までにニューオリンズの全ての公立学校がチャータースクールになりました。
チャータースクールとは、学業成績や中退率などある数値達成目標をもって、親や教員,地域団体などが,州や学区の認可(チャーター)を受けて設ける初等中等学校で,公費によって運営されるが、所定の年限の内に目標の達成ができなかった場合には学校は閉校になり、その場合の負債は運営者たちが負うことになるというものです。
したがって、競争と選択の原理を教育に持ち込んだとされます。
負の面として、学業成績の上昇が生徒の選別を招き、学校における人種格差が広がったとも言われています。
コロナ禍で絶対知っておきたい理由
今回の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、ペストやスペイン風邪に匹敵するかそれ以上の世界的な惨事です。
社会的な不安の高まりは、惨事に便乗した急激な「改革」をも容易にします。
海外では、非常事態宣言が出され、感染拡大の抑止のために「都市封鎖」を行なったり、外出を禁止して違反者に刑事罰を与えることもなされています。
中国では、感染者のルートをつかむためとして、従来から整備されていたすべての個人の行動履歴情報を完全に国家が把握することを完成させました。
日本では、要請はできても、罰する法的根拠はありません。
要請に応じず、県外の海岸に押し掛ける、暇だから休業しないパチンコ店に群れるということで、かなりの要請に応じないひとが叩かれています。
国民の要望を聞くと称して、個人を監視し、罰することができる法整備をしようという動きが出てくるかもしれません。
新自由主義とは、少し異なりますが、国民が惨事にうろたえて、思考力をなくすと、今までできなかったことをこのチャンスにやろうと画策する動きが出てくる可能性があります。
これが、コロナ禍中にある我々がショックドクトリンを知っておくべき理由です。
Trump: Why Waste a Crisis? https://t.co/3j31nOX47b
— Naomi Klein (@NaomiAKlein) April 23, 2020
ショックドクトリンとコロナ・ネットの反応
- ロックフェラーなど欧米裏権力は、新型コロナ騒動を利用して大規模な #ショックドクトリン を発動し、全世界の労働者民衆の生活を根こそぎ破壊し収奪を更に強化しようとしている。
- これこそショックドクトリン手法、今は100%コロナ対策で、国民の命を守る時期なのに、どさくさに紛れて国の有り様をぶち壊す、と言うより国を外資に売り飛ばそうと画策している安倍政権と政治家達です。
- わざとやらかして世間に炎を焚きつけて裏で私権制限や経済テロ法案を通してるじゃないか。
- 言っておくよ。みんなが銀行口座、マイナンバー、住所、生命遺伝子情報管理されたら政府には、なにも文句をつけられなくなる。つまり生活がままならなくなる。完璧な計算高いショックドクトリン。
- コロナ の目的は、中小零細を潰して多国籍大企業の市場独占、ショックドクトリンによる様々な新自由主義政策の強行。
出典:Twitter
まとめ
- ショックドクトリンとは、大惨事につけこんで、人々が茫然自失状態から覚める前に,それまでは不可能と思われていた過激な市場原理主義改革を行うこと
- 世界的な大惨事となっている新型コロナ感染によるパンデミックに乗じて国家や多国籍企業がさまざまな画策を行ってくる懸念がある
- 国会では、緊急のコロナ関連法案以外の幾多の重要法案がこの機に乗じて、国会を通過しており、これはショックドクトリンではないかとの見方がある
外出自粛、毎日の感染者数や死者数増加の報道に、国民はコロナ禍の渦に巻き込まれています。
すでにマスクやトイレットペーパー買い占め騒動なども起こっています。
こういうときこそショックドクトリンを警戒しなければなりません。
皆が茫然自失しているときに、何者かに踊らされて彼らにとって都合の良い方向へ持って行かれているのではないか?
惨事の渦から一歩引いて、冷静に全体の流れに目配りし、考える必要がありそうです。