「超短縮シーズン」の今季MLBですが、最近妙に球審によるボール判定の「誤審」が多いのではないか?とメディアやファンの間で話題になっています。
〝誤審被害〟に遭った選手やファンからは「ロボット審判を早く導入しろ!」の声さえ浮上。マイナーリーグで先行導入予定のロボット審判、今後メジャー採用の議論が加速するのでしょうか…。(出典:Wikipedia、各スポーツメディアなど)
MLBロボット審判導入すでにマイナーで
野球人気の向上にむけて様々な制度改正や改革が進むMLB。「ロボット審判」もその一つで、MLB機構と審判員協会は19年に結んだ5年間の労使協定の中で、ボール・ストライクを自動判定するシステムの開発とテスト実施に合意しました。
軍事技術を応用
具体的にはMLB30球団本拠地球場に設置済みの弾道測定機「トラックマン」を使用。元々兵器の弾丸を追尾するトラックマンの機能を野球に応用し、打者の前を通った球の位置を正確に瞬間判定。球審が身に着けたiPhoneとイヤホンを通じて判定結果を自動音声で伝え、球審はそれを参考にボールかストライクをコールします。
球審は従来通り捕手の後ろに立ち、もしロボット審判と自分の判定が異なれば人間のジャッジが優先されます。今季からマイナーのシングルAで、21年シーズンからトリプルAで導入される予定でしたが、コロナ禍で今季マイナーは中止となったため、本格施行は来季からとなります。
このロボット審判は昨年、米独立リーグなどで実際に試験実施。あくまで球審の「補助ツール」ではありますが、抗議の対象になりそうな際どいボールも正確に判定できる利点が期待されます。
選手や関係者にも「サッカーなどのビデオ判定やテニスのホークアイ同様、議論の余地ない科学的な判定になる」「もう審判の癖や誤審に悩まずに済む」と歓迎の声がありますが、実際にはかなり改善の余地も多い様子。
独立リーグでは地面スレスレの球がストライク判定になり、抗議した選手が退場処分になったり、「ワンバウンドでもストライクゾーンに入ると機械的にストライクになる」「打者のハーフスイングまではジャッジできない」といった課題もあるようです。
改善点多く最後は人頼み?
そもそもストライクゾーンとは、野球規則によると「打者の肩の上部とユニフォームのズボンの上部との中間点に引いた水平のラインを上限とし、ひざ頭の下部のラインを下限とする本塁上の空間」。つまり縦は打者の概ね胸から膝まで、横は本塁ベースの幅、奥行きも本塁ベースの長さの「五角柱空間」だといえます。この空間内の一部でも球が通過すればストライク、完全に外れればボールです。
ただロボット審判は「弧を描くような変化球の高低」の判定は苦手だったり、イヤホンで伝えるため、球審のコールまでに数秒タイムラグができる「レイトコール」の問題などまだ改善点は多く、現状では最終的には人間の眼によるジャッジ頼りなのが実情のようです。
2020年最近誤審報道が妙に多いのは伏線?
さてこのようにMLBで検討が進むロボット審判ですが、これと関係あるのかないのか、なぜか最近のMLB試合でやたらストライク判定の「誤審」が頻発していると話題です。例えば以下のような事例です。
■8月21日 ドジャースvsロッキーズ
ドジャース投手の剛速球が明らかに低すぎ捕手のミットが下にぶれたのに球審は「ストライク」。MLB公式サイトの一球速報チャートでもゾーンから外れていた。
■21日 ツインズvsロイヤルズ
ほぼど真ん中に投げた100マイルの球を球審がまさかの「ボール」判定。投手も捕手もフリーズ。
■23日 アスレチックスvsエンゼルス
アスレチックス投手の初球の速球が真ん中高め、二球目は外角高め。チャートではどちらもゾーン内だったのに球審はいずれも「ボール」。
■25日 エンゼルスvsアストロズ
大谷翔平の打席で明らかに外角低めに外れたとみられるボールが「ストライク」。大谷は三振となりあきれ顔。怒ったマドン監督が抗議すると退場処分に。
あまりの〝誤審〟続出ぶりにメディアもSNSも「怒」「球審を処罰しろ」「すぐレーシック手術させよ」などと大炎上。ついには「ロボット審判導入を急ぐため、MLBと審判協会が結託してわざと誤審を増やし、伏線を張っているんじゃないか」とのうがった見方さえ出ているようです。
↓(おまけ)カーショー激怒、田中マー君苦笑のMLB疑惑判定集
MLBロボット審判導入にネットの反応は?
- ホンマに今年は審判がテキトーすぎる。もうロボット審判導入するしかないだろうな。審判の年俸が500万円くらいなのは知ってるが
- 三振のはずがホームランではやってられない。審判はロボットにしてもらいたい
- 今年は審判の誤審が多いですね。でもロボットにすると情緒が無くなるかなぁ
- 面白味とかなくてええから誤審なくそ
- 流石にこれは酷いかな。ミスジャッジも試合の醍醐味ではあるんですけどね…
出典:twitter
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- MLBでロボット審判導入計画。マイナーで来季先行導入の方向決まる
- トラックマンで球の位置を正確判定し球審に伝える。人間の判定を補助
- なぜか最近MLBで球審の「誤審」が続出。ロボット導入促進の伏線?
動きの速いスポーツを人間が肉眼で判定する審判。「正しいジャッジ」問題は、どんなスポーツでも草創期からの永遠のテーマだといえます。
とりわけプロスポーツでは「誤審」は騒動や喧嘩に発展することも。これを何とか解消しようと、AIや技術の進歩に伴い最近は多くの競技で「機械審判」が導入され始めましたが、中には「選手はゲームのキャラじゃない」「誤審も競技のうち」といった反対論があるのも事実。
どこまで判定の正確性を優先・追求すべきなのか、どこまで人間臭さを残すべきなのか。結局は関係者やファンの「スポーツ観」次第という点に行き着くのかもしれません。