延期されていた今季プロ野球(NPB)が今月19日に開幕を迎えます。それに先立ち無観客の練習試合が各地で始まり、球場では久々の球音が心地よく響いています。
さて、コロナ感染防止対策の目的もあり、今季についてNPBは延長打ち切りなどの「特別ルール」を策定する方針。ちなみにMLBの延長戦は何回までのルールなのでしょうか。メディアで報じられているNPB特別ルール案と比較してみました。
MLBの延長は何回まで?
いまさらですが、野球は米国発祥のスポーツ。元来は英国の伝統競技クリケットが元になったともいわれます。そしてそもそも野球のルールに「延長」はなかったともされます。
MLBメディアによると、現代野球の前身である「オールドベースボール」では、バレーボールなどと同様スコア先取の競技で「先に21点とった方が勝ち」といったルールだったようです。
このため9イニング制に変わった現代でも、米国では「延長は何回まででやめる」という考え方自体がないのだそうです。MLBでは今でも決着がつくまで延々と延長を繰り返すのが基本。深夜になり日が替わっても試合が続く様子が、時折ニュースで報じられています。
というわけで、MLBでは延長は原則回数・時間無制限。ただし、試合があまりにも長引いた場合や降雨等で試合続行不能になった場合はサスペンデッドゲームになることがあります。それでも結果的には2日に分けて試合に決着をつけることには変わりなく、やはり「引き分け」の概念はMLBにはないといえます。
NPB延長10回打ち切り案が浮上
こうした米文化と考え方が全く違うのが日本。考えてみれば日本人は、昔から勝負事の「引き分け」「あいこ」「痛み分け」をさほど抵抗なく受け入れている印象があります。
古来の伝統スポーツである相撲でも「持勝負」という引き分けがありました。必ず白黒決着が必要な高校野球では「引き分け再試合」ルールはあるものの、これはいったん引き分けにして再度2試合目を行う、という考え方。MLBのように「サスペンデッドにして何回まででもとことんやる」わけではありません。
観戦スタイルが、日本は米国のように車ではなく観客の電車利用が多いこともあり、NPBでは古くから延長制限があります。これまで色々な制度が採用されてきましたが、現在は原則12回終了時点で同点の場合、打ち切りとなり試合は「引き分け」です。
今季はコロナ禍で短期強行日程になり、選手・スタッフの体調配慮の観点からNPBは特別ルールを検討中です。メディアでは以下のような案が浮上していると報じられています。
・延長は10回で打ち切り
・1軍登録29人、ベンチ入り25人の制限拡大
・外国人選手登録数拡大
延長戦については、当初「延長戦なしの9回打ち切り」「試合時間3時間半を経過した場合に次の延長回に入らない」などの案が検討されていたそうです。しかし「3時間半」ルールでは「意図的時間稼ぎもあり得る」との意見があり、今より2回短い「10回打ち切り案」が浮上したとみられます。
NPB延長10回打ち切り案へのみんなの反応
- 今年に限っちゃ、9回引き分けでどんどん試合消化しないともたないだろ?
- 勝率だけじゃなくて勝ち数も考慮した順位決めも重要。引き分け狙いではない、勝ちに行く試合を見たいからね
- 月曜の週一休みもままならない日程では、投手が壊れかねない
- 今年は、なるべく負担を掛けずに早く試合を消化することが必要
- 夜遅くまでプレーすることは、スタッフ選手・観客とも、免疫力低下による発症リスクが高くなると思う
出典:ヤフコメ欄
まとめ
今回の記事をまとめると以下の通りです。
- コロナ禍のNPBで延長10回打ち切りの特別ルール模索か
- 従来の12回より短縮。MLBは延長制限なく決着まで試合
- 引き分けに寛容なのは日米文化の違い。試合短縮も課題
日本の野球ファンが待望する6月19日ですが、直前にやや心配なニュースが。巨人の坂本、大城両選手が新型コロナ陽性と診断され入院。巨人は濃厚接触者隔離や全員検査を行う方向となりました。Jリーグでも選手に陽性者が発生。無事に開幕できるのか、各チームに影響はないのか、心配されるところです。
さらに海の向こう米国では、MLB開幕自体が瀬戸際に。年俸の扱いをめぐりオーナー側と選手会の対立が解けず、今週決着しないと今シーズン自体が危うくなるそうです。2度の世界大戦中でも開催し「ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)」と呼ばれるほど根付いているMLB。「25年間の労使交渉で最も重要な週に入る」と米メディアは注視しています。日米ファンのやきもきが消えない日が、しばらく続きそうです。