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【日本の昔話】さるかに合戦

さるかに合戦

昔、昔のカニさんのお話です。

ある日、河原のそばで男がおむすびを食べていました。

「むしゃむしゃ、おむすびはおいしいなぁ」

男が夢中になっておむすびを食べていると、1個のおにぎりを落としてしまいました。

おむすびはコロリンと転がって、河原の方へ転がっていきました。

男は食べるのに夢中でおむすびが転がったことに気がついていません。

そこへカニが河原からひょっこり顔を出してきました。

「おや、あんなところに美味しそうあおむすびがあるぞ。子どもたちに食べさせてあげよう。」

カニは河原でおむすびを見つけ、それを持って家に帰ろうとしました。

「おや、おいしそうなおむすびを持っているね。」

家に帰る途中、さるに呼びとめられました。

「やあ、カニさんおいらハラがへってるんだ。悪いけどこのおむすびをおくれよ」

「だめだよ、それは子どもたちにあげるんだから」

「あーそうかい、じゃあこの柿の種と交換しないか?」

「柿の種?そんなの食べられないじゃないか」

「よーく考えてみなって。この柿の種を植えて柿の実が実ったらすごいぞ~。たくさんの柿の実がとれるんだ。おむすび1個渡すだけでいいんだぞ、どっちが得か考えればわかるだろ?」

「うーん、そうかなぁ」

カニが迷っていると、さるがおむすびを食べてしまいました。

「あー!食べたなー!」

「んーうまい。なんだよ。柿の種あげたんだからいいだろ」

さるはおむすびが食べたかったので、カニに無理やり柿の種をあげておむすびを食べてしまいました。

「しょうがないなぁ」

カニは家に帰ると、柿の種を庭にまいて毎日水をかけてやりました。

「早く芽を出せ、柿の種。出ないとはさみでちょんぎるぞ♪」
「ちょっきん♪ちょっきん♪」

カニたちの歌にびっくりした柿の種は慌てて芽を出しました。

またカニたちは板いました。
「早く実よなれ、柿の木よ、ならぬとはさみでちょん切るぞ♪」
「ちょっきん♪ちょっきん♪」

すると、あっというまにたくさんの実がなりました。

「うわーこれは驚いた、お見事」

カニのもとへまたさるがやって来ました。

「どうだいカニさん、おいらの言った通り、たくさんの実がなっただろう?」

「うん、ありがとうさるさん。でも、木が大きすぎて実が取れないんだ」

「よし、カニさんちょっと待ってて。いま木に登って取ってきてあげるよ。」

そう言ってさるは木に登ると柿を取って食べ始めました。

「むしゃむしゃ、美味しい、美味しい」

「おい、おい、自分ばかり食べないで、早くこっちにもほうっておくれよ。」

「うるさいなぁ。ほらよ。美味しい柿だぞ」

さるはカニに硬いしぶ柿を思い切り投げつけました。

しぶ柿はカニに当たって、カニは大ケガをしてしまいました。

それを知ったカニの子どもたちが復讐に立ち上がりました。

カニの子どもたちは友達のうすさんと蜂さんと栗さんと牛のフンさんに応援を頼みました。

そして、みんなはさるが留守をしている間に家に忍び込み、さるが帰ってくるのを待ちました。

しばらくすると、さるが帰ってきました。

「あー、腹いっぱいだー。明日も柿の実を食べにでも行くか。よいしょっと。」

さるは家に入ると、いろりの前に座りました。

その時です!

いろりに隠れていたあつあつの栗が、さるのお尻にはじけました。

「あちちちち、いたたたた。」

さるはあわてて、水の入ったかめにお尻を入れました。。

かめの中にはカニが隠れていて、さるのお尻をはさみで挟みました。

「いたたたた。」

さるは飛びあがりましたが、今度ははちが飛び出しさるの肩をさしました。

「いたたたた。これはたまらん」

さるが家から飛び出すと、地面に牛のフンがあったので滑って転んでしまいました。

「あいたたたた」

さるが転んでいる上に今度は、大きなうすが屋根の上から、さるの上に落ちてきました。

「ドスーン」

「うわあああ、ま、まいったー」」

「どうだ。悪いさるめ。カニさんにあやまれ」

「ごめんなさい、ごめんなさい。もう二度とカニさんをいじめません。」

さるさんは、泣いてカニさんにあやまりました。

~おしまい~

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